サービス・導入事例
2026.01.15更新

公共料金納付の「紙業務」に終止符。企業経理も銀行も救う「カード登録BPOサービス」とは

DXやキャッシュレス化が進む今もなお、企業の経理業務にはいまだ“紙のまま”処理されている業務が多く残されています。公共料金の納付書はその代表例であり、多くの企業が今なお手作業に頼らざるを得ない状況です。特に多店舗を展開する企業では、水道・電気・ガスなどの大量の請求書がバラバラに届き、それを集約・仕分けし、銀行に持ち込むという作業が、経理部門の大きな負担となっていました。

一方で、金融機関にとっても納付業務は、手数料の発生しない非効率かつ赤字の事務作業でありながら、長らく抜本的な見直しが進んでいませんでした。

こうした構造的課題に真正面から取り組んだのが、BPORTUSによる「カード登録BPOサービス」です。三井住友銀行・三井住友カードとSMBCグループ3社で連携し、企業の納付書処理業務を大幅に効率化するとともに、銀行側の業務負担も軽減する、画期的なスキームとなっています。本記事では、このサービスの第一号案件に携わったBPORTUS、三井住友カード、三井住友銀行 名古屋法人営業第二部の関係者にお話を伺いました。

公共料金納付書をめぐる「アナログ業務」の現実

公共料金の納付業務にはどんな課題があるのでしょうか。

BPORTUS 勇拠点を多く抱える企業は、水道、電気、ガス、通信などの公共料金契約を何千件も抱えており、バラバラに届く納付書を集めて集計し、支払いのために銀行に渡すだけでも一苦労です。一方、銀行側も紙の納付書を手作業で処理しなければならず、膨大なコストがかかるうえに、納付期限内に処理を終えなければなりません。ほとんどの場合納付業務に対して手数料をいただいておらず、銀行にとっては1枚あたり約350円のコスト(2024年10月時点の窓口出納のコスト)をかけて処理している赤字業務です。お客さまにとっても銀行にとっても効率化したい業務として長年残存していました。

株式会社BPORTUS 新規事業開発 特命係 兼 プロジェクトマネージャー
勇 春彦氏

企業側にとっても、支払い状況の管理は相当な負担ではないでしょうか。

BPORTUS 勇おっしゃる通りです。バラバラと大量の納付書が届き、それを一旦集約して、支払い漏れがないように枚数を数えたり、内容をチェックして期限までに銀行に渡さないといけません。銀行は3枚綴りの納付書のうち1枚を領収書としてお返しするので、銀行側も漏れがないように正確な作業が求められます。領収書は小さい紙片であり、目視で1枚ずつ支払いが完了しているかを確認して消込するという非常にアナログな業務が、毎月発生しているのです。

クレジットカード払いにすれば、一気に解決しそうにも思えますが。

BPORTUS 鈴木そもそもクレジットカードをまだ導入していない企業も多く、まずは社内ルールの整備が必要です。また、現状のルーティンやサイクルを変えたくないという声も根強くあります。

株式会社BPORTUS ビジネスサービス事業部 次長
鈴木 修氏

BPORTUS 勇何千件もの契約がある場合、誰が切り替え作業を担うのかという負担も大きな課題です。経理部門の人員が不足しているだけでなく、仮に一時的にパートを雇ってもクレジットカードの不正利用対策などたくさんの検討事項が残ります。この課題は、デジタル化やキャッシュレス化を推進している日本の大手IT・通信業界でさえ直面しているのが実情です。

三社連携で実現「カード登録BPOサービス」

そうした中で、三社が協力して提供を開始したのが、「カード登録BPOサービス」なのですね。

BPORTUS 勇はい。公共料金をクレジットカード払いに切り替えるには、契約ごとにお客さま番号とカード番号を入力する必要があり、手作業で何千件も行うのはかなりの手間です。それをBPORTUSが代行することで、企業側は手間なくデジタル化と業務効率化を実現できる日本初の(BPORTUS調べ)サービスです。三井住友カードがクレジットカードを発行し、BPORTUSが納付書の支払い方法をクレジットカードに変更するという流れです。納付書は銀行に持込があるものなので、お客さまのお支払いを調べる部分は三井住友銀行と協力して行いました。

BPORTUS 鈴木私は前職時代、紙の納付書処理に10年ほど関わってきましたが、効率化やアウトソーシングしたいというニーズは当時から非常に高かったです。今回のように三井住友銀行・三井住友カード、そしてBPOサービスを手がけるBPORTUSという三社がそろったからこそ、ようやく実現できたと実感していますし、画期的でもあると感じています。

サービス化のきっかけはどのようなものでしたか。

SMBC 島谷第一号案件をご契約いただいたお客さまから、カード払いへの切り替え作業の代行ニーズをお伺いしたのが2月頃。非効率で膨大な納付書業務であり、当行としてもSMBCグループの力を活かして、何とかお客さまのお力になれないかと検討をはじめました。

株式会社三井住友銀行 名古屋法人営業第二部 部長代理
島谷 将紀氏

BPORTUS 勇日本を代表する大手企業からも同様の相談を複数受けており、ニーズの存在が確認できました。そのため、急ぎサービスとしての提供に至りました。

センシティブな情報を扱うことに、企業側から不安の声はありませんか?

BPORTUS 勇お客さまにとって、情報提供先として銀行への信頼は非常に大きいです。本件ではカード番号など非常に重要な情報を取り扱うため、強固な信頼関係がなければ成立しない仕組みです。その点においても、SMBCグループならではの強みを発揮できたと思います。

BPORTUS 鈴木レギュレーションに準拠したセキュリティ水準を確保し、不正利用を防ぐため決済上限額や支払先の制限などの設定を駆使して、お客さまに安心していただけるサービスの提供を心がけています。

企業・銀行双方の業務効率化を実現。数字で読み解く導入効果

導入後、どの程度の業務効率化が見込めるのでしょうか。

BPORTUS 鈴木本サービスは、第一号案件として名古屋を中心に不動産関連の事業を展開されているお客さまからご契約をいただいています。そのお客さまは毎月2,000件弱、年間20,000枚ほどを納付書払いしていました。そのうち約7割をカード払いに切り替える予定です。

SMBC 島谷お客さまにとっても、大きな負担感がある紙処理が軽減され、毎月の紙の事務が減ります。しかもクレジットカードに切替を行えば決済情報はデータ化され、CSVを取り込めば簡単に消し込みが完了します。

BPORTUS 勇一般的なカード会社ではカード利用明細のデータ連携は数日~1カ月に1回程度に留まることが多いのに対し、三井住友カードは毎日データ連携できるのも強み。経理業務を行うためにクレジットカードのデータ連携日を待たずとも良いので、既存の業務フローを崩さずに、スムーズな移行が可能です。

SMCC松野さらに、三井住友カードでは1枚ごとの情報ではなく、法人単位で全カードの明細データを一括で提供できるため、お客さまにとって管理の効率性が高いのも特徴です。

三井住友カード株式会社 名古屋営業部
松野 健一氏

BPORTUS 勇経理部門は人材不足に加え、出社して郵送物を受け取る必要があるなど、物理的制約も多い部門です。こうした紙業務の削減が進めば、リモート比率も高まるはずです。

今こそ紙からの脱却を。拡がる可能性と社会的意義

切り替え作業にはコストもかかるのではないでしょうか。

SMBC 島谷確かに初期対応には一定のコストはかかりますが、1度頑張ることで毎月発生する紙の事務が軽減されるのであれば、将来的な負荷をなくせるとも言えますし、長期的には十分にリターンが見込めると思います。

BPORTUS 勇「カード登録BPOサービス」は三井住友銀行とBPORTUS、実務を担う会社の3社で特許を申請する予定です。またBPORTUSと三井住友カードで本サービスの汎用商品化の検討を進めています。他行では断られるような依頼にも、SMBCグループなら支援・伴走できるという強みを活かしていきたいです。

今後、スタートアップやアーリーステージの小規模企業にもサービス展開される予定はありますか?

BPORTUS 勇前向きに検討しています。学習塾や飲食店など、拠点がたくさんあり、たくさん納付書払いが発生する企業にニーズがあると想定しています。

SMBC 島谷なによりも、紙業務を限りなく減らし、理想はゼロを目指していくことが重要だと考えています。

BPORTUS 鈴木誰でもいきなり「数千件の契約の支払い方法を1件ずつクレジットカードに変更する必要がある」と言われたら、ためらいを感じますし、誰がどのように進めるのかという課題も出てきます。さまざまな要件を整理しながら、「今のやり方を大きく変えなくても大丈夫ですよ」とお伝えできるかどうか。それこそが、BPORTUSがこれまで積み重ねてきた取り組みです。お客さまの業務フローを正しく理解し、丁寧に支援することを心がけています。公共料金の出納企業側にもメリットがあります。納付書の印刷・封入・郵送のコスト削減に直結し、ペーパーレス化はカーボンニュートラルSDGsへの貢献につながる、社会的意義の高い取り組みです。DX、キャッシュレス、ペーパーレスなど、いわゆる時代のキーワードに合致したサービスであり、社会、ひいては地球にもプラスとなる取り組みであると考えています。


PROFILE※所属および肩書きは取材当時のものです。

  • 株式会社BPORTUS 新規事業開発 特命係 兼 プロジェクトマネージャー

    勇 春彦氏

    1995年生まれ。奈良県出身。SMBCに入行し、京都で法人営業を経験。(株)ことらへ出向し、RM統括・R&Dエグゼクティブディレクターとして事業立ち上げに貢献。2024年10月より(株)BPORTUSに出向し、新規事業開発に従事。趣味は水族館・国宝巡りと読書とグルメ。

  • 株式会社BPORTUS ビジネスサービス事業部 次長

    鈴木 修氏

    1989年さくら情報システムへ入社し、三井住友銀行及び関連会社のシステム運用、システム開発を経て、現在BPORTUSで決裁業務に関わるサービス開発に従事。趣味は、バイクツーリングとキャンプ。

  • 株式会社三井住友銀行 名古屋法人営業第二部 部長代理

    島谷 将紀氏

    2017年三井住友銀行入行。関西で法人営業の経験を経て現職。現在は、東海地区の大企業から中堅企業の法人営業担当として営業活動に従事。休日は育児に奮闘中。

  • 三井住友カード株式会社 名古屋営業部

    松野 健一氏

    2021年三井住友カード入社。現在は東海地区の大企業への法人営業担当として、法人カード・キャッシュレス決済端末「stera」・データ分析送客サービス「Custella」などの営業に従事。趣味はカメラ。

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DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。

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類義語:

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BPORTUS
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類義語:

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類義語:

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