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「本気」の企業が集まる場。事業会社・スタートアップの共創を生み出すアクセラレーションプログラム「未来X(mirai cross)2025」始動

SMBCグループが手がけるスタートアップエコシステムプラットフォーム未来X(mirai cross)」。未来Xの取り組みの一つであるアクセラレーションプログラムでは、次世代をリードする多くのスタートアップが参加し、大企業を含む事業会社との共創の取り組みも生まれています。

本年度のアクセラレーションプログラム「未来X(mirai cross)2025」の開始に先駆け、キックオフイベントが2024年7月31日に三井住友銀行本店にて開催されました。このイベントでは、元サッカー日本代表であり、近年は実業家・投資家としても活躍する本田 圭佑氏と三井住友銀行の頭取CEOである福留 朗裕氏との対談のほか、事業会社のパートナーおよびSMBCグループと、スタートアップとの共創事例が紹介されました。

今回はキックオフイベントの様子を交えながら、三井住友銀行 成長事業開発部 企画開発グループ グループ長 川舟 史晃氏にお話を伺い、今年の「未来X(mirai cross)2025」の全貌を明らかにします。

スタートアップは最初から「プライム市場上場」を目指せ!

キックオフイベントでは、特別ゲストに元サッカー日本代表であり実業家・投資家としても活躍されている本田 圭佑氏を迎え、三井住友銀行頭取CEO 福留 朗裕氏による「スタートアップ支援にかける想いと事業会社との”共創”の一手」をテーマにしたセッションが行われました。その一部をご紹介します。

本田私はこれまで、投資家として多くのスタートアップに携わりました。そのような経験のなか、最初からプライム市場ではなくグロース市場を目指す会社が、日本に多いことが気になっています。長年サッカーに取り組んできた私からすると、最初からグロース市場を目指すのは、最初からJ1ではなくJ3を目指しているのと同じです。

周りから何と言われようと「ワールドカップで優勝する」と言い続けたからこそ、今の日本代表の強さがあるのと同様、ビジネスの世界でも上を目指すことで拓ける世界があると思っています。今のうちから、グロース市場を目指す上場スタイルに終止符を打ち、5〜10年後には、どのスタートアップもプライム市場しか目指していないという状況がつくれれば、日本のスタートアップが抱えるさまざまな問題は解決するのではないでしょうか。

本田 圭佑氏

福留私も本田さんほどではありませんが海外で長く生活をし、多くの国の人々を見てきました。そのような経験から、残念ながら日本人は、海外の人々と比べてチャレンジ精神のある人が少ない傾向があると感じています。

背景には、日本のマーケットが中途半端に大きいことがあると思っています。日本で事業を成功させられれば、わりと大きな成功を手に入れられるのです。しかし海外では、最初からグローバルでの事業展開を前提に、設立されるスタートアップが多いです。

また、スタートアップを支援するエコシステムも、日本には全く足りていません。本田さんのようなエンジェル投資家はほとんど存在せず、その後の投資ラウンドでも、ベンチャーキャピタル(以下、VC)や投資家の数は、欧米と比べて圧倒的に少ないです。SMBCグループとしては、そのような状況を変えるべく、スタートアップのための新しいエコシステムを作っていきたいと考えています。

株式会社三井住友銀行 頭取CEO
福留 朗裕氏

SMBCグループとの共創で「日本を世界で誇れる国にする」

SMBC Wevox 代表取締役社長 杉本 秀和氏、SMBC Wevox 取締役副社長 川本 周氏によるセッション「日本を世界に誇れる国にする~SMBC×アトラエによる共創~」では、SMBCグループとアトラエによって設立されたジョイントベンチャー、SMBC Wevoxの事業内容や設立経緯と、共創にかける想いが語られました。

川本アトラエは、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というミッションを掲げる、社員数100名ほどの会社です。理想の組織をつくりたいという想いをもったメンバーが集まり、人々が余計なストレスを感じず、いきいきと働き続けられる組織づくりに励んでいます。理想的な組織のロールモデルをつくり、世の中を変えたいと思っている集団です。

そのような想いの詰まったプロダクトが組織力向上プラットフォーム「Wevox」です。しかし、我々だけではリソース的な限界もあり、日本全体に広める、そして、新しいアタリマエをつくっていくには力不足だと感じていました。そこで、Wevoxのトップユーザーでもあり、組織変革の当事者でもあるSMBCグループの皆さまと今までにない形の共創をすることで、自社だけでは難しいプロダクト拡大の実現を目指しています。

SMBC Wevox株式会社 取締役副社長
川本 周氏

杉本SMBC Wevox社のビジョンは「日本を世界で誇れる国にする」です。よく日本では直近の経済状況を「失われた30年」と呼びます。私はこの言葉が大嫌いです。状況を変えるには、世の中に変革をもたらし、日本経済を構造から変えていくしかありません。そのために、企業経営の根幹かつ共通課題である組織づくりにイノベーションを起こし、SMBCグループを変え、お客さまを変え、日本を変えていきます。

本日会場にいらっしゃっている200~300人の事業会社およびスタートアップの皆さまは仲間です。オールジャパンで、いいチームづくり、組織づくりをしながら、「日本を世界で誇れる国」にしていきましょう。

SMBC Wevox株式会社 代表取締役社長
杉本 秀和氏

大手老舗企業とスタートアップによる、DX共創事例

「未来X」では、大手企業とスタートアップとの協業事例も多く生まれています。その事例の一つが、空調を中心とする建築設備の設計・施工を手掛ける大手企業の新日本空調と東京大学松尾・岩澤研究室発のAIスタートアップDeepreneurによる協業です。今回のキックオフイベントでは、新日本空調 代表取締役社長 廣島 雅則氏、Deepreneur 代表取締役 澤田 悠太氏のセッション内で、協業が実現した経緯についての話がありました。新日本空調は今回の協業において、社内の膨大な資料や情報の活用を加速すべく、Deepreneurと共同で生成AIを活用したナレッジ共有システムを構築しています。

廣島2021年から未来Xに参加をしています。私たちはさまざまな事業を推進していますが、スピード感をもってイノベーションに取り組んでいくために、スタートアップとの協業ができないかと考え、未来Xへの参加を決めました。昨年もリバースピッチイベントに出させていただき、その後の交流会ではDeepreneurの澤田さまとざっくばらんにお話しできる機会があり、AIを用いてご一緒できるのではと話を進める運びとなりました。

新日本空調株式会社 代表取締役社長
廣島 雅則氏

澤田アクセラレーションプログラムは他にも多くありますが、未来Xはスタートアップと事業会社の共創に重きが置かれている印象です。本日もいくつかの事業会社の方がリバースピッチを行われますが、事業会社の方が抱える課題にスタートアップが応えられる事例も多いと思いますので、今後も期待しています。

株式会社Deepreneur 代表取締役
澤田 悠太氏

廣島リバースピッチでDeepreneurの澤田さまとお会いした社員から、「ぜひ話を進めたい」という声があり、オンラインで打ち合わせをさせていただきました。そこで私自身もとてもいい感触を得られたため、実際の協業へと短期間のうちに話が進みました。

澤田加えて、スピーディーな協業が実現した大きな要因は、PoC(概念実証)の工程をカットするという意思決定を、新日本空調さまにしていただけたことだと考えています。

廣島当然、当社としては相応の根拠をもってPoCは不要という判断をしています。我々からすると、最初から求める水準に仕上がっていたので、PoCがなくても問題ないという判断でした。

昨今、AIやデジタル領域ではスピード感が求められます。PoCに時間をかけている間に、プロダクトそのものが陳腐化してしまう危険性もあると考えていました。そのような状況を避けるためにも、スピーディーなプロジェクト進行を意識していました。PoCのカットに限らず、スムーズに進めるための準備を事前にしていたこともまた、スピード感をもってDXを実現できた要因の一つだと思います。

一時的な盛り上がりで終わらせない、事業創出・グロースを叶えるプログラム設計

最後に、「未来X(mirai cross)2025」主催者である三井住友銀行 成長事業開発部 企画開発グループ グループ長 川舟 史晃氏に、開催背景や今年のアップデートについて話を聞きました。

今年度の「未来X(mirai cross)2025」は、前年と比べてどのようなアップデートをしているのかを教えてください。

川舟前年からのアップデートのなかで、特に代表的なものを三つご紹介します。

一つ目は、事業共創を促す仕組みの強化です。例えば、本日のキックオフイベントでも、本会場でのイベントとは別に、事業会社さまとスタートアップのマッチングの場を設けています。これまでは、キックオフイベント中のマッチングは行っていませんでしたが、今年からはキックオフのタイミングでも、協業企業や協賛企業のニーズに合わせて、スタートアップとの繋がりを創出しています。

キックオフイベントでの交流の様子

二つ目は、VCとの連携強化です。これまでも、VCには書面審査や研修で、アクセラレーションプログラムにご協力いただいていました。今年からは、VCの投資判断に必要な情報の提供に力を入れ、スタートアップとの面談機会も設ける予定です。これまでよりも、VCが投資しやすい環境をつくる狙いがあります。

三つ目は、グローバル展開のサポート強化です。具体的には、ニューヨークでアクセラレーションプログラムを実施しているERAさまにご協力をお願いし、プログラム内の一部研修を担当いただきます。SMBCグループは以前から、グローバルに通用する日本発スタートアップの創出を目的の一つに据えていました。世の中全体から見ても、グローバル市場での成功方程式が確立されていない状況下では、実践者から話を聞くのが一番です。

総じて本アップデートは、プログラム全体が、一時的な盛り上がりを生み出すだけで終わらないようにしたい、という狙いがあります。

株式会社三井住友銀行 成長事業開発部 企画開発グループ グループ長
川舟 史晃氏

「未来X(mirai cross)2025」のスケジュールおよび、研修・メンタリングの内容を教えてください。

全体研修が10月頭から11月上旬にかけて実施されます。その後はメンタリング、プレゼン研修がおこなわれ、事業会社・VC・公的機関などのさまざまなプレーヤーが参加する最終審査会を2025年の2月に開催予定です。

研修では、リーダーシップ、資本政策、PMF、事業計画といった事業づくりに関する基礎的な内容に加え、マーケティング、広報、ブランディング、法務といった事業運営・グロースに必要なノウハウまで幅広くお伝えします。どのテーマも各業界のトップランナーをお招きし、実践的な内容をレクチャーいただく予定です。

「未来X(mirai cross)2025」で、日本の再成長に貢献する

未来Xによって生まれた、スタートアップと大手企業の協業の例はありますか?

まさに本日のセッションの一つにご登壇いただいた、新日本空調さまとDeepreneurさまとの協業が代表的な例です。他にも、未来Xが現在のような形になった2020年ごろから数えると、15件ほどの協業が生まれています。

どのような企業に、「未来X(mirai cross)2025」に参加してほしいですか?

一言で言えば「本気」の企業です。参加いただくスタートアップはもちろん、協業を検討している事業会社の皆さんも、本気で何かを生み出したいと思っている方々にご参加いただきたいです。

今、ご参画いただいているどの企業さまも、本気で技術力のあるスタートアップとタッグを組みたいと考えています。引き続き、本気の企業が集まる場として整えられればと思っています。

今回の未来Xに期待することをお教えください。

スタートアップにとって、「あのとき『未来X(mirai cross)2025』に参加したから成長できた」と思われる存在になることです。各社がこれから歩む成功ストーリーの、ひとつのピースになれればと思っています。

さらに本プログラムを通して、参加企業に価値提供をしたその先には、SMBCグループが中期経営計画で重点課題に据えている「日本の再成長」に貢献できると考えています。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 株式会社三井住友銀行 成長事業開発部 企画開発グループ グループ長

    川舟 史晃氏

    2007年に三井住友銀行に入行。神戸法人営業第三部、総務部、法人企業統括部(現ホールセール統括部)、コンプライアンス部を経て、日本経済の再成長に貢献したいという思いから、2020年7月に公募で成長事業開発部へ異動。ホールセール統括部では国内法人業務改革、総務部・コンプライアンス部では、業務効率化委員会等のプロジェクト関連業務に携わる。現在は、企画開発グループ長として、主にスタートアップ向けビジネスの開発や支援イベント等を推進。

この記事でご紹介したサービス
AI
(artificial intelligence)

類義語:

  • 人工知能

コンピュータが人間の思考・判断を模倣するための技術と知識体系。

プラットフォーム
(Platform)

類義語:

サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる標準環境」を指す。

エコシステム
(Ecosystem)

類義語:

各社の製品の連携やつながりによって成り立つ全体の大きなシステムを形成するさまを「エコシステム」という。

DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。

PoC
(Proof of Concept)

類義語:

  • 概念実証

新しいアイデアや技術の実現可能性を検証すること。日本語では「概念実証」と訳される。新しいサービスを立ち上げる際や新しい技術が実現可能かを確認するため、本格開発・導入の前段階で実施される。

ベンチャーキャピタル
(Venture Capital)

類義語:

未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンド。

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