車両管理ツール導入でDXが加速。101法人を展開する、新潟・NSGグループの横断的取り組みの裏側とは

「住商オートリース」と「三井住友銀行オートリース」の統合により生まれた「住友三井オートサービス(以下、SMAS/エスマス)」。従来のカーリース事業に加え、時代のニーズに対応しながらモビリティにまつわるあらゆる課題解決にまい進してきました。
詳細:急変する自動車業界に対応。SMAS(住友三井オートサービス)社長が語る、次世代モビリティとサステナビリティな社会への貢献
今回、SMASの車両管理ツール「Mobility Passport」をいち早く導入された、教育・医療・福祉・建設・不動産など多岐にわたる事業を展開し、新潟県に本社を置くNSGグループ代表の池田 祥護氏を迎え、導入の背景や効果、そして新潟県を中心に101法人(2025年4月時点)を展開するNSGグループが目指すDX推進の姿について伺いました。
対談には、SMAS執行役員 関東甲信越営業本部長の大石 透氏、同社 新潟支店長の望月 浩司氏、三井住友銀行(SMBC) 新潟法人営業部 部長代理 鳥羽山 悠矢氏も参加。三井住友銀行とSMASとの連携で実現した、グループ横断的なDXの舞台裏に迫ります。
神社境内の学び舎から、新潟を代表する企業グループへ
まずは、NSGグループおよび(学)国際総合学園の概要について教えてください。
NSG 池田私の父である現NSGグループ会長の池田 弘が、新潟市の古町愛宕神社の境内で学習塾やカルチャースクールなど4部門からなる教育事業を始めたのが原点です。父は実家の神社を継ぐことに葛藤を抱えながらも、継がないことにも罪悪感を抱いていたようです。一方で、神社だけでは経営が成り立たない現実もあり、一念発起し、「事業をやるなら新潟の地域活性化に貢献したい」と、教育事業に乗り出しました。

池田 祥護氏
1975年に専修学校制度が創設されたのを機に、東京まで行かずとも新潟の地で学び、職業選択までできる場を提供しようと、「新潟ビジネス専門学校」を開校。現在では、学校法人国際総合学園では新潟県に29校、福島県に5校、計34校の専門学校を運営し、加えて大学や高等学校、学習塾や資格取得スクールなど多様な教育事業を展開しています。また、安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、医療、介護・福祉分野においても事業を広げ、さらに「学んだことを生かす場所がない」という声を受け、新潟の地で働く場を提供すべく、健康・スポーツ、建設・不動産、食・農業、ICT、広告、商社など、多岐にわたる事業を展開してきました。
現在、NSGグループは「世界一豊かで幸せなまち」をつくるというビジョンのもと、101法人を展開する企業グループへと成長しています。

「淘汰される」危機感から始まった、グループ横断DX
100社を超える多様な組織を運営する中で、DXを推進しようと思われたのはなぜですか。
NSG 池田私が代表に就任したのは、コロナ禍真っ只中の2020年でした。DXの必要性が叫ばれる中で、当時はオンライン会議や資料のクラウド化もままならず、「このままだと時代に淘汰されてしまう」という強い危機感を抱きました。
NSGグループは、業種も規模も異なる法人で構成されていますが、コンプライアンスやDXの推進といった共通の課題には、グループ全体で取り組む必要があります。そこで、グループの中核である株式会社NSGホールディングスが全体方針の整理や基盤整備の役割を担い、法人ごとの事情に寄り添いながら支援を行う体制を整えました。
2023年には経済産業省より「DX認定事業者」として認定を受けました。また、SMBCグループの皆さまと相談を重ねながら、一歩ずつ取り組んでまいりました。今回のSMASさまとの連携をはじめ、ペーパーレス化や勤怠管理など、さまざまな分野での相談を進めています。
SMBCグループとして、NSGグループの課題をどのような経緯で把握したのでしょうか。
SMBC 鳥羽山NSGグループさまとは、旧三井銀行時代から50年近くのお付き合いがあります。私自身が担当となったのは2023年4月からですが、グループが抱える課題について、本部のメンバーの方々だけではなく、グループ法人や現場の従業員の皆さまともディスカッションを重ねてきました。
NSGグループさまには1万3000人ほどの従業員がいらっしゃいますが、人口減少や人口流出の影響もあり、人的リソースは今後限られてくることが予想されます。もし見直すべき業務が各所であるのだとしたら、それらはすぐに対応すべきですし、そうした業務見直しを個社ごとの対応ではなく、グループ全体で展開できればと考えました。

鳥羽山 悠矢氏
NSG 池田創業者である父は各社の社長や責任者と直接やりとりをして、迅速に情報共有や意思決定をしてきました。そうした運営が有効であったと思います。おかげさまで業容が拡大し、法人や拠点の数も増え、グループ全体が多数の組織の集合体として成長していくなかで、組織運営の仕組みの見直しが必要となってきました。SMBCグループさまからのご提案も契機となり、グループ間での協力体制が整い始め、縦割りから横断的な連携へと変わりつつあります。
SMBC 鳥羽山嬉しいお言葉です。さまざまな課題を議論する中で、なかでも優先順位が高かったのが、ガバナンスやコンプライアンスの問題に直結しかねない「車両管理」でした。
「足元の変革」からはじまるDX。車両管理でつかんだ突破口
そこでSMASの登場ですね。実際にどのような提案をされたのでしょうか。
SMAS 望月まずは国際総合学園さまの総務部のご担当者さまと面談し、2023年12月に改正された道路交通法施行規則における運転前後の「アルコールチェック」の実施と記録、運行管理体制の改善をしたいというご要望をいただきました。
NSGグループさまではすでにアルコールチェックは行っていたものの、紙ベースで管理していたためデータが見づらく、集計や管理担当者も不明瞭な状況でした。
そこで、SMASの車両管理ツール「Mobility Passport」をご紹介しました。このツールは、運転日報の作成・管理、アルコールチェックの記録、社用車の稼働状況などを一括管理できます。2,800社以上(※2025年3月現在)で採用されており、実はNSGグループ内の愛宕商事さまでもすでに導入されていました。愛宕商事さまでは実際に効果も出ていたためNSGグループ各法人さまの課題解決に貢献できるツールであると考えご提案させていただきました。

愛宕商事さまでの具体的な効果はどれくらいありましたか。
SMAS 望月愛宕商事さまには車両20台に対し、110のIDを導入いただきました。結果として、コンプライアンス順守の体制強化だけでなく、稼働分析により稼働率の低い車両2台を減車でき、社用車の整備料や保険料、駐車場代など、2台で計50万円の経費削減につながりました。
2024年4月からは国際総合学園さまで800IDを導入いただき、今後は医療・福祉関連で約5,000ID、他の学校法人で約600IDの導入についても、ぜひご検討いただければと存じます。

望月 浩司氏
SMAS 大石「アルコールチェック」の義務化に伴い、特に自治体や上場企業からのお問い合わせが増えているのですが、NSGグループさまは1年以上前から大規模導入をご検討いただいておりました。ここまでの規模でご導入いただくのは我々としても初めてのこと。池田代表の先見の明のすごさを感じています。

大石 透氏
提案を受けて、池田代表はどう感じられましたか。
NSG 池田やはり、グループ内の愛宕商事で実際に効果が見られたことが、導入の大きな判断材料になりました。我々は介護事業での送迎や、給食事業など多岐にわたって車両を使用していますが、管理体制はバラバラでした。アルコールチェックも含めて一括管理できるというのは大変ありがたい話でした。
今後、グループ全体の車両状況を把握できれば、余剰車両を車両不足の会社に利用してもらうといったグループ横断的な取り組みなど、全体最適につながる可能性もあるのではないかと期待しています。
いきなりDXを推進すると、現場では抵抗感を感じる人もいます。今までのルーティンを変えなければなりませんし、導入したばかりだと作業に慣れずにミスが起こることもありますから。そうした声を受け止め、適宜検証・修正しつつも、「広い視点で見たときにはDXを推進した方が絶対に良い。」とトップのメッセージとして伝え続け、現場で働いている従業員にも意識改革をしてもらうよう努めました。「やらない」という選択肢はありませんでしたね。
事業が多岐にわたっているからこそ、成功事例をそのまま導入すればすべてがうまくいくわけではないけれども、まずは「やらないと始まらない」と。
NSG 池田その通りです。SMASさまが提供する「Mobility Passport」というサービスの存在を知り、実際に一緒に取り組ませていただいたこと自体に価値があると思います。今後、車両保有台数が多い医療・福祉法人でも、車両に関するデータを活用したさまざまな取り組みができる可能性を感じました。
グループの一つひとつの法人が、それぞれの現場に合った形で取り組むことが前提にありますが、共通課題に対して大きな方向性を示した上で、全員で進んでいく取り組みは必要だと感じています。SMBCグループさまの他のサービスも活用しながら、グループ各社に最適なDXを進めていきたいと思います。
時代の変化に対応するために。NSGグループ×SMBCグループの共創
今後の展望を教えてください。
SMAS大石NSGグループさまの業務効率化やDXへの貢献もさることながら、新潟を代表される企業グループがこうした取り組みをすることで、従業員さまの健康管理も含めた、より安心安全な環境につながればと思います。グループ全体に横展開しながら、企業ガバナンスへのさらなる貢献ができればと考えています。
SMBC 鳥羽山まずは車両管理の問題に着手しましたが、日常業務の効率化など、まだまだやるべきことがあると思っております。
NSGグループさまは全国を代表する企業グループです。NSGグループさまが5年、10年、100年と持続的に事業を続けていくため、そして成長していくために、SMBCグループとして引き続きさまざまな形でご支援ができればと考えています。
NSG 池田SMBCグループさまには本当にお世話になっています。変化する社会状況の中でスピード感を持って対応していくためのアドバイスをいただいています。
地方でスピード感を持ってビジネスを展開するのは容易なことではありません。我々は多岐に渡る事業を展開しておりますので、引き続きそれぞれの分野のトップランナーの皆さまと情報交換をしながら、より良い意思決定に繋げていきたいと思っています。

PROFILE※所属および肩書きは取材当時のものです。
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NSGグループ代表 兼 株式会社NSGホールディングス 代表取締役
池田 祥護氏
NSGグループ代表、株式会社NSGホールディングス代表取締役社長、学校法人新潟総合学院理事長、学校法人国際総合学園理事長。
代表を務めるNSGグループは、「事業創造による豊かで幸せな社会の実現」を目指し、教育事業と医療・福祉事業を中核に幅広い分野で事業を展開する101法人で構成される企業グループ。「人づくり(地域で活躍する人材の育成)」、「安心づくり(すこやかに暮らせる社会をささえる)」、「仕事づくり(働きがいのある職場の創出)」、「魅力づくり(スポーツや文化を通じてまちの魅力を創造)」という4つのキーワードで、地方創生に寄与するべく取り組んでいる。 -
SMAS(住友三井オートサービス株式会社) 執行役員 関東甲信越営業本部長
大石 透氏
1969年、静岡県生まれ。明治大学卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。
甲府法人営業部長兼支店長、浅草橋法人営業部長、上野第二法人営業部長を経て、2023年11月、SMAS入社。
2025年4月、執行役員関東甲信越営業本部長に就任、現在に至る。 -
SMAS(住友三井オートサービス株式会社) 新潟支店長
望月 浩司氏
1974年、東京都生まれ。明治大学卒業後、2001年3月住商オートリース(現SMAS)に中途入社。
2018年4月盛岡支店長(現北東北支店)を経て、2022年4月より現職。 -
株式会社三井住友銀行 新潟法人営業部 部長代理
鳥羽山 悠矢氏
2015年三井住友銀行入行。
配属の仙台支店では個人営業、中小企業営業を経験。
2020年10月に銀座法人営業第一部に異動し大企業法人営業に従事、2023年4月に現在の新潟法人営業部に異動。
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