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ウェビナー

Webinar

類義語:

  • オンラインセミナー,ウェブセミナー,バーチャルイベント

インターネット上で実施されるセミナーや講演会などのイベントを指す。Web(ウェブ)とSeminar(セミナー)を組み合わせた造語で、インターネットに接続されたデバイスを通じて、リアルタイムもしくは録画形式で講演を視聴したり、質疑応答に参加することができる。

ウェビナーとは?セミナーとの違いや活用方法、技術などを解説

ウェビナーは、コロナ禍を契機に急速に普及した、オンライン上で開催されるセミナーの総称です。場所や時間の制約を受けずに参加できる利便性と、アーカイブ視聴や分析機能など、デジタルならではの特長を持っています。

ウェビナーは、企業の情報発信や教育研修、マーケティング活動など幅広い分野で活用されています。本記事では、ウェビナーの仕組みや技術、活用分野などについて解説します。

ウェビナーとは

ウェビナーは、インターネットを介して映像・音声・資料などを配信し、双方向のコミュニケーションを可能にする仕組みです。専用のウェビナープラットフォームやビデオ会議ツールを使用して開催されることが一般的です。

ウェビナーとセミナーとの違い

セミナーは現地に行って受講するという地理的な制限がある一方で、ウェビナーは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを通じて、参加者がオンライン上で講義・セミナーを受講できる仕組みです。主催者側は場所を借りる必要がなく、参加者も物理的な移動をせずに済むため、コストの削減と利便性の向上が図れます。

近年では、企業のマーケティング活動だけでなく、新入社員研修、商品説明会、社外向け勉強会などさまざまな用途で利用されており、DX推進の文脈でも注目されています。

項目 セミナー ウェビナー
形式 対面型(会場) オンライン型
会場費用 必要 不要
移動 必要 不要
リアルタイム性 高い 高い
(録画形式もあり)
参加者の上限 会場の収容人数に依存 ネット回線の容量に依存
(数千人も可)
双方向性 会場での質疑応答 チャットや投票機能などで
対応可能

従来の対面式セミナーは、物理的な会場に参加者が集まる必要がありました。一方、ウェビナーはインターネット環境さえあれば、世界中どこからでも参加できるのが特徴です。主催者は映像・音声・画面共有などを通じて情報を発信し、参加者はチャットやQ&A機能、アンケート、挙手機能などを使って双方向のコミュニケーションを取ることができます。

ウェビナーのもう一つの大きな特徴は、録画機能です。リアルタイムで参加できなかった人のためにアーカイブとして保存し、後日視聴できるようにすることができます。また、参加者の行動データを収集・分析できるため、マーケティング活動にも活用されています。

時間や場所の制約を受けない、移動コストが削減できる、グローバルな視聴者にリーチできるなど、ウェビナーにはさまざまなメリットがあります。一方で、ネットワーク環境に依存する、対面でのコミュニケーションに比べて参加者の集中力を維持しにくいなどの課題もあります。

ウェビナーの種類

ウェビナーは、実施形態や参加形式によって次の3種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ライブ配信型
リアルタイムで配信されるウェビナーです。講演者と参加者が同時に接続し、質疑応答やディスカッションをその場で行うことができます。臨場感があり、参加者とのインタラクションを重視する場合に適しています。設定した日時に参加する必要があるため、参加者のスケジュール調整が必要になります。

オンデマンド配信型
事前に収録されたコンテンツを、参加者が好きな時間に視聴できるウェビナーです。ライブ感はありませんが、参加者は自分のペースで学習でき、何度でも繰り返し視聴することができます。講演者にとっても、一度収録すれば何度でも活用できるメリットがあります。ただし、リアルタイムの質疑応答ができないため、双方向性は限定的です。

ハイブリッド型
ライブウェビナーとオンデマンドウェビナーを組み合わせた形式です。まずはライブで配信し、その後アーカイブとして提供するケースが多いです。また、一部の参加者は会場に集まり、残りの参加者はオンラインで参加するという形式も含まれます。ライブの臨場感とオンデマンドの柔軟性、両方のメリットを活かすことができます。

ウェビナーに使われている技術

ウェビナーでは、主に「ストリーミング技術」「クラウドコンピューティング」「WebRTC」「AI技術」「暗号化技術」「CDN」といった技術を使用しています。それぞれの内容を見ていきましょう。

ストリーミング技術
ウェビナーの核となるのが、映像や音声をリアルタイムで配信するストリーミング技術です。HLS(HTTP Live Streaming)やDASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)などのプロトコルが使用されています。これらの技術により、視聴者の回線速度に応じて自動的に画質を調整するアダプティブストリーミングが可能になり、安定した視聴体験を提供できます。

クラウドコンピューティング
大規模なウェビナーを支えているのがクラウドコンピューティングです。クラウドサービスを利用することで、数千人、数万人規模の同時接続にも対応できる拡張性を確保しています。また、サーバーの管理や保守の手間が軽減され、主催者は配信内容に集中することができます。

WebRTC
Web Real-Time Communicationの略で、ブラウザ間で直接、音声、映像、データをやり取りできる技術です。プラグインやアプリのインストールが不要で、ウェブブラウザだけでリアルタイムコミュニケーションが可能になります。小規模なウェビナーやウェブ会議で広く使われています。

AI技術
ウェビナーの運営や分析にAI技術が活用されています。自動字幕生成、リアルタイム翻訳、音声認識によるテキスト化、参加者の行動分析など、AIによって効率化や付加価値の創出が進んでいます。また、AIを活用した自動フォローアップメールの送信など、マーケティングとの連携も進んでいます。

暗号化技術
ウェビナーでやり取りされる情報を保護するために、SSL/TLS暗号化などのセキュリティ技術が採用されています。特に企業の内部情報や個人情報を扱うウェビナーでは、エンドツーエンドの暗号化やアクセス制限機能が重要です。

CDN
Content Delivery Networkの略で、世界中に分散配置されたサーバーネットワークを使って、視聴者に最も近いサーバーからコンテンツを配信する技術です。これにより、遅延を最小限に抑え、多数の視聴者に安定した品質でコンテンツを届けることができます。大規模なウェビナーには欠かせない技術です。

ウェビナーはどのように活用できるか

ウェビナーは、ビジネスや教育をはじめ、さまざまな分野で活用されています。

ビジネス
企業では製品・サービスの紹介、新規顧客の獲得、既存顧客の育成などのマーケティング活動にウェビナーが活用されています。また、社内研修や全体会議、株主総会などもウェビナー形式で実施されることが増えています。営業活動においても、対面での商談に代わるオンライン商談の手段として定着しつつあります。

IR(Investor Relations)活動では、決算説明会をウェビナー形式で開催する企業が増加。個人投資家向けの説明会も、より多くの投資家にリーチできるウェビナー形式が主流になっています。

業界全体のトレンドを俯瞰すると、マーケティングオートメーションツールとの連携によるリード獲得や育成の効率化、オンデマンド型とライブ型を組み合わせたハイブリッド戦略の採用が進んでいます。

教育
教育機関ではオンライン授業やeラーニング、公開講座などにウェビナーが活用されています。コロナ禍を経て、K-12(幼稚園から高校まで)や高等教育機関でのオンライン授業が一般化し、対面授業と併用するハイブリッド型の教育モデルが確立されつつあります。

また、MOOCs(Massive Open Online Courses)のような大規模公開オンライン講座や、専門スキルを学べるオンラインコースプラットフォームの普及により、生涯学習の機会が拡大しています。グローバルな教育格差の解消にも貢献しています。

医療
医療分野では医療従事者向けの研修や学会、患者向けの健康セミナーなどにウェビナーが活用されています。COVID-19パンデミック以降、オンラインでの医療教育やCME(継続医学教育)プログラムが急速に普及。国際的な医学会議もハイブリッド形式が定着しています。

また、患者教育や健康情報の発信にもウェビナーが活用され、特に慢性疾患の管理や予防医学の分野で効果を発揮しています。遠隔地の患者や移動が困難な患者にも医療情報を届けられる点が評価されています。

政府・自治体
政府や自治体では住民向けの説明会や公聴会、防災訓練などにウェビナーが活用されています。行政サービスのデジタル化に伴い、市民参加型のオンラインイベントやタウンホールミーティングのウェビナー化が進んでいます。また、防災情報の発信や緊急時の情報共有にもウェビナー形式が採用されています。

透明性の向上や市民参加の促進といった観点からも、ウェビナーは民主的なガバナンスツールとして機能しています。

エンターテイメント
エンターテイメント分野では、バーチャルコンサートやファンミーティング、トークイベントなどにウェビナー技術が応用されています。特にアーティストとファンを直接つなぐ双方向型のイベントが人気を集めています。

メタバースとの統合によるイマーシブ(没入型)なバーチャルイベントの開催や、NFTとの連動による特別なアクセス権や記念品の提供など、新たなビジネスモデルも登場しています。

まとめ

時間や場所の制約を超えた情報共有を可能にするウェビナーは、ビジネスコミュニケーションの重要なツールとして定着しています。技術の進化により、より没入感のある体験や、AIを活用した効率的な運営、データ分析に基づく効果測定など、さらなる発展が期待されています。

特にメタバースやVR/AR技術との融合、AIによるパーソナライズ化、より高度なインタラクティブ機能の実装など、ウェビナーの未来は多様な可能性を秘めています。これからもビジネスや教育、エンターテイメントなど様々な分野でウェビナーの活用が進み、新たなコミュニケーションスタイルが生まれていくでしょう。

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新着用語

プラットフォーム
(Platform)

類義語:

サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる標準環境」を指す。

DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。

メタバース
(Metaverse)

類義語:

「Meta」と「Universe」から形成される造語で、コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、3次元の仮想空間やそのサービス。

NFT
(Non-Fungible Token)

類義語:

ブロックチェーン技術を使用した非代替性トークン。画像・動画・音声など、容易に複製可能なアイテムを一意なアイテムとして関連づけることが可能。

VR
(Virtual Reality)

類義語:

  • 仮想現実,バーチャルリアリティー

コンピューターによって創り出された仮想的な空間などを現実であるかのように疑似体験できる仕組みを指す。

AR
(Augmented Reality)

類義語:

拡張現実と訳されるAugmented Realityの略で、現実世界とデジタル情報を重ね合わせ、CG等で作った仮想のものを現実世界に反映(拡張)させていく技術のこと。

クラウド
(cloud)

類義語:

インターネットを通じてデータやアプリケーションをリモートサーバーに保存し、管理、処理する技術。ユーザーは自分のデバイスにデータを保存する必要がなく、どこからでもアクセス可能。データストレージ、コンピューティングリソース、アプリケーションなどのサービスがある。

AI
(artificial intelligence)

類義語:

  • 人工知能

コンピュータが人間の思考・判断を模倣するための技術と知識体系。