SMBCグループ プロボノワークプロジェクト

SMBCグループ プロボノワークプロジェクト

SMBC Group

SMBCグループ プロボノワークプロジェクトは、社会課題の解決に取り組むNPO等を支援する取組です。
2011年度より三井住友銀行にて邦銀初の取組としてプロボノ(※)を開始し、2014年度からはSMBCグループ各社の役職員に参加対象を広げて実施しています。

また、2020年3月より、グループ会社のSMBC日興証券では、社会課題解決により一層貢献をすることを目的として業務時間の一部を用いた制度を導入しました。

2023年度からは、その他のグループ会社でも業務時間の一部を活用した活動ができる制度へ改定し、これまで以上に幅広い社会課題の解決を図り、更なる社会的価値の創造を目指しています。

2024年度支援団体

団体名 所在地 概要
認定特定非営利活動法人
Teach For Japan
東京都渋谷区 様々な教員免許状の利活用により、多様な人材が学校教育に参画し協働できる流動性の高い教員組織を構築する「フェローシップ・プログラム」を通じて、より良い公教育の実現を目指す団体。
認定特定非営利活動法人
かものはしプロジェクト
東京都渋谷区 インドでの人身売買をなくすための活動(人身売買被害者の人生を取り戻す活動や社会の仕組みをつくる活動)と日本でのこどもが虐待されない社会を作るための活動妊産婦の支援やこどもや養育者にやさしい地域づくり等)を行う団体。
一般社団法人
チョイふる
東京都足立区 食品配達をツールに困窮子育て家庭とつながり、子ども食堂に遊びの体験をプラスした居場所でささえる活動と、他団体と連携し困窮以外の困りごとも含めワンストップで相談にのる活動を行う団体。
特定非営利活動法人
フェアスタートサポート
神奈川県横浜市 児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」の対象となる子どもたち・若者たちへの、特に就労に関わる支援として、キャリア教育、就職前のサポートやアフターフォローを行う団体。
特定非営利活動法人
ブリッジフォースマイル
東京都港区 児童養護施設や里親家庭など、社会的養護下にある子どもたちのため、「一人暮らし準備セミナー」の開催、「生活必需品の寄付仲介サイト」の運営、就職支援プログラム、退所者とのつながりを継続する居場所事業の運営等を行う団体。
特定非営利活動法人
Chance For All
東京都足立区 学童保育事業のほか、フリースペース併設の駄菓子屋や公園でこどもたちと遊ぶパークリーダー事業、感情で本を分類をした図書館の運営、地域でのイベントなど、こどもたちの「居場所」や「あそび場」事業に取り組む団体。
特定非営利活動法人
みんなのコード
神奈川県横浜市 「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」というビジョンを掲げ、主に家庭間、地域間、学校間に存在する情報教育格差の解消に、「学校教育」と「社会教育」の両面からアプローチに取り組む団体。前者では教員研修、教材や授業カリキュラムの開発を通じて子どもたちの情報活用能力の向上を目指し、後者では最先端のデジタル・テクノロジーに触れながら自由に活動できる「子どもの居場所」を開設している。
特定非営利活動法
eboard
兵庫県西宮市 学習格差解消のため、2,000本の動画授業や10,000問のデジタルドリルを備えた無料のICT教材を提供し、経済的・地理的、あるいは特性によって学びの場から遠ざかっている子どもたちに教育機会を提供する団体。
社会福祉法人「子供の家」
アフターケア相談所ゆずりは
東京都国分寺市 児童養護施設等を退所した人、家庭で虐待や支配などを受けてきた方々を対象に、役所・病院・警察などへの同行支援、相談所を利用したサロンの開催、学習会の実施など様々なサポートを実施する団体。
特定非営利活動法人
Social Change Agency
東京都文京区 社会保障制度の利用をサポートする施策が乏しい現状に対し、制度を案内するチャットボットの開発・運用やオンライン相談、自治体へのノウハウ提供、中高生への社会保障教育事業を行う団体。
特定非営利活動法人
両育わーるど
東京都渋谷区 障害や難病を超えて、自分や社会について考えるワークショップを提供するTHINK UNIVERSAL事業、慢性症状のある難病者の就労・社会参加の機会向上のため就労継続支援を行うTHINK POSSIBILITY事業、そして制度のはざまにいる障害者や難病者を取り巻く実態調査、アドボカシー活動(政策提言)などの活動をしている「難病者の社会参加を考える研究会」の運営を行っている団体。

※各種表記は団体のポリシーに合わせています。

2024年度 合同キックオフミーティングの様子

「プロボノ」とは
ラテン語の「公共善のために(Pro Bono Publico)」に由来し、社会人が、営業・企画・開発・マーケティング・広報など業務を通じて培ったスキルや経験を活かし、NPOに不足しがちなビジネスの視点を持って支援を行うボランティア活動です。

2023年度 社会的インパクト評価報告

2023年度の「SMBCグループプロボノワークプロジェクト」において、特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパンの協力のもと社会的インパクト評価を実施し、社会課題解決への貢献度合いを可視化し、人的資本の強化に資する活動であることを検証しました。

全文レポートは以下より参照いただけます。

2023年度支援団体

団体名 所在地 概要
認定特定非営利活動法人
わたしと僕の夢
福岡県久留米市 貧困などで困難を抱える子どもを対象に、無料塾にて学習支援と食事支援をすることで高校入学までのサポートを行う団体
一般社団法⼈
ハートフルファミリー
東京都中央区 ひとり親の総合的な自立支援活動を行い、シングルファミリーの親子が活力ある社会生活を送れるようにサポートに取り組む団体
特定非営利活動法人
プライドハウス東京
東京都新宿区 LGBTQ+やソーシャル関連の活動を行うNPOや個人とともに協働プログラムを企画・実施する団体
公益社団法人
チャンス・フォー・チルドレン
東京都墨田区 子どもの教育格差を解消し、貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目的に、経済的な困難を抱える子どもたちに対して、学習塾や習い事、体験活動等で利用できる「スタディクーポン」を提供している団体。
特定非営利活動法人
Chance For All
東京都足立区 生まれ育った家庭や環境で子どもの人生が左右されない社会を目指し、放課後教育を通じて、学童保育施設やフリースペースなどを運営している団体
一般社団法⼈ハートフルファミリーでの子どもイベントの様子
一般社団法⼈ハートフルファミリーでの子どもイベントの様子

1.対象となる事業

SMBCグループ役職員が自己啓発の一環として、業務時間の一部(10~20%)を活用して社会課題解決に充てることができるプロジェクト

主体
株式会社 三井住友フィナンシャルグループ
評価名
「SMBCグループ プロボノプロジェクト」社会的インパクト評価
対象
  • A)対象事業 「SMBCグループ プロボノプロジェクト」支援団体(3団体)
  • B)「SMBCグループ プロボノプロジェクト」に参加するSMBCグループ社員(50名)
  • C)「SMBCグループ プロボノプロジェクト」に参加経験のないSMBCグループ社員(45名、対照群)
対象となる事業のビジョン
社会的価値の創造に向けたグループ施策の一つとして、以下のビジョンを掲げている。
プロジェクト
  • 支援先団体のキャパシティ・ビルディング(基盤整備)
  • 事業活動の支援を通じた社会課題解決の加速・進化・拡大
社員
  • 社会課題の認知(社会リテラシー)向上
  • 関与度の高い社会貢献活動を通じて得るやりがいや達成感
  • 本業でも活用できるリーダーシップなどのライフスキルやネットワークの獲得
企業
  • 地域社会の課題解決のための資金や人材の基盤作りをリードする存在
  • 社会課題解決に率先して取り組む企業としてのブランド向上

2.評価サマリー

本評価からSMBCグループプロボノプロジェクトのアウトカムとして、以下が確認できた。

1.対象団体に対する本事業の成果
プロボノ活動において設定された支援スコープにおける組織課題解決の促進
  • 対象団体の組織運営及び事業運営における課題のうち、スコープ設定された課題に関しては、本事業によりその解決が確認できた。
対象団体の組織基盤の強化
  • 定量評価、定性評価の結果から、スコープ設定と対応する組織基盤の項目に関して対象団体内でポジティブな変化がうかがえたことから、「SMBCグループ プロボノプロジェクト」による支援団体における組織基盤の強化が期待される。
  • 対象団体の受益者への効果(1団体のみ確認)
  • 本評価においては、対象団体のスコープ設定や実施期間により、1団体のみで受益者への効果が確認できたことから、「SMBCグループ プロボノプロジェクト」による受益者への効果は限定的に確認できたといえる。
2.SMBCグループ社員に対する本事業の成果
(1)社員のコンピテンシー・スコアの向上
  • 多くの指標でスコアの向上が見られたが、特に、「経営理念・Five Valuesの理解度」・「チームワーク」・「挑戦」・「キャリア形成・自己成長」のスコアが有意に向上しており、それらの指標に対しては「SMBCグループ プロボノプロジェクト」による効果が期待できる。
(2)社員の従業員エンゲージメント・スコアの向上
  • 従業員エンゲージメントはスコアが大きく向上しており、「SMBCグループ プロボノプロジェクト」参加による社員の従業員エンゲージメント向上について確認ができた。

3.本評価の主な分析結果_対団体

団体については、団体の現状と課題、及びプロボノでの成果物を基に、組織基盤の強化、受益者への効果※を測定。
支援先団体のキャパシティ・ビルディング(基盤整備)
事業活動の支援を通じた社会課題解決の加速・進化・拡大

測定結果が以下の通り。

「受益者への効果」は私とぼくの夢のみ実施

団体名 支援業務(スコープ) 分析の観点
課題解決 組織基盤の強化 受益者への効果
特定非営利活動法人
Chance for all
  • 開催場所などの活動拡大に向けての計画支援
  • 運営体制の強化支援
-
公益社団法人
チャンス・フォー・チルドレン
  • 会計・労務業務
  • ファンドレイズ強化
-
認定特定非営利活動法人
わたしと僕の夢
  • ミッション・ビジョン浸透への助言・提案
  • マニュアル作成
  • 金融経済教育の企画・実行支援

(定性)
認定特定非営利活動法人わたしと僕の夢
<団体紹介>
  • 福岡県久留米市の貧困などで困難を抱える子どもを対象に、無料塾にて学習支援と食事支援をすることで高校入学までのサポートを行う団体。
  • 卒業生が帰ってきて生活や進路のことを相談できる居場所づくりも行なっている。
<団体の課題、スコープとアウトプット(成果物)>
課題 スコープ アウトプット/アウトカム
  • 理念・目標の見直しや浸透策
  • 拠点拡大における事業品質の標準化
  1. 1ミッション・ビジョンの見直しや浸透策の検討
  2. 2拠点拡大へ向けた事業品質標準化、マニュアル等作成
  3. 3SMBCグループの強みを活かした金融経済教育を通じた金融リテラシーの向上

【アウトプット】

  1. 1組織における理念浸透への取り組み
    • 既存ミッション・ビジョンを基に体系整理、明確化
    • スタッフへの理念浸透や互いの称賛文化醸成のための施策
    • 理念会議の運営要綱策定
    • バリューを軸とした手作りポスター
  2. 2学生講師へのマニュアル作成
    • 子どもと接する学生講師に向けたマニュアル
    • 学生講師向け注意事項等のチェックリスト
  3. 3金融経済教室の開催

【アウトカム】

  1. 1スタッフ資質の向上(スタッフへのミッション・ビジョンの共有、学生講師への望ましい行動の共有)
  2. 2子どもの金融経済への関心喚起
<アウトカム>
①スタッフ資質の向上(スタッフへのミッション・ビジョンの共有、学生講師への望ましい行動の共有)、②子どもの学びへの関心喚起、の2つが想定された。
1 に関しては、プロボノ期間中に浸透まで把握することは適わなかった。
②子どもの学びへの関心喚起に関しては、プロボノチームが収集した子どもの感想や、対象団体のヒアリング結果から、金融経済への興味関心が推察。なお、本プログラムは2024年度以降もSMBCグループ金融経済教育としての実施が予定されていることから、継続的な効果を期待。
<組織基盤の変化>
分類 プロボノ開始時 プロボノ終了後 変化量 特にインパクトがあった項目
マネジメント能力 32.38 33.02 0.63
  • ビジョン・ミッションの共有
人材 69.37 69.37 0.00
財務管理 76.77 77.78 1.01
  • 資金調達の担当者の設定
事業の全体像 37.04 62.96 25.92
  • 弱みの改善(ビジョン・ミッションの明確化、マニュアルによる講師教育内容の統一、子どもの金融経済への関心喚起)
  • 成果目標の達成度
事業の効果把握 19.32 49.28 29.95
  • 事業開発・計画全般(目標・計画の設定・確認、人員配置)
  • マーケティング全般(ニーズ把握、サービス向上)
  • 組織基盤のスコアにおいては、事業の全体像・事業の効果把握の項目においてスコアが大きく向上した。開始時に感じていた事業の弱みがプロボノのアウトプットにより改善されたことから、上記項目の強化が果たされたと言える。
  • マネジメント能力に関しては、ビジョン・ミッションの明確化が行われたが、スタッフへの浸透に関してはプロボノ終了後の達成目標となったため、スコアに反映されなかったと推測される。

(その他の団体は、SMBCグループプロボノプロジェクトにおける社会的インパクト評価報告書を参照)

4.本評価の主な分析結果_対社員

<対象社員の属性>
■アンケート調査の時期
事前2023年9~10月、事後アンケート2023年12月~2024年1月
■アンケート調査の分析対象者数
  • SMBCグループプロボノプロジェクト参加:42名
  • SMBCグループプロボノプロジェクト未参加:45名
<総評>
  • 90%を超えるプロボノ参加社員が、本プロジェクトへ満足していると回答
  • 60%以上のプロボノ参加社員が、本事業を通じてスキルアップしたと認識
  • SMBCグループのコンピテンシーにおける「経営理念・Five Valuesの理解度」・「チームワーク」・「挑戦」・「キャリア形成・自己成長」・「他者/他部門と協働する力」・「社会貢献に対する意識」、スコアが有意に向上。
  • 従業員エンゲージメントのスコアにおいても、スコアが有意に向上しており、SMBCグループプロボノプロジェクトの効果が期待できる。
  • また「社会貢献に対する意識」のスコアでは有意な変化は見られなかったが、本事業への参加動機の多くが社会貢献あったこと、当初値が高いことがその要因と考えられる。
分類 参加者・事前 参加者・事後 未参加者 参加者・事前事後の差 参加者・事後と未参加者の差
コンピテンシー 経営理念・Five Valuesの理解度 3.79 3.95 3.82 0.16 0.12
職業倫理・コンプライアンスの理解度 4.74 4.82 4.51 0.08 0.31
お客さま本位 4.23 4.29 4.24 0.06 0.05
プロフェッショナル 4.43 4.39 4.33 ▲0.04 0.06
チームワーク 4.27 4.38 4.34 0.11 0.04
挑戦 4.11 4.25 4.08 0.14 0.17
キャリア形成・自己成長 3.79 3.93 3.50 0.13 0.42
業務効率の改善 4.02 3.90 3.84 ▲0.12 0.06
従業員エンゲージメント 会社へのエンゲージメント向上 3.61 3.89 3.65 0.28 0.24
働きがいの向上 3.62 4.01 3.69 0.39 0.32
社会貢献マインド 社会貢献に対する意識 3.98 3.96 3.23 ▲0.02 0.73
全体平均値 4.05 4.16 3.93 0.11 0.23
<従業員エンゲージメントの変化>
  • 「会社へのエンゲージメント」・「働きがい」共にスコアが大きく向上していることから、本事業による従業員エンゲージメントの向上への効果が期待
  • 特に、20代は両方のスコアが大きく向上、40代は「会社へのエンゲージメント」、50代は「働きがい」のスコアが大きく向上
従業員エンゲージメント 参加者・事前 参加者・事後 未参加者 参加者・事前事後の差 参加者・事後と未参加者の差
会社へのエンゲージメント 3.61 3.89 3.65 0.28 0.24
働きがい 3.62 4.01 3.69 0.39 0.32
全体平均値 3.62 3.95 3.67 0.34 0.28
<社会貢献マインドの変化>
  • 「社会貢献に対する意識」においては変化は確認できなかったが、プロボノ参加社員と未参加者のスコアを比較すると、参加社員のスコアが有意に高く、社会貢献につながるプロボノに参加する社員は社会貢献に対する意識が当初から高いと言える。
  • 特に、「社会貢献に対する意識」はスコアが大きく向上したが、30代ではスコアが減少。スコアが減少した要因として、①本業との両立の難しさによる達成度の低下、②改善可能性の認識による現在値の自己評価の低下が考えられる。
分類 参加者・事前 参加者・事後 未参加者 参加者・事前事後の差 参加者・事後と未参加者の差
社会貢献に対する意識 3.98 3.96 3.23 ▲0.02 0.73