前年比160%増。メディカル東友初のtoC事業を成功に導いた、SMBCデジタルマーケティングの事業支援

医療にまつわる多様な事業を展開するメディカル東友。過去30年以上の知見をもとに医療機関向けに透析患者さま向けのお弁当を提供していましたが、コロナ禍により病院での食事が難しくなったことを受け、冷凍による透析弁当のオンライン販売をスタート。BtoBのアプローチを主とする同社が、初めて医療施設を介さずにBtoCの直接アプローチに挑戦しています。
同社の挑戦を、オンライン販売のコンサルティングから広告制作まで一気通貫でサポートしているのが、SMBCグループのSMBCデジタルマーケティングです。デジタル領域だけにとどまらない、その支援内容について伺います。
コロナ禍を機に、冷凍透析弁当のオンライン販売を手探りで開始
オンライン販売事業立ち上げの経緯と、生じた課題についてお教えください。
緒方弊社は人工透析にまつわる事業をおこなっており、過去30年以上の知見をもとに医療機関で透析食を提供しています。しかし、コロナ禍により医療機関内での食事が難しくなったため、代替として、患者さまにどのようなサービスを提供できるのか検討を始めました。そこで手探りで開始したのが、現在の「高齢者や透析患者、健康志向の方向け宅食サービス メディクック宅配弁当」です。

オンライン販売サイトを立ち上げた当初は、弊社の既存サービスを知っていただいているお客さまにダイレクトにアクセスできたため、初速でそれなりの売上がありました。しかし、直接お客さまにサービスを伝えるマーケティングやクリエイティブのノウハウが不足していたんです。1年ほどは全国で顧客を増やすべく、自力で新聞の折り込み広告なども試しましたが結果にはつながりませんでした。

緒方 暁氏
そのような悩みを、私が経理業務で通じてやり取りをしている三井住友銀行の担当の方にお話したところ、ご紹介いただいたのがSMBCデジタルマーケティングさまでした。
三井住友銀行の担当者とは、金融領域以外の課題もよく話されているのでしょうか。
緒方SMBCグループが非金融領域に力を入れていらっしゃるのは、以前より認識をしていました。ですから、金融領域以外の課題もよくご相談していますね。
オンライン販売サイトのリニューアルで、前年比売上が160%増
SMBCデジタルマーケティングとして、どのような提案をしたのでしょうか?
田中当初メディカル東友さまから課題として伺ったのは、主に広告デザインなどクリエイティブに関する内容でした。しかしお話を伺うと、最初に構築したオンライン販売サイトでは、より大きな市場を狙い収益を拡大するうえで、いくつかの課題があるのではないかという仮説が生まれました。オンライン販売の良いところは、日本全国津々浦々に商品を届けられることです。SMBCグループとして、経営に大きなインパクトを与えるご支援をしていけると考え、その視点をもとに施策を検討しました。

田中 直樹氏
そこで、まずは受け皿であるオンライン販売サイトをリニューアルし、その後広告配信でお客さまを呼び込むご提案をしました。
緒方弊社の主力商品である冷凍透析弁当は定期的に購入いただく方が大半ですが、当初のオンライン販売サイトでは定期購入のスケジュール変更ができず、不便な点もありました。そういった困りごとをお伝えすると、田中さんからはすぐに対応できるオンライン販売プラットフォームをご紹介いただきました。ノウハウを持たない我々としては、とても助かりましたね。
2024年9月にオンライン販売サイトのリニューアルオープンを行いました。リニューアル後3カ月ほどしか経っておらず、ウェブ広告などのマーケティング施策はこれから強化していきますが、すでに前年比売上は160%アップしています。

井上商品写真撮影の際も立ち会っていただき、見せ方などのアドバイスをいただきました。現在でも運用側が新しいオンライン販売システムの操作に慣れておらず、処理に時間がかかったり、バグが発生したりすることがあります。その都度、田中さんにメールを送って対応いただいています。
オンライン販売サイトの構築からデザインなどのクリエイティブ面、マーケティング施策まで、田中さんに相談すれば、ワンストップでご対応いただけるので非常に助かっています。
おいしさと栄養面を追求し、楽しめる食事を提供
冷凍透析弁当に加えて、新たに栄養バランス弁当の開発・販売をスタートするに至るまでの経緯を教えてください。
井上これまで我々は透析食をメインに提供してきましたが、家族で食事をするときにひとりの方だけが透析食となると、やはり準備の面で負担が大きくなります。そこで、透析食を必要としない家族も食べられる食事も一緒に提供できれば準備の手間が減らせると考え、栄養バランス弁当の販売をスタートさせました。

井上 憲子氏
冷凍透析弁当および栄養バランス弁当は、どのような技術で冷凍しているのでしょうか?
井上マイナス40度の冷風によるショックフリーザーという方法で、短時間で冷凍状態にしています。栄養素やおいしさを損なわないで凍結できるので、解凍後も味が損なわれません。
緒方常温では普通に提供できる食材でも、凍らせると駄目になってしまうものが思いのほか多くあります。急速冷凍と加熱に耐えうる食材を使用しているので、メニュー開発には多くの苦労がありました。
嘉成冷凍により性質の変わる食材もあれば、レンジで加熱することで性質の変わる食材もあります。加熱時に香りが飛んでしまう食材もあるので、レンジを使った際にもとの風味が感じられるよう、味付けの加減などで工夫をしました。それらの過程を経て、自信をもってお客さまに提供できるメニューだけを商品化しているので、新しいメニューの開発には3カ月ほどを要します。

田中私から皆さんへの質問なのですが、これまで医療機関に透析食を提供してきたことで得られたノウハウは、今回の冷凍透析弁当にどのように反映されているのでしょうか?
井上透析食を食べていただいた患者さまから、喜びの声やご意見などは頻繁に届いています。中にはYouTubeで情報発信をしている方もいらっしゃって、彩りがきれいになったことをお褒めいただいたり、ときには至らない点へのご意見をいただいたりすることもあります。日々メニューを考案していて感じるのは、管理栄養士と実際に口にする患者さまでは、同じメニューに対する視点が異なるということです。
嘉成管理栄養士としては安全かつ健康に配慮した食事を優先して考えますが、やはり透析食を食べる患者さまは、おいしさを優先して考えます。メニューを開発するときは、常に双方のバランスを取ることを意識しています。

嘉成 紫陽子氏
田中冷凍透析弁当のメニューにカレーがあるのですが、「透析食のカレーって美味しくないのでは?」という偏見を覆してくれる味であったことに感動しました。

井上透析患者さんが自宅でカレーを作るのは、塩分や野菜のカリウム量の問題で結構難しいのです。ですから、メニューにカレーが入っているととても喜んでいただけます。また、メニューを作ってくれている嘉成は前職がフランス料理の調理スタッフなので、最近ではフレンチで使われるソースが登場するなど、メニューにも変化が現れています。
弊社としては飽きのこない食事を提供したいと考えています。特に透析食は長期間摂取する必要があるので、食事として楽しめるメニューを心がけています。人間は口から食べ物が入らなくなると、判断力や思考力にも影響があります。皆さまの食べる意欲を促進するような食事を提供していきたいですね。
SMBCグループ内の広告代理店として、非ファイナンス領域のさまざまな課題を支援
両社の連携の展望について教えてください。
田中オンライン販売サイトのリニューアル後は、デジタルメディアの最適な活用を主としたマーケティングを展開しており、すでに売上高は前年比160%増を達成しています。
今後も、三井住友銀行が保有するデータを活用したデジタル起点での事業支援はもちろんのこと、経営に伴走したさまざまなマーケティング支援実績を活かし、各フェーズに沿った最適なソリューションを提供できるパートナーであり続けたいと考えています。
さらに、販売チャネルもオンライン販売だけでなく、たとえばドラッグストアなど、ほかの流通チャネルでの販売も見込めるかもしれません。SMBCグループとしてはこういった非ファイナンス領域でのご支援も、今後より広がっていく可能性を感じています。
緒方私たちはこれまで栄養管理の厳しい透析食を提供してきました。培った技術を活かして、オフィスワーカー向け、作業現場向け弁当など、一般向け健康弁当の提供も拡大したいと考えています。
田中さんにはすでにオンライン販売サイトまわりのサポートだけでなく、我々だけでは思いつかないようなアイデアをご提案していただくなど、あらゆる面でお世話になっています。田中さんが弊社の事業に熱く共鳴してくれて「この商品は世に出さないとダメです」とおっしゃってくれるのも非常に嬉しいですね。
田中三井住友銀行がワンストップでファイナンスまわりを支援するのはもちろんのこと、非ファイナンス領域においてもご支援できる領域が広いのがSMBCグループです。
優れた商品やサービスを提供しているけれど、世の中に知られていない会社は日本中にあるかと思います。それらの商品やサービスを、世の中に知っていただくことが私たちの役割ですし、メディカル東友さまが提供している優れた冷凍透析弁当や栄養バランス弁当を広く周知することは、社会価値創造にもつながると考えています。
我々SMBCデジタルマーケティングは、SMBCグループ内における広告代理店です。デジタルの名を冠していますが、デジタルだけではなくキャッチコピーやロゴデザインも制作していますし、チラシのデザインを手がけることもあります。
これからも、非ファイナンス領域の事業課題を、SMBCグループのアセットを活用しながら手口ニュートラルで最適なソリューションを駆使することにより、ご支援をしていきます。

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株式会社メディカル東友 経理部 部長
緒方 暁氏
1999年から同グループで医療業界に携わり、法人設立や医療施設立ち上げ、経営に従事。現在は経理部長としての業務に当りながら、医療施設での経験を活かした患者様目線の経営を心掛けている。「質の高いサービス×継続」が医療に携わる企業の命題と積極的に各事業に参画。
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株式会社メディカル東友 メディクック事業部 部長
井上 憲子氏
医療機器のメーカーに勤務した後、腎臓関係の研究室にて勤務。入社後透析患者さんの食事関係の調査を開始、色々な施設の管理栄養士さんとメニュー作り体制作りをし、患者さんの美味しいを引き出しだいと現在の部署にて勤務。
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株式会社メディカル東友 メディクック事業部 食材課 管理栄養士
嘉成 紫陽子氏
給食運営会社にて病院・高齢者施設の管理栄養士として従事した後、おいしさを追求した料理の知識と技術を得るため、フレンチレストランのキッチンスタッフに転身。現在は、管理栄養士、料理人の両経験を活かし、メディクックの商品開発を担当。
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株式会社SMBCデジタルマーケティング 広告・マーケティング事業部長
田中 直樹氏
事業会社/広告代理店での経験の後、CRMおよびダイレクト知見、データプライバシーのスキルを活かした手口ニュートラルでのビジネスプロデュースを得意とする。
現在は、SMBCデジタルマーケティング社にて広告・マーケティング事業をリード。