【エー・シー・エス債権管理回収×SMBC Wevox】社員定着率向上、イノベーション人材創出への道のり
千葉県に本社を構えるエー・シー・エス債権管理回収。大手流通イオングループの一社で、同グループ内の金融事業において債権回収の役割を担っています。同社は債権回収にデジタル技術を取り入れる等、業界他社に先駆けたチャレンジを行っているものの、特殊な事業領域であり、新入社員の定着と更なるイノベーションを生み出していくような意欲のある人材の育成に課題感を持っていました。
そんな課題を解決するため、2023年末から導入したのが、組織力向上のデジタルソリューション「SMBC Wevox」でした。導入後、組織はどのように変化をしたのか。ツールの導入・運用に携わる、エー・シー・エス債権管理回収 取締役 経営管理本部 本部長の原田 太輔氏、人事総務部 人事企画グループマネージャー兼サステナビリティ課長の小見山 直子氏にお話を伺いました。
また、「SMBC Wevox」の提供価値や今後の展望について、SMBC Wevox 代表取締役社長 杉本 秀和氏、三井住友銀行 本店営業 第三部 部長代理 逸見 俊平氏、アトラエ(※)近藤 美波氏にも、お話を伺いました。
※アトラエ社はSMBC Wevoxの株主の一社であり、SMBC Wevox導入企業のカスタマーサクセスの一部を業務受託している
新卒社員の退職率改善、イノベーション人材創出を目指し、「SMBC Wevox」を導入
エー・シー・エス債権管理回収(以下、エー・シー・エス)さまが「SMBC Wevox」を導入した理由を教えてください。
エー・シー・エス 原田理由は大きく2つです。まず一つは、新卒社員の退職数を減らすためです。弊社では5年ほど前から新卒採用を開始して以来、多くの優秀な人材に入社いただきました。しかし一昨年まで、毎年数名が退社をする状況で、頭を抱えていたのです。
1on1のようなコミュニケーションの機会を設けても、退職前にミスマッチの原因を特定することは難しかったです。無理やり話す機会だけをつくっても、業務管理のための時間として使われることも多く、社員が抱える悩みの早期発見にはつながりませんでした。
もう一つは、イノベーション人材を増やすためです。そもそもイオングループには、従業員一人ひとりが自主的・自立的に変革に挑戦をする組織風土があります。しかし弊社の場合、企業活動が安定化するにつれ、その勢いが感じられなくなっており、新しい挑戦が生まれにくくなっていました。そのような状況を変えるには、従業員エンゲージメントの向上が重要です。社員の一人ひとりが向上心をもち、自分の仕事を楽しめるようになれば、それだけ新しい挑戦も増えるのではないかと考えたのです。
最終的な決め手になったのは、三井住友銀行の逸見さま、そしてSMBC Wevox代表の杉本さまの熱意とそのお二人を輩出しているSMBCグループがWevoxを5年間使い続けていることでした。実はお二人には、以前から組織づくりの面でサポートをいただいており、いかに我々のことを考えて動いてくれているかが分かっていました。そんなお二人が勧めてくれるサービスならば、間違いないだろうと思ったのです。
エンゲージメント調査で考えると、似たようなツールはいくつか存在します。ただ、我々が結果を出すには、我々の課題と一緒に向き合ってくれるパートナーの存在が非常に重要だと考えていました。その点、逸見さま、杉本さまなら間違いないと思い、商談開始15分で導入を決断しましたね。
月一のエンゲージメント調査により、想定と異なる改善点を発見
実際に「SMBC Wevox」を導入していかがでしょうか?
エー・シー・エス 小見山現在、導入から約半年ほど(2024年8月時点)で、主に新卒社員を対象にサービスを利用しています。一番最初に価値を実感したのは、これまでなんとなく感じていた社員の心理状態が、数字で客観的かつリアルタイムで見えるようになったことが大きいと思っています。「やっぱりか」と思うところも、「意外だな」と思うところもありました。
特に意外だったのは、上司と部下との関係性についてです。我々は当初、新卒社員から「上司のサポートが少ない」と思われていると予想していました。しかし、実際に測定した数値を見ると、上司以外の部門をまたいだメンバーからの連携に、不十分さを感じている傾向があるとわかりました。おかげで、的外れな制度設計を避け、横の連携を強化するための取り組みに着手できたのです。
エー・シー・エス 原田実は弊社では「SMBC Wevox」の導入前から年に一度、エンゲージメント調査を実施していました。集計結果が上がってくるたびに、具体的なアクションを設計しなければと思いつつ、年に一回しか結果がわからないため、スピーディーな改善ができていませんでした。「SMBC Wevox」の場合、月一の頻度でエンゲージメント調査ができるため、スピード感を持って、新しい取り組みに関するPDCAを回せるようになりましたね。
最近は、コミュニケーション不足を解消するために、新卒社員を対象に、「SMBC Wevox」の結果をベースにした個別面談を、社長と一緒におこないました。ある程度相手の興味関心やモチベーションを把握したうえで対話をすることで、これまでよりも必要な情報をしっかりと届けられた手応えがあります。
個別面談を実施した後、自発的なアクションをおこなう社員が増えており、私のスケジュールを押さえ「もう一度話をさせてください」と連絡をしてくる新卒社員も現れるなど、変化が起こり始めています。
主体性・共同体意識の醸成が、事業拡大の核になる
エー・シー・エス債権管理回収さまはツールの利用だけでなく、活用支援オプションも導入していると伺っています。具体的にはどのようなことを実施しているのか、教えてください。
エー・シー・エス 小見山幅広いサポートをしていただいています。なかでも、サービス導入後すぐに実施いただいたのが、組織づくりに関する研修でした。若手社員向けと管理職向けにそれぞれ一回ずつ実施していただきました。
アトラエ 近藤研修でお伝えしたのは、組織改善の前提となる考え方やマインドセットです。日々の業務でどのようなコミュニケーションをとるとチームとしてよりよくなるのか、といったノウハウ的な話から、従業員エンゲージメントの向上には人事や経営層だけでなく、社員一人ひとりの主体性が必要、といった考え方まで幅広くお伝えしました。
エー・シー・エス 小見山研修後のアンケートによると、多くの若手社員が「主体性をもって仕事がしたい」と考えるようになったことがわかっています。また、自部署だけでなく、他部署のメンバーの困っていることがないかと考えるようになったこともアンケート結果からわかりました。研修でお話いただいた、「共同体意識」「主体性」の大切さが、多くの社員に響いたようです。
SMBC Wevox 杉本エー・シー・エスさまのお話を伺っていると、共同体意識が高まり、組織が理想的な状態になりつつあるなと、改めて感じました。
長らく日本企業では、より早く、より多くの製品をつくれることが大きな価値を生み、業務効率化の追求こそが経済活動における最重要指標でした。しかし今の社会では、昔ほど明確な「正解」がありません。今提供している商品やサービスが、明日には求められなくなる可能性があり、効率化だけでは太刀打ちできなくなってきているのです。一つの正解に向かって突っ走るのではなく、多様な観点から「あれもできる」「これもできる」と意見を出し合いながら、多くの「別解」を探す姿勢が求められ、改めて組織力が問われ始めていると思います。
世界に通用する、新たなアイデアが生まれ続ける環境づくりへの挑戦
今後「SMBC Wevox」の継続により、期待することをお教えください。
エー・シー・エス 原田今後も、働きやすく、イノベーションが生まれる環境づくりを進めるなかで、多くの課題が出てくるはずです。「SMBC Wevox」を活用しながら、一つひとつの課題に向き合い、対応をすることで理想の組織に近づいていければと思っています。その結果、新しい挑戦にどんどん取り組める会社へと変わっていければと思っています。
例えば、アジア進出も挑戦したいことの一つです。我々のアセットを活用しつつ、世界に通用する新しいサービスのアイデアがどんどん生まれる環境をつくっていきたいと思っています。また、新しい挑戦を続けることで、「債権回収」に対するネガティブなイメージの払拭にもつながると思っています。
エー・シー・エス 小見山同感です。人事としては、入社してくれた社員の方々に「本当にここでよかった」「ここで働けて幸せだ」と思ってもらえる組織にしたいと思っています。そのために、「SMBC Wevox」を活用し、ご支援いただきながら、従業員エンゲージメントの向上を一歩ずつ実現させていければと思っています。
「SMBC Wevox」を提供する側として、今後の展望を教えてください。
アトラエ 近藤引き続き、エー・シー・エス債権管理回収の皆さまが活き活き働ける環境づくりのために、全力でサポートできればと考えています。今は、原田さま、小見山さまをはじめ、エンゲージメント向上の火種となる方がどんどん増えている状況です。その輪を拡げながら、会社全体に大きな影響を与えることに貢献するつもりです。
エー・シー・エス債権管理回収さまが、働きがいのある企業として社内外から認められるようになれば、イオングループの他の会社さまや同業の会社さまにも同様の活動が生まれてくるようになると思います。業界全体が変わるきっかけをつくるためにも、引き続きご支援させていただければと思っています。
三井住友銀行 逸見SMBCグループは今、中期経営計画のなかで経済的価値の追求はもちろんのこと、「社会的価値の創造」を掲げています。両方の軸がなければ、社会に求められる企業になれないと考えており、私自身もその考えに深く共感をしています。ご支援させていただいている企業の方々に幸せになってもらうことが社会的価値の創造だと捉えており、エー・シー・エス債権管理回収さまはもちろん、イオングループに所属する100万人規模の従業員の方々が幸せに働くお手伝いに、引き続き注力するつもりです。
SMBC Wevox 杉本私もお二人と同じで、引き続きエー・シー・エス債権管理回収さまの組織課題解決に向けて、全力でサポートをするつもりです。
SMBCグループは、その源流である三井銀行・住友銀行の時代から考えると100年以上もの間、お客さまと一緒に「事業」をつくってきた歴史があります。その過程で培ってきたノウハウを活用しつつ、「SMBC Wevox」を通した「組織」づくりにも同時に取り組み、日本で唯一、世界で唯一のお客さまと「事業」「組織」両方を共創できる存在へと進化していきます。
事業を良くしつつ携わる人たちの働きがいを高め、その結果、さらに企業価値が高まる、という循環を生み出していきます。そして、日本経済の発展に貢献し、SMBC Wevoxのビジョンである「日本を世界で誇れる国にする」の実現を目指します。
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エー・シー・エス債権管理回収株式会社 取締役 経営管理本部 本部長
原田 太輔氏
2001年、イオンクレジットサービス(株)(現:イオンフィナンシャルサービス㈱)に中途入社。2009年にエー・シー・エス債権管理回収へ出向。センター長として債権回収業務のマネジメントを担い、その後、経営企画部門に異動し、デジタル変革を牽引。2022年より現職となり、現在は新規事業開発にも携わり、FinTech領域における新たな価値創造を目指している。
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エー・シー・エス債権管理回収株式会社 人事総務部 人財開発グループマネージャー
小見山 直子氏
新卒で航空会社に入社し、その後、テレビ局勤務やフリーの研修講師を経験。異業界で培ったコミュニケーションスキルと人材育成の経験を活かし、2015年よりエー・シー・エス債権管理回収にて採用・教育に携わり、働きがいのある組織づくりを目指し、日々挑戦を続けている。
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SMBC Wevox 代表取締役社長
杉本 秀和氏
神戸大学を卒業後、2010年に三井住友銀行へ入行。中堅企業への法人営業、小売流通業界の業界担当、本店営業部での大手企業向け営業を経て、2021年からファーストリテイリング社長室へ出向。2023年2月に同行デジタル戦略部に帰任し、SMBC Wevoxプロジェクトを立ち上げ、設立までリード。同年10月SMBC Wevox株式会社代表取締役社長に就任。
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株式会社アトラエ
近藤 美波氏
東京大学を卒業後、2020年に日本銀行へ入行。東北地方の産業調査や経済分析を担当したほか、統計作成業務に従事。2023年よりアトラエに参画し、組織力向上プラットフォーム「Wevox」のカスタマーサクセスとして、幅広い顧客の在りたい姿に向けた組織づくりを支援している。
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株式会社三井住友銀行 本店営業第三部 部長代理
逸見 俊平氏
2013年、三井住友銀行へ入社。中堅、中小企業向け法人営業に従事した後、2021年より現職。短期育児休業などの制度を活用しながら子育てと夫婦共働きの両立に挑戦中。