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【より簡便に・シームレスに】法人口座を持つ全てのお客さまに「SMBCクラウドサイン」を無料提供する理由

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(この記事のまとめ)
・三井住友銀行が法人向けに無料クラウド契約サービス提供
・フリープランは1名登録、月3件まで送信無料
・地域金融機関との連携を計画
・お客さまのデジタル化を推進し、口座の付加価値を向上させ続ける
・中長期的に環境変化に対応し、お客さまの経営課題解決を目指す
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三井住友銀行は2023年10月2日より、法人向け普通預金口座を持つすべてのお客さまに対し、クラウド型電子契約サービス『SMBCクラウドサイン<フリープラン>』の提供を開始しました。これにより法人口座を開設すれば、フォームからの簡単な手続きを済ませるだけでSMBCクラウドサインのフリープラン(登録ユーザー数は1名、月間の送信件数は3件までの完全無料のエントリープラン)が利用できるようになります。

金融だけでなく、さまざまな非金融領域のサービスを開発・提供をしているSMBCグループ。今回の取り組みは、付加価値の高い金融・非金融サービスをより簡便に、シームレスに提供することにより、お客さまのさまざまな経営課題の解決を後押ししていく狙いがあるそうです。その施策の詳細および展望について、三井住友銀行のトランザクション・ビジネス本部 決済企画部 部長である北谷 展清氏とデジタル戦略部 上席部長代理を務める平原 正樹氏に伺います。

法人口座を持つ全てのお客さまに、SMBCクラウドサインを無料提供

法人向け普通預金口座にSMBCクラウドサインを標準搭載するに至った理由・経緯について教えてください。

北谷SMBCグループとして銀行口座の価値を向上させる取り組みの一環です。すでに法人口座にはインターネットバンキングの「Web21ライト」を標準搭載しており、申し込み手続き不要で、利用する意思表示をしていただければすぐにお使いいただけます。お客さまの利便性向上のために、ご来店いただかずにWeb上で口座開設手続きを行うこともできますし、今後、さらなるペーパーレスのニーズの高まりを予想し、Web通帳のご提供も行っています。

株式会社三井住友銀行 トランザクション・ビジネス本部 決済企画部 部長
北谷 展清氏

今回無料提供するSMBCクラウドサインはこれまで主に、弊行の法人営業部の担当者がお客さま1社1社に対して行う営業活動の中で案内をしてきました。ただ、人を介した営業ではサービスを直接ご紹介できるお客さまの数に限界があります。そこでデジタルの力を活用して、営業担当者が直接情報をお伝えできていないお客さまにもSMBCクラウドサインの利便性を認知いただき使っていただけるよう、今回の無料提供に踏み切りました。

平原SMBCグループは多様化するお客さまのニーズに応えるべく、金融サービスを主軸に据えながらも、非金融サービスの企画開発・提供も行っています。SMBCクラウドサインは2019年10月に会社設立し、業務効率化・省力化・ペーパーレス化を実現することができる非金融サービスの1つとして、お客さまへソリューション提供を行ってきました。コロナ禍において非常に多くの引き合いを頂き、急成長を続けていますが、これまでにSMBCクラウドサインを導入頂いた企業の多くが企業規模の大きいお客さまでした。ただ、企業規模に関わらずビジネス活動を行う中ではすべてのお客さまで何かしらの契約行為が生じているはずです。まだまだ世の中には契約回りのデジタル化に対して課題感を感じているお客さまがいるのに、SMBCクラウドサインでは全くリーチできていませんでした。そこにアプローチするため、先行事例であるインターネットバンキングの「Web21ライト」を参考にしてSMBCクラウドサインの無料提供を実施しました。

株式会社三井住友銀行 デジタル戦略部 上席部長代理
平原 正樹氏

北谷昨今はAML(マネー・ローンダリング防止対策)などの影響もあり、銀行界全体の動きとして法人口座を開設いただくハードルが上がっています。そのような中で三井住友銀行の口座を開設し、ご利用いただいているお客さまに対しては、SMBCクラウドサインをはじめ、ビジネス活動に役立つサービスを提供していきます。今後はペーパーレス化が進むに従い、電子契約もさらに当たり前のものになるでしょう。すべての法人口座にSMBCクラウドサインを付帯することで、より多くのお客さまに認知いただける場を持てるようになりました。

提供開始直後から大きな反響

デジタル化を進めることでどのようなメリットが期待できますか?

北谷これまで、個別に法人のお客さまが店頭に来ていただいたり、ATMを利用されたりしても、業種やニーズを含めたお客さまの詳細な情報が分かりませんでした。例えば口座開設を店頭で申し込んでいただく際も、お客さまの細かい情報の把握などはどうしても窓口の担当者によってバラツキが出てきてしまいます。デジタル化することでそういったブレがなくなるので、マーケティングデータとしての活用が可能になります。

一例として、お客さまの業種や日々の取引傾向のデータがあれば、お客さまにどういったニーズがあるのか把握できます。外為のニーズがあると判断できれば外為のネットバンキングを紹介して、お客さまが気に入っていただければそのまま申し込みも可能になります。お客さまのビジネス活動において、口座利用を起点にSMBCグループのさまざまなサービスを必要なタイミングで簡単にご利用いただける環境を構築できれば、口座の利用価値はより大きなものになっていくのではと考えています。

SMBCクラウドサインを法人口座に標準搭載して無料提供する上で、難しかったポイントについて教えてください。

北谷SMBCクラウドサインは同じSMBCグループの企業が提供するサービスですが、私たち銀行とは別会社ですので座組みや提供の仕方についても工夫する必要がありました。お客さまに負担なく、便利に申し込みができる導線を検討する一方、気づいたら「身に覚えのない契約申し込みがあった」、「銀行が提供するサービスだと思い込んでいた」となっては困ります。この点、お客さまの立場でどのような案内の仕方が最も適しているか、弁護士にも相談しながら、検討を進めました。

今回無料提供される「SMBCクラウドサイン<フリープラン>」と通常のプランはどのように違うのでしょうか?

平原「SMBCクラウドサイン<フリープラン>」はお試し版のような位置付けです。通常の有償プランであれば登録できるユーザー数に制限はありませんし、1カ月の送信件数にも上限はありません。フリープランでは一切の料金はかかりませんが、登録できるユーザー数は1名のみで、1カ月の送信件数は3件までという制限があります。

フリープランへの申し込みは10月より可能とのことですが、どのくらいの反響がありましたか?

平原反響は非常に大きくて、最初の数日で200件ほどのお申し込みをいただきました。メディア等への露出はまだまだ限定的ですが、その後も継続的にお申込を頂いています。「電子契約も利用できる点に惹かれてSMBCで口座開設をした」というお声もいただいています。

SMBCグループの各種サービスをシームレスに利用できる環境を構築する

今後、SMBCクラウドサイン以外のサービスも同様の展開をしていく可能性はあるのでしょうか?

平原将来的にはCO2排出量算定・削減支援クラウドサービスの「Sustana」や、SaaSをはじめとするビジネスツールを提供する「プラリタウン」など、SMBCグループで提供する金融・非金融問わず法人のお客さまがビジネス活動をより推進しやすくなる付加価値の高いサービスも、法人口座に標準搭載して提供していく予定です。
また、今後は地域金融機関のみなさまとも連携を行い、SMBCグループのサービスを始め、多様なサービスを各地域金融機関のニーズに応じて、スピーディーに地元のお客さまへ提供いただける仕組みづくりも進めていきたいと考えております。

北谷各地域金融機関の多くは中期経営計画等でデジタル化の推進を掲げておられますが、実際にお会いすると、具体的にどういうやり方で法人のお客さまとデジタル上の接点を持ち、どう付加価値を提供していけばいいのか、お客さまニーズに応じたサービスを充実させるにはどうすれば良いのか等、悩まれているケースが数多くあります。私たちSMBCグループでは、これまで取組してきたデジタルチャネルやサービスの構築と推進経験を通じ、地域金融機関の皆さまが課題と感じている点の解決に繋がる環境整備や運営のお手伝いができればと思っています。例えば、地域金融機関がそれぞれに持つ法人ポータル(デジタル窓口)上でも我々同様、SMBCクラウドサインなど社会ニーズに応じたサービスを提供できるようにしていく、などです。地域金融機関としても扱う商品・サービスが増え、お客さまの利便性向上に繋がれば、これまで以上にデジタル上の接点は増えると思いますし、私たちSMBCグループとしても、地域金融機関のニーズ次第で、我々のサービス提供もできるようになります。

それはどのくらいのスケジュール感で進めていくのでしょうか?

平原2024年度には連携する地域金融機関の皆さまの法人ポータル等、デジタル環境整備を進め、順次、SMBCグループのサービスを始め、地元のお客さまニーズにマッチしたサービスを、同チャネル上で提供できるようにしていきます。最終的には、地域金融機関の法人ポータル上でも、SMBCクラウドサインやSustanaなどがシームレスでご利用できる環境を構築するのが目標です。

SMBCグループとしての自前チャネル戦略ももちろんあります。お客さまに対し、どう付加価値を高めていくべきか、そのためには提供サービスは何が良いか、等検討すべき事項は多々あります。

では、今後の短期的な展望と長期的な展望について教えてください。

北谷短期的には口座の価値を高めることに注力していきます。この「口座の価値を高める」という点には終わりがないと考えています。なぜかというと時代は常に変化するからです。数年後に求められるであろうお客さまニーズを充足するために、口座を軸に必要な機能がストレスフリーで申し込めて、シームレスに利用できる環境をつくり上げます。

私は今から約20年前のネット普及黎明期に法人向けインターネットバンキングの立ち上げを担当した経験があり、昔はある程度先のニーズや動向を見通せる部分はありましたが、昨今は、環境変化も激しく、3年や5年後などでも予測しにくい時代です。そういう環境下では、将来予測は一定レベルで行いつつも、短期でやるべきことを積み重ね、多くの経験を体感し実践していくことで、中長期的な施策企画にもつながると感じています。SMBCグループは法人向けの多様なサービスを提供していますが、それぞれの連携についてはまだまだ改善点が残されています。お客さまニーズ起点を念頭に、デジタルの力を活用して複数のサービスをタイムリーに連携させることで、利便性の高い商品サービスをご利用いただき、お客さまのさまざまな経営課題の解決を後押しできればと思っています。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 株式会社三井住友銀行
    トランザクション・ビジネス本部 決済企画部 部長

    北谷 展清氏

    1994年3月成城大卒。株式会社住友銀行(現三井住友銀行)入行。個人・中小企業向け営業を担当後、外部企業へトレーニー出向。2000年に復職し、以降、主に法人向けの決済・デジタルチャネル企画・推進の業務に従事し、法人向けインターネットバンキング(Web21)や、Web上の銀行窓口となる法人ポータル(ValueDoor)の立ち上げ等を担当。昨今では、法人向けのデジタルマーケティング体制の企画・構築や、各種手続/サービス申込のデジタル化、アライアンス企画等を推進。

  • 株式会社三井住友銀行
    デジタル戦略部 上席部長代理

    平原 正樹氏

    2007年3月大阪外国語大学卒。株式会社三井住友銀行入行。中小企業向け法人営業での経験を経て、2020年からデジタル戦略部にてデジタル子会社経営所管・成長支援を担当。2021年からはSMBCクラウドサイン株式会社を兼務、同社において営業企画・推進を担当。

この記事でご紹介したサービス
為替予約
()

類義語:

  • 外国為替予約,外為

外国通貨を購入するあるいは売却する価格、数量を現時点で予約する取引のこと。

SaaS
(Software as a Service)

類義語:

Software as a Serviceの略。読み方は「サーズ」。ソフトウェアを利用者側に導入するのではなく、提供者側で稼働しているものをネットワーク経由でサービスとして利用することを指す。納期短縮、設備投資削減などの効果がある。