価値創造のための事業戦略

グローバル事業部門 執行役専務 グローバル共同事業部門長 今枝 哲郎 執行役専務 グローバル共同事業部門長 福留 朗裕 グローバル事業部門 執行役専務 グローバル共同事業部門長 今枝 哲郎 執行役専務 グローバル共同事業部門長 福留 朗裕

世界的に強みを有するプロダクト・サービスや
グローバルネットワークを切り口に、
国内外のお客さまの国際的な事業展開をグループ一体でサポートしています。

 2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続したほか、2月末にはロシアによるウクライナ侵攻が勃発する等、大変厳しい業務環境でしたが、グループ一体となって中期経営計画の主要施策を着実に進めることができた1年でした。具体的には、海外証券ビジネス強化のため、米国総合証券会社Jefferiesと資本・業務提携をしたほか、アジア金融フランチャイズの拡大に向けて、インド・ベトナムのノンバンクやフィリピンの商業銀行への出資を完了する等、将来の成長の柱となる買収・提携を進めました。ガバナンス高度化にも注力し、米州においては銀行持株会社の取締役会の機能を強化しています。業績面では、ファンドへの資金流入を捉えたプロダクトの取組等が奏功し、2020年度に引き続き増収増益を達成しました。

 中期経営計画の最終年度である2022年度は、重点施策の推進に一層注力していきます。銀行業務と証券業務を融合したCIBビジネスについては、セクターアプローチを強化するとともに、Jefferiesとの協働を深化していきます。アジア金融フランチャイズでは、新設した「アジア事業戦略本部」においてPMIを円滑に進め、成長戦略を加速します。さらには、地域・分野を拡大したデジタライゼーションの取組にも挑戦します。

 こうした取組を通じ、SMBCグループの持続的成長を牽引していきます。同時に、この成長を支える体制整備、すなわち、グループガバナンスの強化をはじめ、各国の情勢や気候変動等、複合的な環境変化を見据えた経営基盤づくりも進めていきます。

連結業務純益に占める割合(2021年度)

連結業務純益に占める割合(2021年度)

重点戦略 1

CIBビジネスの強化

 セクターアプローチやグローバルネットワークを活かした案件獲得等、SMBCグループならではのCIBビジネスを強化します。お客さまの課題に応じた財務戦略やプロダクト提案等の付加価値の高い金融サービスを提供し、取引複合化も図ります。資金流入が活況なファンドあてビジネスは、プロダクトラインアップを拡充します。

 Jefferiesとの協業は、すでに多数のLBO案件を実行する等の成果を挙げていますが、さらなる協働領域の拡大も展望します。また、投資家向けビジネスの本格展開のため、人員採用・増資により米国の債券セールス&トレーディング体制を強化しました。

 このような取組により、一層収益性・効率性の高いビジネスモデルを目指します。

CIBビジネス粗利益*

CIBビジネス粗利益

重点戦略 2

成長領域への取組

 出資によるアジアでの金融フランチャイズ展開を進めています。新設した「アジア事業戦略本部」にて、ガバナンス体制の整備を含めた各出資先のPMIを円滑に実施し、成長戦略を加速していきます。

 アセットマネジメントに関しては、事業パートナーである米国Ares Managementや香港ESR Groupと協働し、特にアジア地域で、グループ一体でのビジネス領域拡大を進めます。

 また、インドネシアBank BTPNでは、モバイルバンキングサービス「Jenius」にクレジットカードや投資信託・保険販売等、利便性向上に資する機能を追加し、中小企業のお客さま向けのデジタルサービスも開始しています。インドネシアのみならず、さまざまな地域・ビジネスにおいて、デジタル施策を通じたサービスの付加価値向上に取り組んでいきます。

アジアのフランチャイズの拡大

アジアのフランチャイズの拡大

重点戦略 3

経営基盤のさらなる強化

 業容拡大を支えるべく、ガバナンスやリスク管理、コンプライアンス体制の強化にリソースを優先して投入しています。

 米国では、銀行持株会社において社外取締役の割合を過半数とする等、取締役会機能を高度化しています。また、CxO制も導入し、さまざまな領域のビジネスを抱える米国事業を一元的かつ適切に管理する体制を構築しました。

 ドイツでは、銀行と証券を合併してユニバーサルバンク化し、銀証が一体となって規制対応やガバナンス強化に取り組んでいきます。

 経営基盤の強化は、SMBCグループの事業をグローバルに拡大し、持続的成長を実現するために不可欠なものであり、今後も継続的に取り組んでいきます。

経営基盤のさらなる強化

サステナビリティへの取組

グローバルリーグテーブル
(グリーンローン取組額)

グローバルリーグテーブル(グリーンローン取組額)

 各地域のサステナビリティ専門チームがグローバルに連携し、SMBCグループ全体の提案・解決力強化に取り組んでいます。

 2021年10月には米国大手LNGプロバイダーに約12.5億米ドルのサステナビリティ・リンク・ローンを組成しました。本件は、お客さまのサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の可視化・削減への取組を指標として融資条件が変動するものです。今後も、お客さまのエナジートランジションに資する取組を後押しするサービスを提供していきます。また、グリーン預金等のプロダクト拡充にも取り組んでいます。このような積み重ねが奏功し、2021年度は特にグリーンローンにおいて高いプレゼンスを獲得し、取組額においてグローバルリーグテーブル第1位となりました。

 また、あらゆる人々が利用できる幅広い金融サービスの提供に努めており、インドネシアではBTPNシャリアにおいて低所得層の女性向け融資を提供しているほか、インドではFullerton Indiaで地方農村部向けにマイクロファイナンスに取り組んでいます。