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老舗料亭「なだ万」の新規顧客開拓に貢献 SMBCデジタルマーケティングが支援する広告施策とは

1830年に創業した料亭の「なだ万」。東京紀尾井町にある本店の山茶花荘は1986年の東京サミットで晩餐会の会場に使われたことでも知られる、まさに日本が世界に誇る老舗日本料理店です。そんな由緒ある企業が顧客とデジタルで接点を作っていこうとパートナーに選んだのがSMBCグループのデジタル子会社である、SMBCデジタルマーケティング。銀行データをもとにした正確なターゲティングで、既存のお客さまも大切にしながら、さらに「未来の顧客」として想定している30代〜40代の層を中心に広告を配信し、新たな客層を広げることに成功しました。老舗企業が取り入れたデジタルにおける顧客とのコミュニケーションの形に迫ります。

細分化されたターゲティングで、狙った顧客に情報を届ける

なだ万は190年以上の歴史を持つ老舗企業ですが、現在の事業内容や提供サービスについて教えてください。

西門なだ万は1830年に大阪で創業しました。現在は日本国内と海外でレストランを展開するほか、弁当・惣菜の店舗販売や弁当を配達するデリバリーサービス、ギフト商品の販売などを手がけています。商品は主にデパートやスーパー、オンラインストア等で取り扱っています。

株式会社なだ万 執行役員 経営企画本部 経営企画部長 西門 紀昌氏

今回、SMBCデジタルマーケティングの広告関連サービスをご活用いただきましたが、どのような内容だったか教えてください。導入にあたってはどのような課題があったのでしょうか?

矢野なだ万さまからは、オンラインでの販売を強化するといったチャレンジを行っているものの、コロナ禍で店舗には従来の顧客がまだまだ戻り切っていないことなど、課題はたくさんあると聞いていました。銀行およびSMBCグループでは、売り上げをご支援するソリューションが少ないのですが、今回は、銀行のデータやメディアを使った広告でお役に立てるのではないかと考え、SMBCデジタルマーケティングを紹介しました。

株式会社三井住友銀行 本店営業第八部 矢野 恭平氏

田中なだ万さまは非常に歴史のあるレストランですので、顧客との接点もこれまではオフラインがメインでした。しかし、コロナ禍を経て人々の生活様式が変わりつつある時代にはデジタルでの接点も重要になると考え、なだ万さまがこれまで力を入れて行ってこなかったデジタル上のコミュニケーションのサービスを弊社からご提案したことがきっかけです。

具体的には三井住友銀行のアプリ上にレストランとオンラインストアを訴求するための広告を配信しました。もちろん、なだ万さまはSNSや自社サイトを運営されていますが、このような形での顧客とのコミュニケーションは初の試みだったので、どんな目的のためにデジタルを活用するのかについて、事前に入念なミーティングを重ねました。

株式会社SMBCデジタルマーケティング 広告・マーケティング事業部 事業部長 田中 直樹氏

実際にSMBCデジタルマーケティングのサービスを導入してみての感想を教えてください。

長尾まず感じたのは、正確なターゲティングによって顧客に情報を配信できることは非常に魅力的だということです。世代やお住まいのエリア、どんなライフイベントがおありの方か?等、なだ万が「未来の顧客」として想定している層にピンポイントで広告を配信できることが導入を決めた大きな理由です。

西門なだ万ではオンラインストアを以前より運営していましたが、実店舗に比べると未だお客さまの数は少ない傾向にあります。なだ万のお客さまはどちらかというと食にこだわりを持っている方が多いので、これまで、マスで大きく広告を打っても狙った層には届きにくいという課題がありました。

これまではどんな媒体に広告を出稿していたのですか?

西門現在も継続していますが、主に新聞です。ただ、これまでの経験上、新聞広告は我々がこれからのターゲットとして拡げていきたいと考えている30代〜40代の層には届きにくい状況でした。

従来のシニア層だけではなく、より若い世代を顧客にするために

今回の広告について具体的な内容を教えてください。

長尾オンラインストアへの誘導バージョンと、首都圏店舗限定の特別メニューを訴求するバージョンの二種類で広告を配信しました。

株式会社なだ万 経営企画本部 経営企画部 次長 長尾 絢乃氏

田中なだ万さまとしても初となるお取り組みですので、まずは首都圏でどれくらいのポテンシャルがあるのかを把握するために、首都圏店舗限定の特別メニューをご用意頂きました。銀行の持つ正確データでのターゲティングも奏功し、当初見込んでいたクリック率を上回る結果を得ることが出来ました。

長尾特別メニューの訴求は好評でした。また今回の配信目的であった「未来の顧客」から高いクリック率を得られた点は大きな収穫と感じています。

西門30代の方についてはレストランよりもオンラインストアのほうが相性がいいと考えていました。しかし実際には、誕生日や結婚記念日のお祝いとしてレストランに足を運んでいただく方が多かったのは意外でした。レストランのほうがオンラインストアよりも長い期間広告を配信していたのですが、それを差し引いても予想外の結果でしたね。

田中生活者の視点に立ってみると、レストランを予約するときは「このレストラン素敵だな」とか「どんなコースがおすすめだろう?」とか「誰といつ行こうかな?」とか、いろいろな想像を巡らす楽しみがあります。今回は三井住友銀行アプリ内での広告配信でしたが、具体的なアクションを起こしていただいた方を対象に郵送でもダイレクトメールをお送りしました。

今回郵送した期間限定の夏イベントのご案内
※季節限定メニューのため、現在は発売していない可能性がございます。ご了承ください。

西門なだ万のお客さまと紙の媒体は相性がよく、押さえとして送ったものです。アプリ内の広告に反応した方に送っているので、こちらの結果も期待できます。

田中銀行データを活用することで、単なる仮説ではない具体的なターゲット像が明確に把握できたことは大きな収穫でした。シニア層だけではなく、30代の富裕層にアプローチして良好な反応を得ることができました。

デジタルと紙を融合させた施策で、将来のリピート客を取り込む

これからのSMBCデジタルマーケティングとの取り組みで期待することについてお聞かせください。

西門デジタルを活用することで、我々が新規顧客として見据えていた層からのリアクションを多くいただけたのは新しい発見でした。

長尾今までのなだ万のお客さまは50代〜60代の方がメインでしたので、30代〜40代の方々にもご利用いただきたいと考えています。セグメントされたターゲットへの広告配信で非常に手応えを感じましたので、今後とも30代〜40代の新規顧客を開拓するべく広告施策には力を入れていきます。価格につきましても、価格帯の高いメニューだけでなく、例えば今年1月に新規にオープンした「麹町なだ万 福岡別邸」などであればランチは2,000円からのメニューを用意しておりますし、またデパートなどで販売しているお弁当は1,000円台からご提供していますので、より若い世代にもなだ万の味を知っていただきたいですね。

最初はお弁当から入って、いずれはレストランに足を運んでいただき、その後もご両家の顔合わせや結婚記念、お食い初めの場として継続的になだ万をご利用いただく。一回きりのご利用ではなく、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の高いお客さまを今後も増やしていきたいです。

SMBCデジタルマーケティングとしてはいかがでしょうか?

田中今回は、なだ万さまとして初の試みとなるデジタル上でのお客さまとのコミュニケーションでしたが、目的と配信対象を踏まえ、三井住友銀行が保有する最適な広告ソリューションのご提案を考えております。
デジタル接点というと、なだ万さまのインスタグラムには1万人を超えるフォロワーさんがいらっしゃいます。もともと、ブランド力をお持ちの企業さまですのでこのような結果につながったのだと思います。今後もなだ万さまのブランド力を活かした様々なお取り組みを伴走させて頂く所存です。

インスタグラム以外でもSNSの発信は行っているのでしょうか?

長尾創業190周年を迎えた2020年にはYouTubeチャンネルを開設しました。調理長が教えるレシピ動画や山茶花荘のおもてなし紹介動画、調理技術の裏側紹介動画などを公開しています。なだ万としてオフィシャルのLINEアカウントも開設しています。こちらは本当に開設したばかりですが、SNSについては、今後もさまざまなツールを活用していきます。これまで私どもの課題であった「新規顧客の開拓」を解決するため、SNSも広告展開も力を入れていきます。

日本を代表する料亭「なだ万」のブランド力を大切に、今後もマーケティング活動を支援

なだ万のブランディングとして、今後はどのようにデジタルを活用していくのか教えてください。

長尾日本料理の文化を世界に広めていくためにも、情報発信に力を入れながらブランディングを確立させていきます。近年急増している外国人のお客さまに向けた施策も実施します。弊社のWebサイトを分析すると海外からのアクセスが増えていたり、また日本からのセッションでも英語に翻訳してご覧になっているという、日本に滞在される外国人の方のサイト訪問もあるようです。日本人にとっては当たり前の文化でも、外国人から見ると「驚きと感動」に満ちた面があるので、その点も考慮しながら“なだ万ブランド”を確立させたいですね。

西門レストランでは「調理長のおまかせコース」が海外のお客さまに人気です。今や海外でも「OMAKASE」で通じる文化になっていて、海外旅行における特別感のあるメニューの代名詞になっているそうです。今後は海外からのお客さまも視野に入れて、デジタルでの情報発信に力を入れていきます。

SMBCデジタルマーケティングとして、歴史あるなだ万という老舗企業におけるデジタルマーケティングには、今後どういった可能性があると考えていますか?

田中マーケティング視点でいいますと、なだ万さまにはこれまで積み上げてこられた歴史とブランド力がございます。YouTubeなどでレシピ動画を見た人が、なだ万さまの味に興味を持って実店舗に足を運ぶこともあるでしょう。SNSを入り口にしてなだ万さまのファンを増やしていく施策はいろいろ考えられます。開設したばかりのLINEアカウントについても、どのように友だち登録をしてもらうのかを考えるところからご一緒できればと思います。

矢野なだ万さまは日本を代表する料亭であり、ブランドの価値や歴史、商品へのこだわりはこれからも大事にされるべきものです。どのような方にマーケティングを行い、お客さまになっていただくかは、非常に重要なブランド戦略といえるでしょう。SMBCデジタルマーケティングの強みである銀行の正確データを活用したターゲティングで、届けるべき人に情報を届ける。今や日本料理は世界に誇れる財産です。その一翼を担うなだ万さまのマーケティング活動を今後もご支援していきます。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 株式会社なだ万 執行役員 経営企画本部 経営企画部長

    西門 紀昌氏

    食品メーカーでの商品開発、イベント企画、外食店プロモーション施策等の各企画業務を経験し、2019年より株式会社なだ万の経営企画を担当。

  • 株式会社なだ万 経営企画本部 経営企画部 次長

    長尾 絢乃氏

    2023年、株式会社なだ万に入社。食品関連の事業会社におけるEC運営等マーケティング経験を強みに、なだ万のデジタルマーケティングを担当。

  • 株式会社三井住友銀行 本店営業第八部

    矢野 恭平氏

    2009年入行。入行来、主にホールセール部門のフロント業務に従事。

  • 株式会社SMBCデジタルマーケティング
    広告・マーケティング事業部 事業部長

    田中 直樹氏

    事業会社での経験、CRMおよびダイレクト知見、データプライバシーのスキルを活かしたビジネスプロデュースを得意とする。
    現在は、SMBCデジタルマーケティング社にて広告・マーケティング事業をリード。

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セッション
(Session)

類義語:

マーケティングの文脈での「セッション」とは、ユーザーがウェブサイトにアクセスしてから離脱するまでの一連の流れを示す。セッションを分析することでウェブサイトにどの程度の需要があるかを判断し、ウェブマーケティングに役立てることが可能。

LTV
(Life Time Value)

類義語:

「顧客生涯価値」と訳されるマーケティング指標で、ある顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間に、自社にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表した数値のこと。