価値創造のための事業戦略

　リテール事業部門は、資産運用ビジネス、決済ビジネス、コンシューマーファイナンス等の主要分野で国内No.1の事業基盤を誇り、高品質なコンサルティング力、先進的な決済やファイナンスの商品・サービスを有しています。

　2021年度は、前年に続き、コロナ影響が各ビジネスに及びましたが、サービス消費を中心に個人消費が持ち直し、決済ビジネスはコロナ前の水準を上回って成長しています。コンシューマーファイナンスビジネスでは、カードローン残高が2年連続の減少となりましたが、足元では反転しています。

　また、コロナ禍でのキャッシュレス・デジタル化の進展、人生100年時代を迎えての備える・遺すニーズの拡大等、お客さまの意識・行動も大きく変化しました。こうした中、デジタル・リモート営業の展開やSMBCエルダープログラムの導入、SMBCダイレクトの24時間365日化等、お客さまの変化を捉えた施策をいち早く実行してきました。

　2022年度は、中期経営計画の最終年度として主要施策を着実に実行し、グループ顧客基盤や収益の拡大、事業構造改革等を加速していきます。

　資産運用ビジネスは、市場へのマネー供給を通じたわが国の経済成長と老後の資金不安に対する個人の健全な資産形成を後押しし、貯蓄から資産形成・投資への大きな動きを捉えることでビジネスチャンスにつなげていきます。決済ビジネスは、急速に機運が高まるキャッシュレス化の流れを捉え、利用者・事業者双方へ一層利便性の高いサービスを提供していきます。また、国内キャッシュレス市場の成長とともに、今後も拡大が見込まれるお客さまの買い物に伴う決済起点のファイナンスニーズへの対応を強化していきます。

　従来の金融機関の枠組にとどまらない、非金融サービスも含む付加価値の高いサービス提供を通じて、次世代への円滑な資産移転をサポートしていきます。

　高度な資産運用管理や相続・承継、事業性貸金等のお客さまの多様なニーズに対応するため、エンティティの枠を超えたグループ総合力で、「トータルコンサルティング」を提供していきます。

　法人オーナー等の大口富裕層に対しては、銀行・証券の企画・フロント機能の連携強化を通じて、商品・サービスのラインアップ拡充や顧客基盤の拡大を図ります。また、グループベースでの資産集約・次世代取引の推進を通じて、お客さまの相続ニーズにも対応していきます。

　人生100年時代で多様化するお客さまの困りごとやご要望には、金融面に加え、健康、安心、生きがいのある暮らし等、非金融領域のサービスも含めた「SMBCエルダープログラム」を専任コンシェルジュを通じて提供しています。今後も、長寿人生をサポートする各種サービスを拡大していきます。

　決済分野では、コロナ禍で一層高まるキャッシュレス・デジタル化の機運を受けて、利便性の高いサービスを提供していきます。

　利用者向けには、高いセキュリティを持つナンバーレスカードやグループ共通のポイントサービスの推進等により、利便性向上と顧客基盤の拡大を加速していきます。事業者向けには、次世代決済プラットフォーム「stera」と、低価格で利用可能なコンテンツのサブスクリプションサービスの推進等により、シェア・業容拡大に注力していきます。

　コンシューマーファイナンスにおいては、グループのノウハウを活用した商品強化等を通じて、より多くのお客さまのファイナンスニーズにお応えしていきます。

　三井住友銀行においては、お客さまのニーズや行動の変化に合わせた、デジタル・リモートで完結する手続の拡充やビデオチャット機能の向上等を通じて、お客さまに寄り添った「親身かつスピーディーな対応」を追求していきます。また、来店予約の活用を通じて、事務手続の後に、お客さまのニーズに応じた付加価値の高いコンサルティングを提供する等、店頭対応力を強化していきます。

　加えて、三井住友銀行・SMBC日興証券・SMBC信託銀行のグループ共同店舗の展開を通じて、ワンストップサービスを提供し、お客さまの利便性向上と効率的な店舗運営の両立を実現していきます。