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DXときめ細かな英語対応で、グローバルな顧客ニーズに応えるSMBC信託銀行

外資系の銀行として設立され、2013年に三井住友銀行の100%子会社となり誕生したSMBC信託銀行。2015年にはシティバンク銀行のリテールバンク事業を統合して、新ブランド「PRESTIA(プレスティア)」が誕生。外貨関連ビジネスにも先進的に取り組んでいます。

同行は、大使館や在留外国人の多い地域である赤坂支店と広尾支店を「グローバルブランチ」と位置づけ、英語対応できる環境を確立しています。デジタルの進化により急速にグローバル化が進むなか、SMBC信託銀行はどのような改革をしているのか、また今後の展望をどう描いているのか。現場・企画・開発、それぞれの担当者に話を伺います。

英語対応も可能で、大使館やグローバル企業職員に好評

グローバルブランチの1つである広尾支店の特徴と、現場で働く中で感じるお客さまの特徴について教えてください。

リー当行のグローバルブランチである広尾と赤坂の支店には常時、英語対応のできる従業員が在籍しています。特に広尾支店の周辺は場所柄、大使館やグローバル企業が多くさまざまな国籍のお客さまが来店されており、私どもは文化が違う方に対しても英語で質の高いサービスを提供しています。当行で口座を開設した方のご紹介で、他の職員の方や後任の方がご来店くださる例も多くあります。

株式会社SMBC信託銀行 広尾支店 プレスティアゴールドエグゼクティブ
リー シャンメイ氏

お客さまには大使館勤務の方も多いとのことですが、どのような点が好評なのでしょうか?

リー通常、口座開設時には本人確認資料として在留カードを提示いただくことが多くあります。しかし大使館勤務の方は、一般的な在留外国人の方と異なり在留カードを所持していません。当行はそのような場合の対応にも慣れていますので、問題なく手続きを進められる強みがあります。また、当行のグローバルブランチなら英語話者の方が通訳の方を伴わずに、お一人でご来店いただいても対応が可能です。

AIの導入で、問い合わせ対応や行内業務の省力化を狙う

お客さま向け商品やサービスを企画したり、システム開発したりする中で、意識している点、現場との連携について教えてください。

古崎外国人やグローバル企業職員のお客さまの要望を把握している支店担当者の意見を丁寧に聞き取り、商品開発や手続きのプロセス、サービスご案内書類などに反映しています。また、日本語をそのまま英語に翻訳するのではなく、お客さまへのわかりやすさを意識して、表現を工夫しています。

株式会社SMBC信託銀行 ローン営業部 企画課 課長
古崎 さやか氏

デジタル化の推進については、私の所属するローン営業部では住宅ローンの申し込みをオンラインで可能にしました。これまで住宅ローンのお申し込みは、基本的に店頭で、日本語の申込書に記入いただく必要がありました。しかし現在は、お客さまがご自宅からオンラインで簡単に申し込みができるよう、お客さまと現場職員の声を反映し、日本語と英語の両方に対応した申し込み画面を構築しました。さらに電子契約を用いた契約締結に関するご案内もご準備し、対応しています。

SMBC信託銀行として、今後はオンラインでの申し込みを増やしていく予定でしょうか?

山田今後は必要に応じた書類での対応は残しつつも、ペーパーレス化・電子化を進めていく方針です。現状として、銀行や役所のデジタル化は欧米の方が進んでおり日本は後塵を拝している状況なので、そこに対する危機感はあります。

株式会社SMBC信託銀行 デジタライゼーション推進部
山田 半蔵氏

そのような状況の中で、SMBC信託銀行が率先して進めている取り組みがあれば教えてください。

山田今年度より、行内業務においてSMBCTB AI Chatという、汎用的な生成AIツールの導入および活用を開始しています。またAIをより効果的に活用し利用の浸透を図るべく、行内において各種勉強会の実施や活用事例の紹介、従業員参加のAI活用コンテストを行っています。さらに、将来的なAIの活用法について現場での聞き取りを行い、検討を重ねています。

今後は、業務マニュアルをそのつど検索しなくても、会話方式でAIが答えを返してくれるソリューションの開発のほか、信託銀行特有の業務領域における活用も推進してまいります。

古崎オンラインでのローンのお申し込みでは、画面上にQ&Aを置いていますが、Q&Aを読まずに電話で問い合わせをされる方も多くいらっしゃいます。ゆくゆくは、支店のスタッフが電話対応することなく、AIチャットボットを活用して画面上だけでお客さまの疑問を解消できるような設計を目指していきたいです。

実際、お客さまからはどのような問い合わせが多いのでしょうか?

リー送金の方法や発行したカードの到着日など、具体的なサービスの使い方から些細な確認事項まで、いろいろなお問い合わせをいただいています。

山田慣習の違いもあり、外国人のお客さまがオンラインで口座を開設する際、不備が多い傾向があります。お申し込みいただく件数は日本人の方と比べて1/4ほどですが、不備件数は同程度です。加えて、海外からのお客さまの口座開設には納税申告書や顧客確認書類など追加の提出書類が必要となるため、開設完了までの所要日数が余計にかかることがあります。過去の口座開設プロセスでは、オンライン申込であっても紙書類の提出が必要だったため、場合によっては開設完了まで1か月以上を要するケースもありました。昨年度にサイトを公開した際は、まず外国人の方がどうやったら不備なく申し込みを完結できるかを考え、英語で文章を考えてから日本語に訳すこと、必要な書類のペーパーレス化を進め、大多数のお客さまにおいて所要日数の削減を実現するなど、さまざまな工夫を施しました。

さらに質の良いサービスをご提供していくために、外国人のお客さまでもオンラインからスムーズに口座が開設できるように工夫を重ねたうえで、来店される際には資産運用などのご相談により多くの時間を充てられればと考えています。

高まる外貨ニーズに応える、グローバルなサービス展開

SMBC信託銀行が提供するサービスについて、実際に利用されるお客さまからの反応について教えてください。

リー当行は17通貨の外貨預金を取り扱っています。デビットカード一枚で口座の外貨をそのまま海外での支払いに使えたり、ATMから引き出したりでき、海外旅行や出張の機会がある方には非常に便利なサービスです。資産分散の考えが広がるにつれ外貨のニーズは年々高まっており、日本円だけで資産を形成することの不安から外貨を求める方もいらっしゃいます。例えば、お子さまが海外留学をされるときの学費や生活費などを想定して購入される方もいるなど、目的はさまざまです。

山田あらかじめレートの低いときに外貨を買って、渡航先の海外での買い物に活用するなど、為替への感度が高いお客さまにも多くご利用いただいています。

リー海外に不動産や資産を所有されている日本人富裕層の方からは、コロナ禍以降、国内に資産を集約したいというニーズもよく伺うようになりました。海外の資産を外貨で受け取り、そのまま使う手段もあることがお客さまにご好評いただいているポイントであると考えています。

また、外国人のお客さま目線ですと、日本人では当たり前に受けられる店頭での手続きや住宅ローン、資産運用の相談を英語で対応してくれる数少ない銀行としてご愛顧いただいていると感じております。

古崎英語で住宅ローンの申し込みが可能なのは、当行ならではの強みかと思います。個人のお客さまだけでなく、不動産会社から外国人のお客さまをご紹介いただく機会も多くあります。英語対応でローンの申し込み手続きを進めることに苦労されている不動産会社も多く、日本の商慣習を理解してお客さまのサポートをできる我々のサービスは好評をいただいています。おかげさまで「プレスティアであれば英語のみで住宅ローンの申し込みが可能」と広く認識されているので、そこからのご紹介はとてもありがたいですね。

それでは、今後の展望について教えてください。

リー現場で多くいただくのは、紙の手続きをなくしてほしいというお声です。まだまだ、紙の伝票が多く残っているので、将来的にはそういったニーズにもお応えできればと思います。

山田今後、日本にもさまざまな国籍の方が入ってくる中で、英語でのサービスはもちろん、多言語でのサービス提供が求められるようになると予測しています。外国人の方やグローバルにご活躍するお客さまに向けたサービスにさらに注力し、利便性を高めていきます。

古崎どのサービスでも汎用的な手続きで申し込めるようにしたいと考えています。商品AにはA専用の手続き、商品BにはB専用の手続きといった具合に、サービスごとの申し込みではお客さまの負担が大きく、複雑でわかりにくいでしょう。現状のシステムをアップデートして、随時改善してまいります。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 株式会社SMBC信託銀行 デジタライゼーション推進部

    山田 半蔵氏

    2008年シティバンク銀行(SMBC信託銀行)に入行。コールセンター、マーケティング部を経て現在はシステム部門に所属。業務の効率化、ペーパーレス化等デジタライゼーションの推進に取り組んでいる。

  • 株式会社SMBC信託銀行 ローン営業部 企画課 課長

    古崎 さやか氏

    2011年シティバンク銀行(現 SMBC信託銀行)に入行し、外国籍富裕層向けローンの営業に従事。ローンシステム導入プロジェクトへの参画を経て、2022年より現職。個人向け融資に係わる商品・サービスの企画導入、販売チャネルの最適化、DX推進等を担う。

  • 株式会社SMBC信託銀行 広尾支店 プレスティアゴールドエグゼクティブ

    リー シャンメイ氏

    2021年SMBC信託銀行に入行し、グローバルブランチである広尾支店に配属、店頭業務等に従事。現在は個人のお客さま向けに資産運用の相談を中心に担う。

AI
(artificial intelligence)

類義語:

  • 人工知能

コンピュータが人間の思考・判断を模倣するための技術と知識体系。

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