こどもたちの夢を育み、未来の可能性を広げるため、そして中期経営計画で掲げる「幸せな成長」の実現に向けて、SMBCグループは、東京都板橋区にある三井住友銀行出張所の跡地を、こどもたちの学びや体験を支援する場「アトリエ・バンライ-ITABASHI-(以下、アトリエ・バンライ)」として新たに開設した。各種体験プログラムやこども食堂などを提供するためにリニューアルされた同施設ではどのような取り組みが行われているのか。フリーアナウンサーの宇賀なつみ氏が訪問して話を聞いた。
※本記事は2025年6月30日に日経電子版広告特集で公開されたものです。掲載内容は公開当初のものであり、最新情報と異なる場合があります。
宇賀 もともと銀行の店舗だったとは思えない内装ですが、どんなところにこだわったのでしょうか。
進藤 ここは、46年間、板橋中台出張所という名称で地域の銀行として営業していましたが、2023年から窓口業務が他店に移って遊休化していました。窓口があり、金庫や貸金庫、支店長室、社員食堂などがあるという一般的な銀行の店舗です。
リニューアルにあたり内装の吹き抜け部分や、奥の金庫をそのまま事務室として利用するなど、銀行の基本的な構造をできるだけ活かし、もとの出張所の面影は残すようにしました。
吉沢 こどもたちに解放する場所なので、「明るい」「かわいい」「楽しそう」というイメージを伝えることにもこだわりました。さらに、建物のあらゆる場所の危険性を検証し、階段に柵を設ける、看板の位置を工夫するなど、安全面も考慮した設計・デザインにしています。
大萱 体験の証(あかし)となるトークンポストも工夫したところです。こどもたちが様々な体験ができる毎週のプログラムでは、その内容に応じた色のトークン(木のブロックを色付けしたもの)を配り、終了後に出入口に設置したポストに入れてもらいます。
各トークンの色はアトリエ・バンライのロゴに含まれるアイコンマーク(音符・貨幣など)と連動しており、例えば食のイベントでは茶色のトークンを入れてもらいます。ここでの学びや体験という資産を貯めてもらい、ポストが様々な色のトークンであふれることを楽しみにしています。
宇賀 壁一面に本棚があって様々な本が並べられているのも特徴的ですね。
河村 板橋区立中央図書館のプロデュースも行っている図書館流通センターに、「こどもたちへ好奇心という資本を提供する」というコンセプトを説明し、4000冊の本を選んでもらいました。配置にもこだわっており、各テーマに合った物語(文学)や絵本、写真集なども一緒に書架に並べています。サッカーのルールブックの横にサッカーの小説やゲームの解説本があることで連続的な体験や、本との偶然の出会いから小さな発見を楽しみ、「新しい自分」のミライが見つかるように配置を考えてもらいました。学校の図書室にはない本が多いので、こどもたちにも新鮮に映っているようです。
実は本棚に使われている木にもこだわりがあります。昨年SMBCグループで所有した「SMBCの森」がある神奈川県伊勢原市の間伐材を活用し、優しい温かみのある本棚にしています。
宇賀 この施設はどのような目的で使われているのでしょうか。
大萱 SMBCグループとして中計初年度から特に教育機会の提供に取り組んでいます。その中で、進学や高等教育を目指す年齢になる前に多様な体験をすることでこどもたち自身が好きなことを見つけたり、意欲を持つことにつながっていくと考えました。2025年4月にオープンし、近隣の小学校の高学年を対象に無料で開放しており、校区を超えた地域のこどもたちの放課後の交流の場にもなっています。
河村 ホームページから申し込む事前登録制をとっているのですが、新学期に入って登録者数が急増しました。リピーターのこどもたちも多く、ある小学校では5年生のほぼ全員が登録しています。入退館アプリを導入しており、保護者の方に訪問通知がメールで届くことも好評です。
大萱 まずは施設の存在が周知できるか心配していましたが、結果として杞憂でした。オープニングイベントに来た児童などを経由し、口コミで広がっています。隣接の小学校の校長先生には施設の構想段階からコミュニケーションを図っていたので、学校内にチラシを設置させていただいたり、オープニングイベントに来館していただいたり、良好な関係を築いていることも追い風になっています。各所からの想定以上の反響に驚いています。
河村 施設全体としては学校と家庭以外の「安心して過ごせる居場所」としての機能を提供するとともに、体験の場を提供することを目指しています。企業や団体と連携して様々なプログラムを実施し、こどもたちに機会を提供することは保護者の方にとってもメリットがあると考えています。
宇賀 今日も2階でイベントを開催していますね。
吉沢 もともと社員食堂だった2階の厨房と食堂を改装して「バンライカフェ」と名付けて食にまつわるイベントを開催しています。手洗い台の高さをこども向けに低くするなど、使いやすさを工夫しました。今日開催しているのは、デコレーションいなりをつくる体験プログラムです。
宇賀 体験プログラムを提供してくれる企業や団体はどのように見つけてくるのでしょうか。
大萱 こども向けイベントによくブース出展でご一緒になる企業の方に声をかけたり、我々のお客さまを営業担当者経由で紹介してもらったりしています。また、この施設の存在をメディアなどを通じて知り直接お問い合わせをいただくケースも増えています。
地域の方々、自治体との連携という意味でも、こども食堂は大きな役割を果たしています。また、板橋区の社会福祉協議会にはこども食堂を実施する団体を推薦してもらっています。
宇賀 この地域ならではの特徴は何でしょうか。
進藤 通常、銀行の支店は駅前にあることが多く、安心、安全の面でこどもが集まりやすい場所ではありません。一方でこの施設は住宅街に位置しており、こどもたちにとって理想的なロケーションです。
河村 ファミリー層が多く、地域の中で進学するこどもたちが多いのもこの地域の特徴です。放課後を一人で過ごすこどももいるので、この施設がそうしたこどもたちの居場所になれば良いと思っています。
大萱 この施設があるサンシティという場所も特徴的です。大規模分譲マンション群の中にあり、隣の小学校に通う生徒も約50人いるそうで、こどもたちにとっても身近な施設になっていると思います。
宇賀 今後も銀行としてこうした取り組みを広げていく予定ですか。
進藤 このような理想的な場所はなかなか見つかりませんが、適した遊休店舗があれば広げていきたいと考えています。
大萱 こうした居場所を継続的に盛り上げるには、地域の方々や、プログラムを提供してくれる企業、各種団体の方々との連携が不可欠です。こどもの体験機会の支援という同じ目標を共有し、プログラムを充実させていくことが重要だと考えています。また、他社でも同様の取り組みが増えれば、結果的に社会課題の解決やポジティブな影響をもたらすのではないかと期待しています。
宇賀 保護者の方からの反応はいかがでしょうか。
大萱 人と一緒に何かをすることが苦手だったお子さんが、「ここのプログラムに参加してから友だちと一緒に楽しめるようになった」という声もありました。
河村 バンライニュースという月刊報にイベント情報を掲載しているのですが、次はいつごろ出るのかと聞いてくる保護者の方もいます。注目していただいているのがうれしいですね。
宇賀 銀行という場所に対する安心感もあるのでしょうね。1人で読書に集中している子やみんなで楽しそうに過ごしているこどもたちの姿を見ると、私もうれしくなります。本日はありがとうございました。
2008年三井住友銀行入行。大型PJのPMやワークスペース改革、脱炭素・自然資本関連の取組をグループ・グローバルベースで担当。アトリエ・バンライに関わる主な役割は、不動産や工事に関するプロジェクト全体の調整・取りまとめなど。
新卒で組織設計事務所に就職。2020年三井住友銀行入行、ワークスペース改革を国内外で推進。その他、SDGs・再開発案件などを担当。アトリエ・バンライに関わる主な役割は、施設に関する設計デザインの企画取りまとめなど。
1999年住友銀行(現三井住友銀行)西野田支店に新卒で入行後、大企業法人営業、国際業務、海外大学院(MBA)派遣、投融資企画部を経て2017年より経営企画部CSR室で社会貢献に従事、2023年4月社会貢献グループ長。公益財団法人三井住友銀行国際協力財団専務理事。アトリエ・バンライに関わる主な役割は企画立案など。
2016年三井住友銀行春日部支店に新卒で入行後、コンサルティング業務部、従業員組合専従を経て2023年よりサステナビリティ企画部(2024年4月より社会的価値創造推進部に改組)で社会貢献に従事。アトリエ・バンライに関わる主な役割は企画立案など。
2009年立教大学社会学部を卒業し、テレビ朝日入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビューする。「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」等、情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社しフリーランスとなる。現在はテレビ朝日系「池上彰のニュースそうだったのか!!」、カンテレ・フジテレビ系「土曜はナニする!?」のメインMCを担当。TOKYO FM「SUNDAY'S POST」等のラジオパーソナリティーにも挑戦している。