イベント・特集
new
更新

【入山章栄氏×磯和啓雄】企業変革の2つのポイントとは?Digital Summit 2023 注目セッション概要、先行公開

SMBCグループは12月5日(火)にオンラインイベント「Digital Summit 2023」を開催します。お客さまの企業のDXや課題解決へ伴走する私たちSMBCグループのネットワークを生かし、豪華ゲストとともに10のセッションを無料公開。多様なテーマでビジネスの最新知見をご紹介します。

本記事では、本イベントで放映予定のクロージングセッションの概要を先行してお届けします。

セッションでは、DXやイノベーション創出の論客として知られる早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏を招き、「僕が知っている中で、最も銀行員のイメージからかけ離れている」と入山氏が語る、三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIOの磯和啓雄と、50分にわたり議論を交わしました。

外部環境や産業構造の変化を踏まえたデジタル・AIの活用法について、またSMBCグループが取り組む事例を踏まえ、企業変革のポイントやイノベーションの起こし方についても話が及びました。

激変する社会情勢・経済情勢。入山氏が語る「4つのインパクト」

対談はビジネスバックグラウンドの話題からスタート。入山氏は「10年、20年前ならすごいインパクトがあったと感じるようなことが今、同時に複数起きている」と口火を切りました。

具体的にはウクライナ・中東の国際情勢、温暖化や気候変動の影響、深刻化する人材不足、そしてデジタル・AIの進化を挙げました。「ChatGPTのインパクトは計り知れない」と入山氏は語ります。

「AIは効率的で、人間は独創的だと言われますが、実は独創性はAIの方にこそあって、効率的なのが人間なのです」と磯和が独自の見解を述べると、「すごく面白い視点ですね」と入山氏。AIと人間の真の強みは一体何か──。議論は大いに盛り上がりました。

議論の詳細や、SMBCグループが独自に取り組んできたAIの成果は、当日のセッションでご覧ください。

お申込みはこちら(イベントサイト)

事例から紐解く、イノベーション創出において重要なこと

外部環境が大きく変化する中、あらゆる業界がその存在意義を問い直し、多くの企業が業態変革や新規事業の創出を模索しています。

銀行も例外ではありません。SMBCグループの「デジタル」×「新規事業創出」の領域でこれまでに創出した事例をもとに、これからの日本企業のイノベーションの起こし方に話が及びました。

磯和はSMBCの2つの考え方を紹介。一つは「Beyond & Connect」。既存の枠組みを超えて(beyond)、他社とつながろう(connect)というスタンスで、様々な企業との連携を強めています。そのためには保守的だった銀行内の仕組みやカルチャーを変えていく必要があるため、「Empower Innovation」を掲げ、イノベーションを促進する体制を強化しています。

具体的には、これまで紙と印鑑で行っていた契約業務をオンラインで完結させる電子契約サービス「SMBC クラウドサイン」を紹介。「法人営業部の現場の銀行員がおすすめすると、目の前でお客様に喜んでいただける。実際にそういう体験をしたことで、現場から声が上がって、新しい取り組みを応援してくれるようになったのです」(磯和)。

また、顧客企業の温室効果ガス排出量を算定し可視化するSMBCグループの新たなソリューション「Sustana(サスタナ)」については、「後発ですが1年で2,000社ほどご利用いただいています」と語りました。

入山氏はイノベーションで最も重要なこととして、「つなぐ」というキーワードを挙げました。

「イノベーションの根源は、離れたもの同士の組み合わせなんです。ゼロから何かを生み出すことは難しいので、組み合わせることが重要。SMBCが仲介することで色んなプレイヤー同士がつながって、まさにイノベーションが起きていますよね。SMBCには『媒介者』としてイノベーションの日本全体のプラットフォームになってもらいたいです」(入山氏)。

「つなぐ」に加え、入山氏はイノベーションに欠かせない重要な要素として、「デジタル」と「グローバル」のキーワードを具体的な事例とともに示しました。「僕が言いたいのは、東京を見ないで世界を見てくださいということです。デジタルでイノベーションを起こせば、グローバル、80億人のマーケットで勝負できますから」(入山氏)。

SMBCグループや他企業の新領域への挑戦事例を引き合いに、話題はデジタル活用から脱炭素、サステナビリティ、人的資本経営、最先端のアバター活用まで多岐にわたりました。

中小企業の方が変革しやすい?企業のビジネス変革に必要な「2つのポイント」

「現状維持はありえなくて、どんどん変革しないと生き残れない時代だと思います」と入山氏が語るように、激変するビジネス環境に対応するため、いかにして自社のビジネスを変革していくかについて語り合った二人。視聴者のビジネスパーソンへ熱いエールを送りました。

入山氏は変革に必要なポイントとして、「経路依存性からの脱却」と「人とデジタルとAIの関わり方」の2点を挙げました。


「経路依存性」は、過去の歴史や経緯によって決められた仕組みに縛られてしまうこと。「会社全体を変えることがすごく重要です。そういう意味では大手企業よりも、中小企業の方がチャンスは大きいです。今こそリーダーシップを持って全体を変えてもらいたい」と入山氏。

磯和からはこのようなメッセージがありました。「私が銀行に入った1990年当時は、世界の時価総額ランキングの上位30社のうち21社が日本企業でした。2023年現在、上位30社には日本企業は1社も入っていません。日本企業が再び上位に入っていけるよう、我々銀行もイノベーションを自ら起こしていきたいし、我々のお客様にも新たな価値を生み出す支援をしていきたいと思っています」。

12月5日開催「Digital Summit 2023」豪華10セッションを無料公開

SMBCグループのイベント「Digital Summit 2023」は12月5日(火)に開催。入山氏×磯和セッションの全容を含む豪華10セッションをオンラインで無料公開します。

スペシャルゲストにEXILEのHIRO氏(LDH JAPAN社CEO・五十嵐広行氏)や第5回WBC日本代表監督の栗山英樹氏を招き、全ビジネスパーソン必見のプログラムをお届けします。

こちらの特設サイトより、お気軽にお申し込みください。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール教授

    入山 章栄氏

    慶應義塾大学卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所でコンサルティング業務に従事後、2008年米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.(博士号)取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。2013年より早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授。2019年より教授。専門は経営学。国際的な主要経営学術誌に論文を多数発表。メディアでも活発な情報発信を行っている。

  • 三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO

    磯和 啓雄氏

    1990年東京大学法学部卒。入行後、法人業務・法務・経営企画・人事などに従事した後、リテールマーケティング部・IT戦略室(当時)を部長として立ち上げ、デビットカードの発行やインターネットバンキングアプリのUX向上などに従事。その後、トランザクション・ビジネス本部長としてBank Pay・ことらなどオンライン決済の商品・営業企画を指揮。2022年デジタルソリューション本部長、2023年より執行役専務 グループCDIOとしてSMBCグループのデジタル推進を牽引。

DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。

プラットフォーム
(Platform)

類義語:

サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる標準環境」を指す。

カーボンニュートラル
(Carbon Neutral)

類義語:

  • 脱炭素

温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。 「全体としてゼロに」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことで、現実には温室効果ガスの排出量をゼロに抑えることは難しいため、排出した分については同じ量を吸収または除去する。

GHG
(Greenhouse Gas)

類義語:

  • 温室効果ガス

Greenhouse Gasの略称であり、地球の温暖化現象を引き起こす気体のこと。 大気中の温室効果ガス濃度が増加すると、地球表面の温度は上昇するため、地球温暖化の主な原因とされている。