SMBC Wevoxで「組織が変わる」。三井住友銀行岐阜法人営業部から県内企業に波及している、組織づくりの新潮流

「組織づくりに課題を感じている岐阜県の経営者に、SMBC Wevoxを紹介してほしい。」2023年12月、SMBC Wevox 株式会社の代表取締役社長 杉本は、三井住友銀行岐阜法人営業部長 長綿からそう声をかけられました。
SMBC Wevoxとは、組織の力を引き出すためのプラットフォームです。目に見えない「従業員の心理状態や特性、組織のカルチャー等」をデータ化し、組織の中に数多くの良質な気づきやアクションを生み出すことで、パフォーマンスの高い組織をつくることを支援します。
実際、Wevoxデータを活用した岐阜法人営業部の組織づくりの取り組みは、すでに大きな変化を生み出していました。その取り組みに共感したお客さまは、その場で導入を決定。その様子を目の当たりにした杉本と長綿は、「この組織づくりのノウハウを岐阜県内のすべての企業に届けたい」と決意を新たにしました。こうして、長綿と岐阜法人営業部のメンバー、そしてSMBC Wevoxによる岐阜県内企業の組織変革への挑戦が始まったのです。
三井住友銀行岐阜法人営業部は、どのように組織を変革していったのか。そして岐阜県内でSMBC Wevoxを導入した企業組織はどのように変わっていったのか。インタビューで明らかにします。
多くの企業が組織づくりに課題を抱えている、という現実
SMBC Wevoxの提供開始から、1年と少しが経過しました。導入企業の反応についてお教えください。
杉本SMBC Wevoxは、これまで多くのお客さまにご導入いただき、会社設立から約5カ月で単月黒字化を果たしました。単月黒字化までのスピードは、歴代のSMBCグループ子会社のなかでも最速です。それだけ今の社会には、組織づくりに関する課題を抱えた企業が多いのだと思います。

杉本 秀和氏
SMBCグループでは、2019年から従業員エンゲージメント向上や現場主体での組織づくりに取り組み、すでに多くの事例や成果が生まれています。そして、SMBC Wevox社設立以降は、SMBCグループの組織が変わっていくプロセスそのものがお客さまへ提供できる価値になり、お客さまの組織づくりの向上に繋がっています。更には、お客さまのSMBC Wevox活用事例から我々が学ぶことも多く、お客さまとSMBCグループの組織づくりが相互に成長していくという好循環が生まれています。
実際に岐阜県内の企業経営者から、組織面の課題を聞くことはありますか?
長綿どの経営者と話しても、組織面の課題は必ず話題にあがります。
前提として、岐阜の優秀な若者は県内のみでは大学進学先が限定されるため、都市部の有名大学へ進学することが多く、そのまま地元に戻らずに就職する方が多い。都市部の優秀な人材を岐阜へ呼び込む取り組みも行われていますが、なかなか難しいのが現実です。その結果、多くの企業で社員の高齢化、人材不足などの問題が起こっています。この問題を解決するには、採用競争力を高める努力と同時に、今働いている従業員が、ここで働き続けたいと思える魅力的な組織づくりに注力しなければなりません。しかし、どうすればいいのかわからないと悩む経営者が非常に多い印象です。
杉本さんと一緒に、初めてSMBC Wevoxの商談をした際に感じたことは、「SMBC Wevoxは多くの経営者が抱える課題解決に繋がるソリューションとなる。人事部や日常のカウンターである財務部等ではなく、経営者に自分が直接提案すれば、高い確率で成約するのではないか。」ということでした。

長綿 洋介氏
岐阜法人営業部が実践した組織改革とSMBC Wevox活用法
お客さまに紹介した、岐阜法人営業部での組織づくりやSMBC Wevoxの活用法はどのようなものだったのでしょうか?
長綿岐阜法人営業部は、全国の法人営業部のなかでも若手が多く配置される傾向がある拠点です。現在は17名のメンバーが在籍していますが、4年目以下の部員が8名と、約5割を占めています。また、部員は一般的には2~5年で転勤していきますので、若手が育つと転出し、代わりに毎年入ってくる新人を育てて、その後任に当てなければならないという構造になっています。教育は主に管理職と、転勤のないメンバーが担っていますが、教育を担うメンバーからすると、日常の業務を捌きつつ新人を頑張って育てなければならない。でも育ったらすぐに出て行ってしまう。普通に考えたら、不満を抱きますよね。
そのため、私は着任初期に「SMBCグループにおける岐阜法人営業部の役割」を言語化し、教育を担ってくれているメンバーと共有をしました。岐阜法人営業部のミッションは、人材育成が最優先。業務推進を行う過程で人材を育成し、部署の業績拡大と若手メンバーの育成を同時並行で追及することだと定義しました。その上で、ミッションの達成、つまり若手が育ち、更に責任のある仕事を任されること(=一人ひとりが目指すキャリアの実現)を皆で喜ぶことが出来る文化をつくりたいと伝えました。
また、目指す組織の姿を一人でも多くのメンバーと共有できるように、分かりやすく簡単な言葉で、角度を変えながら発信を続けていきました。長年の法人営業経験を通じて、一人ひとりが自分の仕事に熱中できる組織こそ、メンバーのエンゲージメントが高まり、高い業績を維持できるということを実感していましたので、そのイメージを共有できるように発信を続け、また自らの行動でも示していくということに力を注いできました。
さらにメッセージを発信して終わりではなく、「意図通りに伝わっているのか」「理想の組織に近づいているのか」を分析し、行動を修正することが重要だと考えており、そのために活用しているのがSMBC Wevoxです。
具体的には、私の肌感覚と、メンバーの感じていることのズレを確認するために使っています。担当者の表情や反応を見て「うまくいっている」と感じていても、データ上は違う結果が出てくることが多々あります。そういった場合は、一度立ち止まり、その原因を徹底的に考えます。その中で、SMBC Wevoxには組織づくりについて学習したAIがデータの読み解き等をサポートする機能があり、私の相談相手にもなってくれます。
特に注意しているのは、期待している変化がデータに表れないときです。法人営業の仕事では、ビジネスの慣習に合わせて繁忙期がある程度決まっています。この時期は、どうしてもメンバーにプレッシャーがかかります。このタイミングで一部の指標が低下することはやむを得ないと思っています。一方で、仕事をやり遂げて達成感を感じていると思われるタイミングや、繁忙期が終わった後にリラックスできるはずのタイミングで、それに応じたデータが出てこない場合は何か問題が発生しています。こうした状況をSMBC Wevoxのデータをもとに分析し、部全体の状態を常に最適化する努力を怠らない様に心がけています。
要するに、いいデータが出続ければ良いという話ではなく、想定とのズレが出てきたとき、原因分析と対策を繰り返し、現状に満足せず、常に一歩前へ進むことを目指すことが重要だと考えています。

組織力向上の結果、従業員エンゲージメントも業績もアップ
それらの取り組みによって、どのような変化がありましたか?
長綿部署の業績は年々伸び続け、収益はこの2年間で40%増加しました。重要な業績指標の一つである貸出残高はSMBC発足以来の過去最高残高を更新し続けています。もちろん、組織づくり以外にもさまざまな要因が重なっての結果ですが、それでもSMBC Wevoxが大きく貢献したと実感しています。
組織面での変化の中で、最も大きな変化は「メンバーが主体的に意見を発信してくれるようになったこと」です。約2年前に着任した当初、メンバーから意見が上がってくることは今と比較して多くなく、また「私」を主語にした個人的な意見が多い傾向にありました。
しかし、今では「組織全体にとってよい影響をもたらす提案」が活発に行われるようになり、提案の主語も「私」から「組織」へと変わりました。
松浦いち担当者としても、前向きに仕事がしやすくなったと感じます。数年前までは、上司に意見を伝えること自体に躊躇する担当者がいたように感じますが、今では、部内の雰囲気が変わり、入社1年目の若手でも積極的に意見を出せる組織へと成長しました。更には、SMBC Wevoxには組織状態のデータだけでなく、組織のメンバーの個人特性や相性分析をする機能もあり、みんなで見せ合いながら会話をすることで、メンバー間の関係性もよりよくなっています。

松浦 朗憲氏
この組織の変化は、業績にも大きな影響を与えています。たとえば、お客さまに対して失敗を恐れずに提案できるようになったり、自分の仕事にプライドを持つことができたりと、高いモチベーションで働くメンバーが増えました。また、各担当者の間で健全な競争意識が芽生え、助け合いながらも互いに切磋琢磨する文化も生まれています。
結果、各担当者の提案の質が上がり、顧客に感謝され、人が育つ職場になったと感じています。

事業・組織づくり両面の支援が可能な、世界唯一の企業を目指す
岐阜県内の企業における、SMBC Wevoxへの反応はどうですか?
杉本2023年12月にはじめて岐阜県内の企業にSMBC Wevoxを導入いただいてから、県内の導入企業は続々と増えています。私たちの想定通り、むしろ想定以上かもしれません。
松浦導入企業の方々からは、最初に「最先端ですね!」といった驚きの声をいただくことが多いです。組織づくりに課題を感じている企業の多くは、昇給・昇格といった限られた手段しかなく、組織を根本から変えるソリューションを見つけられていませんでした。そのため、SMBC Wevoxの活用法をお伝えすると、その革新性に驚かれる企業が多いですね。
また、実際にSMBC Wevoxを導入された企業では、大きな変化があったと伺っています。導入前はトップダウン型の組織運営が主流でしたが、導入後は各営業所から自主的に改善策が提案されるようになったそうです。
その変化を見た他部署からも「うちでも活用してみたい」という声が上がり、会社全体の組織づくりに対する意識が高まっているとのことです。組織が変わる第一歩として、自身や組織の取り組みが評価され、一緒に変わろうとしてくれる姿を見て、とても嬉しく感じました。
今後も、岐阜県の経済発展に少しでも寄与できるよう、時代に応じて岐阜法人営業部も変わり続けられればと思っています。
杉本2024年12月、岐阜県で三井住友銀行法人営業部とSMBC Wevoxの共催による「組織づくりワークショップ」を開催しました。
第1部では、「岐阜法人営業部の組織づくりとSMBC Wevoxの活用法」について、長綿さんと私が講演しました。続く第2部では、松浦さんとSMBC Wevoxを導入した企業の若手担当者さまを迎え、「ボトムアップでチームや組織をどうつくり上げるか」をテーマにトークセッションを行いました。

当日は、岐阜県で長年事業を営む20社・37名の方々にご参加いただき、活発な意見交換が行われました。
今回のワークショップは、私にとって非常に意味のある取り組みであり、実現したかった夢のひとつでもありました。社内の取り組みが他の企業へと広がり、新しい組織づくりのスタンダードが確立されていくことを実感し、とても嬉しく思います。
今後の展望を教えてください。
長綿私は、岐阜県の経済発展に貢献したいと強く思っています。この土地に住み、この土地で働く方々に、さらに豊かになってほしいと思っています。岐阜県には製造業を中心とした優良企業が多数存在しますが、全国的な知名度や活躍という面では、まだまだ伸びしろがあります。金融面でのサポートは言うまでもないですが、お客さまがよりよい組織づくりを行い、全国・あるいは全世界で活躍の幅を広げていけるようにサポートが出来れば、より質の高い営業活動が展開できると思います。
当面は、SMBC Wevoxのユーザーを増やしつつ、導入企業がより魅力ある企業に生まれ変わるような事例を複数創出することに力を入れていきたいと思います。我々の取引先の大半は、岐阜県を代表する企業です。そのような企業がSMBC Wevoxを活用して進化を遂げることで、当地の経済発展に貢献したいですね。
ちょっと大胆かもしれませんが、県内に魅力的な企業が増えれば、人材流出に歯止めがかかり、もしかしたら都市部からも『岐阜で働きたい』と思う人が増えるかもしれません。私たちが、岐阜経済の起爆剤になれたら理想的ですね。
杉本私としては、岐阜法人営業部のような事例を爆発的に増やしていければと考えています。
銀行はこれまで、事業面での支援は提供できていたものの、組織面での支援にはほとんど着手できていませんでした。SMBC Wevoxが存在することで、組織づくりの共通指標が生まれ、多くの企業でよりよい組織をつくっていく「再現性」が飛躍的に高まりました。
さらにSMBCグループ全体の組織づくりにおいても、お客さまの組織づくり支援を通じて、自組織の変革がさらに進む、という好循環が生まれています。岐阜法人営業部の事例はその好循環のコアの一つとなり、また新たな素敵なチームを生み出していきます。
これからも、SMBCグループがお客さまの事業と組織の両輪を支援する世界唯一の業種にすべく、多くの仲間と共に突き進んでいきます。
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SMBC Wevox 株式会社 代表取締役社長
杉本 秀和氏
神戸大学を卒業後、2010年に三井住友銀行へ入行。中堅企業への法人営業、小売流通業界の業界担当、本店営業部での大手企業向け営業を経て、2021年からファーストリテイリング社長室へ出向。2023年2月に同行デジタル戦略部に帰任し、SMBC Wevoxプロジェクトを立ち上げ、設立までリード。同年10月SMBC Wevox株式会社代表取締役社長に就任。
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株式会社 三井住友銀行岐阜法人 営業部長
長綿 洋介氏
2004年に三井住友銀行に入行。法人営業中心のキャリアを歩み、2023年から現職。
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株式会社 三井住友銀行岐阜法人 営業部
松浦 朗憲氏
2022年に三井住友銀行に入行し、中堅・中小企業向けの法人営業に従事。