Vol.11 人財ポリシー 会社と従業員の「選び、選ばれる関係」が世界を変える原動力にVol.11 人財ポリシー 会社と従業員の「選び、選ばれる関係」が世界を変える原動力に

SMBCグループ 中期経営計画 〜幸せな成長へ〜
提供:SMBCグループ

人材力の最大化で企業価値を向上させる人的資本経営が注目されている。経済的価値の追求と社会的価値の創造を目標に掲げる三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)では、「人材こそが最も大切な財産」という考えのもとで人的資本経営を推進。ビジネス環境の変化が早く、人生観が多様化する中で会社と従業員の「選び、選ばれる関係」の構築を目指して人材戦略を進化させてきた。同グループの人材戦略を取り巻く状況の変化、採用や人材育成などの取り組みについて、フリーアナウンサーの宇賀なつみ氏が話を聞いた。

※本記事は2025年12月1日に日経電子版広告特集で公開されたものです。掲載内容は公開当初のものであり、最新情報と異なる場合があります。

日本企業の常識を超えた
人財ポリシーを制定

宇賀なつみ氏
フリーアナウンサー
宇賀なつみ氏

宇賀 これまでどのように人材戦略の変革に取り組んできたのでしょうか。

倉田 現在、SMBCグループには約12万人の社員がいます。その一人ひとりが仕事に情熱を持ち、お客さまや社会のために何ができるかを徹底的に考え抜く姿勢こそがグループの競争力の源泉です。

2023年中期経営計画において「SMBCグループ人財ポリシー」を制定しました。“多様でプロフェッショナルな人材が挑戦し続け、働きがいを感じられる職場”を実現するために定めたものです。

この「人財ポリシー」の制定におけるチャレンジの一つが、これまでの人材戦略の考え方そのものを変えることでした。

「経営戦略の実現のための人事戦略」だけでなく、「社員の思いを実現するための人事戦略」も重要であると捉え、2つを対等な関係と位置付けることで、会社と社員はこれまでのような“主従関係”から、“選び、選ばれる関係”に進化するべきだと考えました。

そのためには“会社が社員に求めるもの”と“会社が社員に提供する価値”を明文化することが重要で、SMBCグループでは“会社が社員に求めるもの”として「プロフェッショナル」「チームワーク」「挑戦」、“会社が社員に提供する価値”として「自分らしさの表現」「お客さま・社会への貢献」「キャリア形成と自身の成長」と定めました。

倉田洋紀氏
三井住友フィナンシャルグループ執行役員 人事部長
三井住友銀行 執行役員 人事部長
倉田洋紀氏

会社と社員の関係性の変化を人事部が打ち出していくことには当時社内でも様々な議論がありましたが、会社が成長し続けるためには、この「選び、選ばれる関係」の構築が不可欠という想いのもと制定に至っています。人事部は中期経営計画の3年間、この「SMBCグループ人財ポリシー」を人事戦略の中心に置いてきました。

宇賀 選び、選ばれる関係を構築する難しさはどんなところにあるのでしょうか。

倉田 会社側が「社員に選ばれる側面を過度に意識すること」、つまり社員に提供する施策ばかりをむやみに増やしてしまうと、経営戦略との矛盾に陥る危険性があるという点です。例えば理由なく給与を上げてしまうと一時的に社員は喜ぶけれど、成果に対する報酬ではないので成長意欲や本質的なモチベーションにはつながりません。会社が社員に提供する施策や支援は経営戦略や事業戦略と密接に関わっていて、"会社が社員に求めるもの"と"会社が社員に提供する価値"は循環しているのだということを互いに認識することが大切だと考えています。

図:SMBCグループ人財ポリシー 多様でプロフェッショナルな社員が挑戦し続け、働きがいを感じる職場とチームの実現

多様な人材採用のための
施策を実行

宇賀 SMBCグループの一つ、三井住友銀行の採用スローガンである「挑戦者よ、世界を揺らせ」にはどのような思いが込められているのでしょうか。

大沢真穂氏
三井住友フィナンシャルグループ
人事部 採用企画グループ長
三井住友銀行 人事部 採用グループ長
大沢真穂氏

大沢 ポイントが2つあります。まず「挑戦」はSMBCグループが大切にしているビジネスマインドでもあります。我々は金融領域を基盤にしながら、お客さまのニーズや社会課題への貢献を最優先に非金融領域にもビジネスを拡充していますが、新しい挑戦は必ずしもうまくいくものだけではありません。ですが、たとえ失敗しても挑戦した人を賞賛する「失敗を歓迎する風土」が三井住友銀行、そしてSMBCグループにはあります。そういったグループ全体の組織風土があるからこそ、ビジネスの場で挑戦したいという熱意を持った方々に呼びかけるために「挑戦者よ」という言葉を使っています。

そしてその挑戦は「お客さまや社会の課題を解決し、発展に貢献するための挑戦」ですので、一人ひとりの挑戦が日本、そして世界を変えていくんだという思いを「世界を揺らせ」という言葉に込めました。

倉田 「挑戦」と聞くと、ビジネスに大きな影響を与えるような挑戦だけを指しているように感じる方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。業務の効率化やミスをなくす工夫、もっといえば生活習慣を少し改善することもまた、自身を進化させる挑戦であると考えています。

宇賀 実際の採用活動ではどのような施策を行っているのでしょうか。

宇賀なつみ氏

大沢 例えば三井住友銀行の新卒採用においては、より多くの学生の皆さんに興味を持ってもらうため大きく2つの採用ルートを用意しています。入社してから様々な経験を得る中で自分のキャリアを定めたいと考える人にはオープン採用、特定領域での専門性を発揮したいと考える人にはコース別採用があります。コースは年々増えていて、現在は11のコースがあります。

倉田 入社後は新入社員向けに1カ月程度の集合研修を実施しています。前半の1週間はグループ全体で“SMBCグループ人財ポリシーを自分事にする”というコンセプトで導入研修を行います。その後は各社ごとに研修プログラムを用意していますが、新入社員の皆さんに伝えたいメッセージはグループ各社で変わりません。1カ月の研修の中で多くを学び、学生から社会人へとステップアップしてもらうことを目指しています。

大沢 キャリア採用も積極的に行っています。特に銀行には新卒採用が多いイメージがあるかもしれませんが、2024年度三井住友銀行の採用実績では新卒採用とキャリア採用の比率は2対1となっており、年々キャリア採用者の人数が増えています。

金融業界以外の求職者の皆さんからすると金融機関への転職はハードルが高いと思われるかもしれませんが、ビジネスの多様化に応じて様々な業種のキャリアを持つ人材も求めており、実際は異業界からも多くの方にご入社いただいています。

さらに、多様なバックグラウンドを持つ人材が力を発揮できるようにオンボーディング(スムーズに組織に定着し活躍していただくための取組)も強化しています。例えば三井住友銀行では、キャリア採用者の身近な相談役として銀行でキャリアを積んだ社員を“バディ”に任命したり、社内人脈を広げる交流会を開催したりしています。

新卒採用・キャリア採用に関わらず、挑戦者マインドを持つ人材が早期に戦力として活躍し、自身の成長を実感していただくための体制を整えています。

大沢真穂氏
「挑戦者マインドを持つ人材が早期に戦力として活躍し、自身の成長を実感していただくための体制を整えています。」(大沢氏)

3つの重点戦略を通して
人材力の最大化を図る

宇賀 価値提供に向けた人材戦略として、どのような取り組みを実施しているのでしょうか。

倉田 SMBCグループの経済的価値の追求と社会的価値の創造には、人材力の最大化が不可欠です。そのために、中期経営計画では3つの人材戦略を掲げてきました。

1つ目は「戦略を支える人材ポートフォリオの構築」です。

中期経営計画で掲げる3つの注力分野を担う「法務やリスク管理などの経営基盤を担う人材」、「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材」、「グローバル人材」を中心に、人員投入計画を定め着実に進めてきました。

また急速に拡大しているグローバル人材の管理体制の構築も重要です。SMBCグループの社員は現在約12万人いますが、そのうち7万人は日本国外にいます。人事部は「One Global HR」として、国・地域の垣根を越えた人材戦略を実行することで、事業と社員がともに成長していくことを目指しています。

左より宇賀なつみ氏、倉田洋紀氏、大沢真穂氏

2つ目は、「従業員の成長とウェルビーイング支援」です。社員が心身ともに健やかな状態で仕事に取り組めるような制度を整備しながら、自律的なキャリア形成を支える仕組み作りを推進しています。キャリア形成支援の代表的な取り組みとしては三井住友銀行の「ジョブフォーラム」があります。ジョブフォーラムはグループ会社を含む様々な部署が業務内容ややりがいを伝える説明会のことで、年に一度開催しています。2024年度は約1500人が参加しました。

3つ目は「チームのパフォーマンスの最大化」です。社員の価値観やライフスタイルが多様化している中で、様々な両立支援制度を拡充しています。また多様な価値観を尊重しながらチームワークによって成果を生み出す組織風土の醸成にも取り組んでいます。働き方の多様化に対応したチームとしてのしなやかな強さ、チームレジリエンス強化のために、三井住友銀行では2025年10月から男性社員の育児休業取得を必須化し、育休中に起きる一時的な人員不足などの状況変化を工夫して乗り越えたチーム全員に1人当たり5万円の報奨金を支給する取り組みを開始しました。

変革を加速するために
新人事制度を施行

宇賀 今後は人材戦略をどのように進化させていくのでしょうか。

倉田 人材力の最大化に向け、人財ポリシーのさらなる理解浸透と体現を目指します。

そのための大きな変革として、三井住友銀行では2026年1月から新人事制度を施行します。2001年の発足以来初となる大規模かつ抜本的な人事制度改定ですので、我々人事部にとっても大きな挑戦になります。

会社と従業員が“選び、選ばれる関係”を構築するために、新人事制度では「プロフェッショナリティ」「実力本位」「DE&I」の3つのコンセプトを掲げ、人事戦略の根幹である人事制度から人財ポリシーを体現していきます。今の時代に求められる企業になるために、そして社員一人ひとりのさらなる躍進を目指し、SMBCグループの人材力の最大化につなげていきたいと考えています。

倉田洋紀氏
「会社と従業員が“選び、選ばれる関係”を構築するために、人事戦略の根幹である人事制度から人財ポリシーを体現していきます。」(倉田氏)

大沢 採用においても、これからのSMBCグループに対する理解浸透を目的にさらなる情報発信をしていきます。求職者を取り巻く情報ソースが複雑化する中で、受け取る情報が正確なものなのかどうか、情報の取捨選択がますます難しくなっています。

だからこそ、我々自身が丁寧に情報発信することが大切だと考えています。先ほども話題にあがった三井住友銀行の新人事制度などはまさに、求職者の方々に対し、我々が込めた想いやポイントなどを適切に発信することが求められます。

入社後のギャップを減らすことはもちろんですが、求職者の方々が次の挑戦の場を考えるにあたり、誤解したままSMBCグループを候補から外すことがないようにしたいという思いもあります。

我々の新たな取り組みや挑戦フィールドを正しく伝えることで、お客さまや社会への貢献に挑戦したいと考えている方々との出会いを増やし、そして選ばれる企業になるために、改めて情報発信について考え、進化させていきたいと考えています。

Profile

左より大沢真穂氏、倉田洋紀氏、宇賀なつみ氏

倉田洋紀氏

1998年にさくら銀行(現 三井住友銀行)に入行。
国内複数拠点の法人営業に従事したのち米国に留学。帰国後人事部に着任し、異動配置・評価・教育研修等の業務に従事。その後富山法人営業部で法人営業部長を担った後、2025年4月より執行役員兼人事部長。

大沢真穂氏

2009年に三井住友銀行に入行。
国内複数拠点で中小企業の法人営業に従事した後、国内有数の大手企業の営業を担当。2019年に人事部採用グループに着任し、新卒採用・若手育成・研修制度の企画に従事。産育休復帰後の2025年4月より採用グループ長。

宇賀なつみ氏

2009年立教大学社会学部を卒業し、テレビ朝日入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビューする。「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」等、情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社しフリーランスとなる。現在はテレビ朝日系「池上彰のニュースそうだったのか!!」、カンテレ・フジテレビ系「土曜はナニする!?」のメインMCを担当。TOKYOFM「SUNDAY'SPOST」等のラジオパーソナリティにも挑戦している。

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