「人が足りない」に真摯に向き合う。プラリタウン×PeopleXが生んだ対話型AIサービス群「プラリワーカー」
業種を問わず、喫緊の課題となっている「人手不足」。大きな採用コストをかけにくい中堅・中小企業では、とりわけ経営に直結する問題となっています。
この課題に対し、企業の経営課題解決やDXを支援している三井住友フィナンシャルグループの子会社であるプラリタウンは、採用から活躍支援まで人事領域における課題解決に取り組むPeopleXと提携し、問い合わせ窓口などに活用できる対話型AIサービス群「プラリワーカー」の提供を開始しました。その第一弾として、24時間365日、顧客や社員から受ける相談・問い合わせの一次受付を代行する「プラリワーカーAI受付」のサービス提供を始めています。
既存のチャットボット・AIツールとの差や、対話型だからこそ実現できる課題解決について、両社の代表および担当者に話を伺いました。
全国の企業から相次ぐ人手不足の相談を起点にした「プラリワーカー」構想
プラリタウンとして、どのような課題意識からPeopleXとの協業や「プラリワーカー」構想に至ったのでしょうか。
プラリタウン 並木弊社は年間6,000件ほど、企業さまからさまざまなご相談をいただいています。その中で、近年特に深刻だと感じているのが人手不足の問題です。採用しても定着しなかったり、本来やってほしい業務に人を配置できなかったりと、人事戦略そのものが立ち行かなくなっている企業さまも少なくありません。
そんな中、SMBCグループのネットワークを通じてPeopleXさまと接点を持ち、その流れで対話型AI面接サービス「PeopleX AI面接」などの紹介にかかわる協業を行うこととなりました。さらに提携後もディスカッションを重ね、「プラリワーカー」の構想が固まっていきました。
並木 亮氏
PeopleX 橘我々はAIテックカンパニーとして、夢を現実にする高度な対話技術を磨いてきました。この技術により、これまでプラリタウンさまが提供されてきた労務・人事DXサービスだけでは対応しきれない人手不足の課題に対し、「AIに代替させる」ことで人的負荷を減らせると考えました。
また、プラリタウンさまはSMBCグループの一員として大きな信用力があり、日本中に顧客基盤をお持ちです。協業することで、自社だけでは難しいリレーション構築が図れるのではと期待しました。
橘 大地氏
「プラリワーカーAI受付」は、既存のチャットボットとどこが違うのでしょうか。
PeopleX 橘「プラリワーカーAI受付」は、受付やヒアリングに特化した対話型AIサービスで、弊社が「PeopleX AI面接」で培った対話技術や、アバターなどの知見が活かされています。独自の自然言語モデルを活用し、不自然な応答や空白を感じさせないスムーズな受け答えができるほか、相手の回答内容に応じて深掘りが可能なため、本質的な情報を引き出せます。文脈や感情、微妙なニュアンスまでくみ取るので、曖昧な言い回しでも意図を正しく把握し、「質」を落とさず会話できるのが最大の強みです。
プラリタウン 佐々木お客さまからは「本当に自然な対話ができるの?」といぶかしがられる事もございますが、実際にデモをお見せすると「想像以上に自然」、「深掘りの質問が鋭い」と驚かれます。
株式会社プラリタウン 事業企画・開発部 兼 HRソリューション室
佐々木 大智氏
PeopleX 増井「プラリワーカーAI受付」では、「PeopleX AI面接」で採用しているアバター「黒須ミライ」を同じく採用しています。「黒須ミライ」は、まばたきや頷きの回数、口の動きといったリアクションにもこだわって設計し、自然な会話を再現しています。
増井 友美氏
PeopleX 関根この「黒須ミライ」は、毎年開催されている「S1グランプリ(日本最大級の営業の大会)」にAIとして初めて参加し、100人の参加者の中で準優勝という成績を収めています。審査員からは、ヒアリング能力や深掘りの質の高さが評価されました。
関根 ひかり氏
PeopleXの技術力が支える、対話型AIの中身
そのほか、PeopleXの技術力が発揮されている機能はありますか?
PeopleX 橘RAG技術※を応用することで、PDFをはじめとしたさまざまなデータ形式のあらゆる社内情報を取り込み、その会社専用のAIとして機能させられる点です。いわゆる一般的なAIとは異なり、社内情報を網羅的に参照しながら応対できるため、例えば取り扱っている1,000種類以上の商品情報を全て把握したうえで、「このネジは820円で、明後日お届け可能です」といった具体的な回答が可能になります。確認やコールバックといった手間が省ける上、問い合わせ記録も自動で作成されます。
※大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせ、回答精度を向上させる技術
PeopleX 関根受付中のお客さまの雰囲気や関心度合いを把握できるのも特徴です。高い関心をお持ちなのか、情報収集段階なのかといった傾向を踏まえ、担当者が対応方針を決めることができます。
PeopleX 橘夜間・休日問わず受付対応できるのに加え、会話形式で必要項目が自動入力されることで、フォーム入力よりも心理的なハードルが下がります。弊社の受付にも採用していますが、夜間・土日の問い合わせ数は大きく増えました。なお、弊社サービスはすべて暗号化技術を使用し、情報漏洩リスクが生じないようセキュリティ対策を講じています。そのため、営業ヒアリングやコールセンターの一次窓口としても安心してお使いいただけます。
プラリタウン 佐々木企業内での問い合わせ対応、例えば人事制度の照会対応や、PC・端末トラブルの1次対応などにも活用でき、バックオフィスの業務効率化にもつながります。
「ここまで来たのか」と感じた、対話型AIの進化と可能性
「プラリワーカーAI受付」のデモ画面を初めて見たときの印象はいかがでしたか?
プラリタウン 並木正直、「ここまで来たのか」と驚きました。幅広い可能性を感じ、受付以外の活用方法も検討しているところです。
PeopleX 関根弊社では「プラリワーカーAI受付」同様の技術を用いた「PeopleX AI面談」というサービスも提供しており、社内でも入社後の定期面談、全社員との定期面談、キャリア相談に活用しています。その結果、経営層に直接社員の声が届くようになったり、上長と時間を調整する必要がなくなったりといった効果を実感しています。
PeopleX 橘社内の内部通報で導入したいという声もあります。製造業などではPCを支給されていない現場スタッフもたくさんいらっしゃいます。「PeopleX AI面談」はスマートフォンにも対応しており、これを導入いただくことで、PCがなくとも現場の声を吸い上げることが可能となります。
PeopleX 関根面白いケースとしては、結婚相談所での導入事例があります。理想のタイプなどを確認する一次ヒアリングに加え、相手の発言に対しどう返すべきかといった「デートの会話練習」にも活用されています。
PeopleX 橘これは、AIアバターの性格や役割、反応の仕方を調整できる点が活きている事例ですね。質問に対して、「なぜですか?」と深掘りするなど、会話の流れ自体も設計できるため、実践的なトレーニングにも応用できます。
SMBCグループの顧客基盤×PeopleXのAI技術で、日本の労働環境を変える
1件あたりの平均使用時間はどれくらいですか?
プラリタウン 佐々木5分~10分程度を想定しています。9~17時のお問い合わせ窓口を5名体制で運営している企業さまで、その一次受付を「プラリワーカーAI受付」が担い、20%の工数削減ができれば、実質的に1人分の工数が生まれます。その分、運営改善など他の業務に時間を割けますし、外部委託している場合はコスト削減にもつながります。
開発にあたり工夫された点はありますか?
PeopleX 橘レギュレーションや、どこまでをAIが回答し、どこから人に引き継ぐかといったセーフガードの設計です。採用面接で出身地やその他差別的な内容が想起される質問をしないようにするなど、倫理面の制御も行っています。安心してお使いいただくため、「AIによる採用面接・人事評価サービス協議会(略称:AIAC)」を立ち上げ、弁護士監修のもとAI面接に関するガイドラインを整備しました。また、AIACの認証マーク制度も設け、AIを安心して使える環境づくりを進めています。
プラリタウン 佐々木プラリワーカーAI受付のリリースに当たって、コンプライアンス・AIなど様々なリスクに対する銀行内各部との協議・審査も経ており、人権等にも配慮した製品設計がなされています。
今後、いかにサービスを拡張・高度化していきたいか、お聞かせください。
PeopleX 関根労働人口が減少する中で、社内の従業員の一人としてAIワーカーを活用できるような提案をしていきたいです。人手不足がとくに深刻な地方にこそ、AI技術を浸透させたいですね。
PeopleX 橘ルーティンワークは人間にとって負荷がかかる部分です。それをAIに任せ、人はクリエイティビティや信頼関係の紡ぎあいに集中する。その役割分担を明確にし、AIだからこそできることを追求していきたいです。多言語対応や画面表示、動画再生機能の強化、将来的には決済処理まで完結できる仕組みも目指しています。
プラリタウン 並木日本全国のお客さまに接し、どのような課題があるかを把握し続けることがSMBCグループとしての役割だと考えています。その知見をPeopleXさまと共有しながら、ユースケースごとに最適なAIアバター「黒須ミライ」を作っていきたいと考えています。
PeopleX 増井「AIに仕事を奪われる」といった不安の声もありますが、バイアスがかかりにくいAIはメンタル面とも非常に相性が良いと感じています。「AIは同僚であり、寄り添ってくれる仲間」という位置付けを目指したいです。
プラリタウン 佐々木将来的には、あらゆる職場でデジタルヒューマンが当たり前に働く世界観を提供していきたいと考えています。
PROFILE※所属および肩書きは取材当時のものです。
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株式会社PeopleX 代表取締役 CEO
橘 大地氏
2010年東京大学法科大学院修了。株式会社サイバーエージェント、GVA法律事務所にて弁護士として企業法務活動に従事した後、2015年、弁護士ドットコム株式会社に入社。同社「クラウドサイン」事業責任者、執行役員、取締役を務める。2024年4月、株式会社PeopleXを創業。2025年4月「AIによる採⽤⾯接・⼈事評価サービス協議会」を創設し、代表理事に就任。
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株式会社PeopleX アライアンスマネージャー
関根 ひかり氏
大学卒業後、株式会社学情、弁護士ドットコム株式会社を経て、2024年5月、株式会社PeopleXに入社。パートナーセールスに従事。キャリアコンサルタント。
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株式会社PeopleX Business Development部 AI事業責任者
増井 友美氏
大学卒業後、株式会社ドリコムに入社し、ソーシャルゲームのプランナー・事業責任者を経験。その後、株式会社サマリーにて、収納サブスク「サマリーポケット」のプロダクトマネージャー、事業開発責任者を務める。2025年1月、株式会社PeopleXに入社。「PeopleX AIロープレ」をはじめとしたAIサービスの事業開発に従事。
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株式会社プラリタウン 代表取締役 CEO
並木 亮氏
2008年 三井住友銀行へ入行。法人営業に従事した後、法人営業部門の企画・統括部署にて、事業開発に従事。2020年5月 プラリタウンを起業、同社代表取締役に就任。
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株式会社三井住友銀行 デジタル戦略部
株式会社プラリタウン 事業企画・開発部 兼 HRソリューション室佐々木 大智氏
SIer、経営コンサルティング会社を経て現職。
ソーシャルイノベーション推進に向けた新規サービスの企画、大手企業向け中期戦略策定・新規事業開発等に従事した後、三井住友銀行へ入行。プラリタウンにおけるAI SaaSの立ち上げ・グロースに従事。
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