DX用語辞典
2026.06.18更新

サイバーセキュリティ

cyber security

類義語:

保有するデジタルデータやシステム類への不正アクセス、およびそれにより発生した盗難や破壊などといった「サイバー攻撃」から保護すること。

サイバーセキュリティとは?重要視される背景や講じるべき対策をわかりやすく解説

さまざまな業務にデジタル技術やインターネットを活用するなかで、サイバー攻撃の被害を耳にする機会が増え、サイバーセキュリティに興味を持っているセキュリティ担当者の方もいるのではないでしょうか?
サイバーセキュリティは、サイバー攻撃や不正アクセスなどからデータを守る取り組みです。サイバー攻撃が巧妙化する現代で、重要性が増しています。
本記事では、サイバーセキュリティの概要や重要視される背景、主な対策などを詳しく解説します。未然に被害や損失を防ぐために、ぜひ参考にしてみてください。

サイバーセキュリティとは

サイバーセキュリティとは、企業や組織が保有するネットワークやシステム、機密情報などを、サイバー攻撃や不正アクセスといった脅威から守るための取り組みです。
単にシステムを外部の攻撃から防ぐだけでなく、機密情報の保護、業務中断の抑止、法令順守なども主な目的として含まれます。技術的な対策はもちろん、従業員教育や継続的な監視、インシデント対応計画の策定など、包括的なセキュリティ対策が欠かせません。
ネットワークや機密情報をサイバー攻撃から守ることは、攻撃による業務停止や、それに伴う業績悪化・信頼失墜などを間接的に防ぐことにもつながります。

サイバーセキュリティと情報セキュリティの違い

サイバーセキュリティと混同されやすい言葉に「情報セキュリティ」があります。サイバーセキュリティと情報セキュリティの主な違いは、以下の通りです。

サイバーセキュリティ 情報セキュリティ
対象範囲 ・ネットワーク
・システム
・デジタルデータ
デジタル・紙・口頭など、あらゆる情報資産
対策する
脅威
・サイバー攻撃
・不正アクセス
・マルウェア など
・情報漏えい・改ざん・紛失
・内部不正 など
主な対策 ・ファイアウォール
・侵入検知システム
・暗号化 など
・アクセス管理
・物理的管理
・従業員教育 など

サイバーセキュリティは、インターネットやネットワーク、システムを対象に、サイバー攻撃や不正アクセスといったデジタル上の脅威に特化したセキュリティ対策です。
一方、情報セキュリティは、デジタルデータだけでなく、紙の書類や口頭でのやり取りなど、あらゆる形態の情報資産を守ることを目的としています。機密情報や個人情報の漏えい・改ざん・紛失といった幅広いリスクへの対応が含まれるのが、サイバーセキュリティとの大きな違いです。

サイバーセキュリティが重要視される背景

サイバーセキュリティが重要視されている背景は、以下の3つです。

  • サイバー攻撃が巧妙化している
  • サイバー攻撃による被害・損失が増加している
  • さまざまな技術の活用でセキュリティリスクが高まっている

なぜサイバーセキュリティが必要なのかを理解するために、まずは背景を正しく理解しましょう。

サイバー攻撃が巧妙化している
サイバーセキュリティが重要視される背景のひとつに、サイバー攻撃の急速な巧妙化があります。
新しいテクノロジーは企業や個人にメリットをもたらす一方で、悪意を持った攻撃者にも恩恵をもたらしており、強固なセキュリティに対しても攻撃を仕掛けられる手口や技術を開発できるようになっているためです。
近年は、AIを活用した攻撃の台頭が深刻です。サイバー犯罪者はAIを使用して高度な攻撃を実行しており、偽のメールやアプリケーション、ビジネス文書を短時間で作成するケースも考えられます。
また、重要なインフラを狙うランサムウェアも進化し続けており、攻撃の手口は年々複雑化しています。

サイバー攻撃による被害・損失が増加している
サイバー攻撃による経済的な損失は、年々拡大傾向にあります。攻撃を受けると、製品やサービスの提供に支障をきたし、収益低下や企業の信頼失墜を招くだけでなく、復旧対応や体制強化、従業員教育などにも多額のコストが発生します。
総務省が発表した「令和5年 情報通信白書」では、企業や機関が調査したサイバー攻撃による被害・損失をまとめています。たとえば、トレンドマイクロ株式会社が実施した調査では、2021年に起きたセキュリティインシデントに起因した1組織あたりの年間平均被害額は3億2,850万円にのぼりました。
新しいテクノロジーによってサイバー攻撃が巧妙化し、攻撃できるシステムやセキュリティの幅が広がっていることを考慮すると、今後被害・損失が拡大することが考えられるでしょう。

さまざまな技術の活用でセキュリティリスクが高まっている
さまざまなテクノロジーが登場し、デジタル化が加速したことで、新たなセキュリティリスクが生じています。
クラウドを活用すると、必要なときにいつでもシステムやデータにアクセスできる反面、管理すべきネットワークの範囲が広がります。その結果、設定のミスや、システム間の連携に使うAPI(データのやり取りをする仕組み)のセキュリティ対策が不十分になるといった、悪意のある攻撃者に狙われる隙が生まれやすくなります。
また、働き方の変化もリスク要因のひとつです。リモートワークやハイブリッドワーク、個人所有デバイスの業務利用(BYOD)の普及により、セキュリティチームが保護すべき接続・デバイス・アプリケーション・データが増加し、攻撃者が悪用できる対象も広がっています。
さらに、IoTについては、IoTネットワーク内の接続デバイスの多くは、デフォルトでは保護が不十分なため、悪意のある攻撃者によって乗っ取られるリスクがあります。

サイバーセキュリティで対策しなければならないサイバー攻撃の種類

サイバーセキュリティで対策しなければならないサイバー攻撃の種類は、多岐に渡ります。
効果的なセキュリティを実施するためには、どのような攻撃が自社に攻撃を与え、どのような影響をもたらすかを知ることが重要です。
主なサイバー攻撃の種類と、企業に与える影響を以下の表にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

サイバー攻撃
の種類
概要 影響
マルウェア システムへの侵入・破壊を目的とした悪意のあるソフトウェアの総称 ・データの破壊・窃取
・システムの停止
・業務障害の発生
ランサムウェア データをロックし、解除と引き換えに金銭を要求するマルウェアの一種 ・業務の完全停止
・多額の身代金被害
・データの消失
・企業信頼の失墜
フィッシング
攻撃
実在する企業を装ったメールなどで、パスワードや個人情報を騙し取る手口 ・認証情報の窃取
・不正送金の被害
・個人情報の漏えい
分散型DoS(DDoS)
攻撃
大量のトラフィックを一斉に送りつけ、サーバーやWebサービスをダウンさせる攻撃 ・サービスの強制停止
・機会損失の発生
・ブランドイメージの低下
中間者攻撃 通信する2者の間に割り込み、内容を盗聴・改ざんする攻撃 ・機密情報の窃取
・通信内容の改ざん
・なりすまし被害
ゼロデイ攻撃 修正パッチが出る前のソフトウェアの脆弱性を突く攻撃 ・無防備な状態での侵害
・被害の長期化・深刻化
AI攻撃 AIを悪用した攻撃や、AIアプリケーションへの攻撃 ・フィッシング被害の拡大
・検知をすり抜けた侵害
SQLインジェクション Webフォームなどに不正な命令を入力し、データベースを操作する攻撃 ・顧客情報の大量漏えい
・データの改ざん・削除
内部脅威 従業員や委託業者など、正規のアクセス権を持つ内部の人物による故意・過失の侵害 ・機密情報の漏えい
・内部からのシステム破壊

サイバーセキュリティ対策例6選

サイバー攻撃による被害・損失を防ぐためには、多角的なサイバーセキュリティ対策が必要です。
ここでは、主なサイバーセキュリティ対策例を6つ解説します。

  • 境界防御
  • エンドポイント・セキュリティ
  • ネットワーク・セキュリティ
  • アプリケーション・セキュリティ
  • アイデンティティ/アクセス・セキュリティ
  • AIセキュリティ

境界防御
境界防御とは、社内ネットワークと外部ネットワークの境界を守り、不正アクセスや攻撃の侵入を防ぐ対策です。
ファイアウォールによる通信の制御や、侵入検知システム(IDS)・侵入防止システム(IPS)による不審な通信の検知と遮断などが代表的な手法として挙げられます。

エンドポイント・セキュリティ
エンドポイント・セキュリティとは、ネットワークに接続するパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末(エンドポイント)を脅威から保護する対策です。
悪意のあるウイルスの検出・除去や、端末上の不審な動作の監視などを通じて、エンドポイントを侵入口とした被害を防ぎます。リモートワークや個人デバイスの業務利用(BYOD)が広がる現代において、特に重要性が高まっている領域です。

ネットワーク・セキュリティ
ネットワーク・セキュリティとは、社内ネットワークへの不正アクセスを防止するための対策です。境界防御が「外からの侵入を防ぐ」ことを主眼とするのに対し、ネットワーク・セキュリティは「ネットワーク内部の通信全体を監視・制御する」点が特徴です。
進行中の攻撃をリアルタイムで検知したり、侵害を阻止したりすることで、攻撃の被害を最小限に抑えます。

アプリケーション・セキュリティ
アプリケーション・セキュリティとは、Webアプリケーションやソフトウェアの開発段階から、セキュリティの脆弱性やリスクを作り込まないための対策です。
リリース後にセキュリティの問題が発覚すると、修正コストが大幅に増加するため、開発工程の早い段階からセキュリティテストを実施したり、セキュリティポリシーを策定したりすることが重要です。

アイデンティティ/アクセス・セキュリティ
アイデンティティ/アクセス・セキュリティとは、「誰が、いつ、何にアクセスできるか」を適切に管理する対策です。正しい人・システムだけが必要なタイミングで必要なリソースにアクセスできる環境を整えることを目的とします。
多要素認証(MFA)の導入やアクセス権限の最小化、ゼロトラストセキュリティの考え方に基づいたアクセス管理などが、代表的な取り組みです。

AIセキュリティ
AIセキュリティとは、AIを経由したサイバー攻撃からシステムを保護するための対策です。プロンプトインジェクション、データポイズニング、モデル窃取などのリスクからAIアプリケーションを保護することが主な目的です。
悪意のある指示をプロンプトに潜り込ませたり、AIを使って偽メールや悪意あるコンテンツを自動生成したりする脅威に対して、システムを保護することで、AI経由の情報漏えいやフィッシング被害を防ぎます。

サイバーセキュリティ対策の優先順位の考え方

サイバーセキュリティの対策は多岐にわたりますが、すべてを同時に実施する必要はありません。数ある対策のなかで優先順位をつけて導入していくことが重要です。
限られたリソースのなかで効果を最大化するために、以下の3ステップで考えると整理しやすくなります。

  1. リスクの分析
  2. 自社の運用状況の把握
  3. 予算・コストをもとにした対策の優先順位づけ

まず自社が直面しているリスクを把握します。扱うデータの機密度、過去に自社や同業他社で起きたインシデントの傾向、攻撃を受けた際に業務停止や売上損失につながるシステムはどこかといった観点で洗い出すとよいでしょう。
次に、対策を導入できるかを判断するために、自社の運用状況を確認します。組織の運用状況を考慮したうえで優先順位を決定し、現場の負荷によっては段階的な導入計画を立てましょう。
最後に、予算・コストのバランスを考慮し、対策の優先順位を決めます。費用対効果の高い対策から着手し、まず高リスクの領域に集中したうえで、段階的に対象範囲を広げていくのが基本的な進め方です。

参照:制御システムのセキュリティ対策優先順位付けガイド|IPA 独立行政法人情報処理推進機構

サイバーインシデント発生時の初動対応

サイバーセキュリティ対策を実施していたなかでも、万が一サイバーインシデントが発生した場合、被害を最小限に抑えるためには迅速かつ適切な初動対応が欠かせません。
サイバーインシデントが発生した際の初動対応は、以下のステップで進めましょう。

  1. 検知・初動対応
  2. 報告・公表
  3. 復旧・再発防止

まず5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうしたのか)の観点で状況を調査しましょう。被害を受けたネットワークや対象機器を隔離し、システムやサービスの停止を行い、被害の拡大を防ぐことが大切です。
次に、インシデントの影響や迅速な対応のために、社内への報告や社外への公表を行います。報告の遅れによる二次被害や責任範囲の拡大などを防ぐため、あらかじめ報告ルートを決めておきましょう。
ネットワークや対象機器などの復旧後は、インシデントの原因を分析し、再発防止を図ります。セキュリティの強化やポリシーの更新など、再発しないための具体的なアクションを行いましょう。

参照:中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き|IPA 独立行政法人情報処理推進機構 セキュリティセンター

サイバーセキュリティ対策事例|日本企業のサイバーセキュリティ底上げを支援

企業がサイバー攻撃の被害を受けたニュースが後を絶たず、件数が年々増加しているなかで、SMBCグループ(三井住友銀行)、MS&ADグループ(三井住友海上火災保険)、チェンジグループ(サイリーグホールディングス、イー・ガーディアン)の3グループは、共同でSMBCサイバーフロント株式会社を2025年2月に設立しました。
SMBCサイバーフロント株式会社は、中堅・中小企業を対象にセキュリティ対策の実現を支援し、国内企業のサイバーセキュリティ対策の底上げを目指しています。
セキュリティ対策の現状をヒアリングをもとに可視化し、第三者の視点から短期・中期的な実行計画の策定から支援をスタートします。自社のセキュリティツールを持たないからこそ、フラットな目線で対策に最適なツールやソリューションを柔軟に提案できる点が強みです。
SMBCサイバーフロント株式会社が設立された背景やサービス内容、今後の展望などを詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてみてください。

取り組み

2025.05.15

中堅・中小企業のサイバーセキュリティ対策を支援。SMBCサイバーフロント

まとめ

サイバーセキュリティとは、企業や組織のネットワーク・機密情報をサイバー攻撃や不正アクセスから守るための取り組みです。攻撃の巧妙化や被害の増大、IoT・クラウドの普及によるリスク拡大を背景に、その重要性は年々高まっています。
マルウェアやランサムウェアなど多様な攻撃の種類を把握したうえで、境界防御やエンドポイント・セキュリティなどの対策を進めることが重要です。
すべてを一度に実施するのではなく、リスク分析や自社の運用状況、予算を考慮しながら優先順位をつけて取り組みましょう。万が一インシデントが発生した際は、検知・初動対応・報告・復旧の流れで迅速に対処することが被害を最小限に抑える鍵となります。
DX-Linkは、SMBCグループが運営するDX情報発信メディアです。DXやサイバーセキュリティなどに関するお困りごとや相談がある場合は、以下から気軽にお問い合わせください。

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新着用語

サイバー攻撃
(cyber attack)

類義語:

  • サイバーテロ

インターネットを介してパソコンやサーバーなどの情報端末に対し、システムの破壊や情報の改ざん、窃取などをする行為。

改ざん

類義語:

  • 不正改変,データ操作

データや文書を不正に書き換えること。Webサイトの改変や決算数値の操作などが該当し、信頼性の失墜や実害を招く。対策として、電子署名の活用やブロックチェーンによる履歴保存、アクセス制限の強化が不可欠。

AI
(artificial intelligence)

類義語:

  • 人工知能

コンピュータが人間の思考・判断を模倣するための技術と知識体系。

クラウド
(cloud)

類義語:

インターネットを通じてデータやアプリケーションをリモートサーバーに保存し、管理、処理する技術。ユーザーは自分のデバイスにデータを保存する必要がなく、どこからでもアクセス可能。データストレージ、コンピューティングリソース、アプリケーションなどのサービスがある。

API
(Application Programming Interface)

類義語:

ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェース(異なる2つの事物の間をつなぐ)のことを指す。

IoT
(Internet of Things)

類義語:

  • ICT

従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をし新たなビジネスモデルを創出する仕組み。