Vol.5 社会的価値の創造 社会的価値の創造に向けて“全員参加”で10のゴールを目指すVol.5 社会的価値の創造 社会的価値の創造に向けて“全員参加”で10のゴールを目指す

SMBCグループ 中期経営計画 〜幸せな成長へ〜
提供:SMBCグループ

SMBCグループは中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」の中で、基本方針の一つに社会的価値の創造を掲げている。企業の持続的成長にとって社会的価値の創造が欠かせなくなっている中、金融機関として具体的にどう取り組み、どんな姿を目指していくのか。社会的価値創造推進のために新設された同グループ 社会的価値創造推進部のお2人に、フリーアナウンサーの宇賀なつみ氏が話を聞いた。

※本記事は2024年5月31日に日経電子版広告特集で公開されたものです。掲載内容は公開当初のものであり、最新情報と異なる場合があります。

金融機関の枠を超えた
社会課題解決の取り組み

宇賀なつみ氏
フリーアナウンサー
宇賀なつみ氏

宇賀 中期経営計画において社会的価値創造に向けた取り組みを強化しているそうですが、社会的価値創造のためにどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

髙市 足元で取り組みを開始したものを3つ、ご紹介します。

1つは4月に取得決定を発表した「SMBCの森」です。神奈川県伊勢原市にある約220ヘクタールの森林を取得し、生物多様性を保全しながら温室効果ガスの吸収で得られるカーボンクレジットを創出し、環境教育プログラムも実施することで脱炭素、ネイチャーポジティブの実現を推進します。また生産される木材を自社で活用することで、環境に優しい国産材の認知度向上にも貢献していきます。

2つ目は、貧困・格差といった社会課題に対応して「ソーシャル預金」の取り扱いを今年4月から開始しました。個人や法人のお客さまの預金を社会課題解決のファイナンスに充当し、お客さまにサステナビリティ(持続可能性)分野での資金運用の機会を提供しつつ、社会課題解決に向けた資金の循環を生み出していく仕組みです。

そして、3つ目が、企業スポーツへの挑戦です。これまでもプロ野球の日本シリーズやラグビー日本代表への協賛など、多くのスポーツを支援してきましたが、これらに加えて企業スポーツに本格的に参画します。具体的には、株式会社三井住友銀行の女子バスケットボール部が、Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)に2025年7月に加入し、2025~2026年のシーズンからの参戦が決定しています。女子アスリートの「仕事」と「スポーツ」の両立に向けて、選手が現役時代からWリーグでの活躍だけでなく、将来のキャリア形成のため仕事にも積極的に取り組み、現役引退後もSMBCグループにおいて希望する仕事で活躍できるキャリアモデルの確立を目指していきます。本取り組みを通じて、社会人になっても競技を続けたいと望む女性にキャリアの選択肢を提供することで、バスケットボール界のさらなる発展にも貢献し、併せて、子どもたちにバスケットボールの体験機会を提供するなど、社会に貢献し、社会的価値の創造につなげていきます。

髙市邦仁
三井住友フィナンシャルグループ
社会的価値創造推進部長
髙市邦仁

宇賀 SMBCグループがこうした社会的価値創造を重視する理由はどんなところにあるのでしょうか。

髙市 1つは、社会課題自体が環境、人権侵害や貧困・格差といったあらゆる領域で広がってきていて、しかも深刻化していることです。金融機関としてこうした事態を黙って見過ごすわけにはいきません。

もう1つは、企業のバリューを測る物差しが将来変化していくと考えているということです。経済的価値だけでなく、社会的なインパクトもこうしたバリューを測る物差しになっていくと考えています。実際に、サステナブル(持続可能)な商品がお客さまに選択されるようになっていますし、社会貢献にやりがいを見いだす若手従業員も増えています。

中西 先日参加した学生向けイベントでは、学生の方から「SMBCでは社会課題解決のために何ができるのでしょうか」という質問もいただき、社会課題に対する学生の意識が急速に変わってきていることを実感しました。

中西芳枝
三井住友フィナンシャルグループ
社会的価値創造推進部部長代理
中西芳枝

“全員参加”をキーワードに
アクションを後押ししていく

宇賀 社会的価値創造の取り組みではどんなところにこだわっているのでしょうか。

髙市 キーワードは“全員参加”です。具体的には、ビジネスを考えたり、商品を企画したり、お客さまにご提案するときには、常に「社会課題解決」という切り口を持ち、それぞれの立場でアクションをとっていくことが重要であると考えています。弊社の経営からも「アクションが大事」だと言われています。

実は、昨年7月にSMBCグループの全社で従業員アンケートを行ったところ、約97%の方がこうした取り組みに共感しながらも、6割近くの人たちが「具体的に何をすればいいのかわからない」と回答しました。日常業務への落とし込みや会社のカルチャーとして根付かせていく必要があり、この状況を改善するとともに、全社的な取り組みを推進するために、昨年10月に社会的価値創造推進部を新設し、中期経営計画2年目の本年度は、「社会的価値創造の取り組みを本格化させる1年」として、活動をためらっている人を後押し出来るよう施策を打ち出しているところです。

宇賀 「全員参加」とは大きな目標ですね。新たに部署を立ち上げた狙いはどんなところにあったのでしょうか。

宇賀なつみ氏

髙市 これまでの取り組みを含め、SMBCグループ全体の社会的価値創造の方針や具体的な進め方を考えていく部署がなく、旗振り役が必要でした

この部署は、昨年11月に他界した太田純・前社長が立ち上げた最後の部署ですが、太田は、部のキックオフミーティングに参加し、「社会的価値創造を社内のムーブメントにしなければなりません。皆さんはその初代オーナーです」と激励してくれました。

それ以来、社内の評価制度を見直したり、社会的価値創造を推進するためのストーリーブックを作成したり、新たなグループ表彰制度を企画するなど、あらゆる手段を講じてきています。理解や共感を促すために、全国の店舗200カ所近くを回り、時間をいただいてお客さまと直接接する営業現場の皆さんと意見交換も行いました。

左より髙市邦仁、中西芳枝

今年4月には組織をさらに見直し、以前からあったサステナビリティ本部を社会的価値創造本部に名称変更し、そこに私たちの部署も入って組織横断的に取り組む体制をつくりました。「全員参加」という目標は確かにチャレンジングですが、実現することがお客さまから社会的価値創造のパートナーとして信頼され、評価されることにつながっていくと考えています。足元では、具体的なアクションを考え、行動に移す従業員が増え、今では6割以上の皆さんが社会的価値創造に向けた行動に着手できていると回答するまでになりました。

中西 昨年度は、激動の半年間であり、社内で理解を得て前に進めていくため悩み考えながら取り組んできましたが、様々な施策が形になり、会社としての方針、そしてその本気度が社内で浸透してきたことで、営業現場から「社会課題を起点にすればより深くお客さまに寄り添うことができる」といったポジティブな意見や「社会的意義の高い事業を営んでいるお客さまへのご支援に力を貸してほしい」といった前向きな案件相談が寄せられるようになりました。

5つの重点課題と10のゴールで「幸せな成長」の実現を目指す

宇賀 具体的にどのような分野が社会的価値創造のターゲットになっているのでしょうか。

髙市 中期経営計画では従業員アンケートや経営会議、取締役会等での議論を経て、自社で取り組むべき重点課題として「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の5つを掲げました。またそれぞれに2つずつゴールを設定し、その10のゴールに対して可能な限り定量的なKPI(重要達成度指標)を策定しています。

5つの重点課題と10のゴール
図

このゴールを達成することにより、中期経営計画で定めた「幸せな成長」、つまり「経済の成長とともに、社会課題が解決に向かい、そこに生きる人々が幸福を感じられる」時代の実現に貢献することを目指しています。

宇賀 それぞれに異なる難しさがありそうですね。

中西 私は重点課題の1つである「日本の再成長」に向けた取り組みの推進を担当しているのですが、足元では賃金増加や金利正常化、物価上昇など、失われた30年から脱却する好循環の萌芽(ほうが)が見えています。このような中、当社としても日本の再成長という切り口で、社会課題の解決に取り組み、好循環を確かなものにしていきたいと考えています。そのため、金融機関として、フロント・本部全員がさらに視点を上げてお客さまと深い議論をし、ともに社会課題の解決に向けたパートナーとなれるよう、ディスカッションツールを作成中です。お客さまの社会課題解決の取り組みへのアドバイスを行い、お客さまの取り組みを社外にご紹介する評価型融資のリリースも予定しています。

また、中長期的な産業構造改革や技術革新に金融面からしっかりと向き合うため、投融資の枠組みを作り、金融機関としてのリスクテイクをレベルアップさせていきたいと考えています。さらには、以前からあるグリーン預金や新設したソーシャル預金と合わせて、社会的価値創造の取り組みに賛同する個人・法人のお客さまから資金をお預かりし、社会的に意義の高い取り組みをしている法人やスタートアップ、NPOに資金が流れる仕組みを充実させていきます。

こういった様々な取り組みを通じて、企業のビジネスモデル変革、イノベーションの創出・新たな産業の育成を実現させていきます。

中西芳枝
「社会的に意義の高い取り組みをしている法人やスタートアップ、NPOに資金が流れる枠組みを充実させていきます」(中西)

社会課題の解決を目指す人たちが結集できる場としての
SMBCグループに

宇賀 社会的価値創造に向けて明確にゴールを策定し、全社の体制を整備しました。今後は金融機関としてどのように変化していこうとしているのでしょうか。

中西 社内に社会的価値創造を推進する本部組織をつくり、活動のためのリソースを確保し、評価や体制も変革してきたことで、社内の意識は着実に変わってきています。あらゆる場面で社会課題解決に向けた取り組みが生まれています。

こうした変化は採用活動にも生きる取り組みだと思います。「社会的価値」はルーティン業務から生まれるものではなく、各自が真剣に社会課題に向き合い、頭をひねってアイデアを出し合ってこそ実現につながると思います。

そういった意味で、仕事のやりがいや面白さも高まると思いますし、「金融機関でこんなことができるんだ」「もっとこんなことがしたい」と、金融機関の未来に対して同じ希望・志を持つ熱い思いを持った人達が集まる金融機関を目指していきたいと考えています。

宇賀 社会課題解決を目指す人たちが集まる場としてのSMBCグループになるというイメージでしょうか。

髙市邦仁
「SMBCグループの力だけでは実現できません。未来の従業員にも仲間入りしてもらうことで、新しい金融機関としての成長を追求していきます」(髙市)

髙市 社会課題を解決して社会的価値を創造していくことは、SMBCグループの力だけでは実現できません。個人、法人のお客さま、パートナー企業の皆さまの協力や産学連携など外部の力が必要です。そこに未来の従業員にも仲間入りしてもらうことで、新しい金融機関としての成長を追求していきます。

Profile

左より中西芳枝、髙市邦仁、宇賀なつみ氏

髙市邦仁

1998年に住友銀行(現三井住友銀行)入行。米州での業務を挟み、長年経営企画部にて経営管理、経営企画業務に従事。2022年1月~2023年3月には現中期経営計画を策定するプロジェクトチームのヘッドを務め、2023年10月、社会的価値創造推進部長に就任。

中西芳枝

2017年に三井住友銀行入行。藤井寺法人営業部、ホールセール統括部を経て2023年10月より現職。SMBCグループホールセール事業部門および重点課題である「日本の再成長」における社会的価値創造の推進業務に従事。

宇賀なつみ氏

2009年立教大学社会学部を卒業し、テレビ朝日入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビューする。「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」等、情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社しフリーランスとなる。現在はテレビ朝日系「池上彰のニュースそうだったのか!!」、カンテレ・フジテレビ系「土曜はナニする!?」のメインMCを担当。TBSラジオ「テンカイズ」やTOKYOFM「SUNDAY'SPOST」等のラジオパーソナリティにも挑戦している。

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