属人化からの脱却。ニッケグループ3社同時勤怠DX、SMBCグループ連携で実現
繊維事業を祖業として、約60社のグループ会社を有する日本毛織株式会社(以下、ニッケ)。グループ企業には製造現場を中心とした中小規模の会社も多く、バックオフィス業務のデジタル化は十分に進んでいない状況が続いていました。
そうした中、株式会社ニッケ起ダイイング・尾州ウール株式会社・大成毛織株式会社の3社が同時にfreee勤怠管理システムを導入。三井住友銀行を起点に、プラリタウンが導入を支援し、インクループが運用定着まで伴走する体制で、勤怠管理と給与計算のDXを一気に推進しました。
各社間での出向も多いニッケグループにおいて、業務標準化と効率化をどのように実現したのか。SMBCグループが連携して支援した背景と、その効果を関係者に伺いました。
属人化と紙運用。5年前までタイムカードもなかった勤怠管理
業務効率化の着手に至ったきっかけと、今回のfreee勤怠管理システム(以下、freee)導入以前の状況について教えてください。
ニッケグループ(以下、ニッケG) 池田尾州ウールは撚糸、ニッケ起ダイイングは染色、大成毛織はユニフォームに特化した織物生産を手がけています。
写真右:スクールユニフォームや官公庁制服に仕立てられる、染色した糸を用いて大成毛織で製織した生地柄。
勤怠管理は紙ベースが中心で、5年ほど前まではタイムカードすらなく、出退勤は各自の申告制でした。製造部門のリーダーなどが集計を手伝い、経理担当者が取りまとめていましたが、時間外労働や深夜手当の計算漏れといった単純ミスが、年に数回発生していました。
締め日から支払いまで5~10日しかなく、勤務形態も、早朝・深夜・パートなど多様です。担当者がほぼ1人で対応していたため、プレッシャーや負担も大きかったと思います。
株式会社ニッケ起ダイイング 代表取締役社長
尾州ウール株式会社 代表取締役社長
池田 大作氏
ニッケG 安島加えて、ニッケグループ内では出向は珍しくなく、勤務会社と所属会社が異なるケースもあります。私も以前は大成毛織の代表でしたが、現在はニッケの大阪オフィスに勤務しています。
ニッケG 梶谷ニッケで間接部門を担当する立場から見ると、グループ企業の中には長年ベテランに依存した属人的な業務も多く、引き継ぎする際に大きな不安がありました。勤務時間や勤務体系が各社で異なる中、標準化と効率化ができないかと考えていました。
SMBC 福原勤怠管理にfreee導入を検討いただき始めた当時は、前任の香西という者がニッケグループ様を担当していました。その際、グループ横断で意見を取りまとめられる木下様の存在が大きなポイントだったと聞いています。私たちとしても、単なるサービス紹介にとどまらず、グループ全体で最適な支援体制を構築できないかと考えていました。
福原 夢氏
ニッケG 木下私はニッケ衣料繊維事業本部に所属しながら、銀行取引のあるニッケテキスタイルの管理業務も担当しています。事業本部では銀行取引もありませんでしたが、両方に関わる立場として、ニッケテキスタイルでの三井住友銀行との関係を事業本部にも展開しました。それをきっかけに、電子契約など、プラリタウン経由で導入したDXサービスがいくつかあります。
労務勤怠のDXにあたるサービス選定においては、アウトソーシングサービスが使えることが前提条件でした。人事担当の専任担当がいなかったためです。
衣料繊維事業本部 管理部 管理課(株式会社ニッケテキスタイル管理代行)
木下 孝夫氏
ニッケG 梶谷先行してニッケテキスタイルで導入していたことが成功体験となり「これなら他社にも広げられる」と、3社同時導入をすることとなりました。検討時にプロトタイプやデモを確認しましたが、直感的に操作できるUIも決め手の一つでした。
ニッケG 木下プラリタウンを経由してfreeeのサービスを導入した経験を踏まえ、3社の勤怠・経理計算のDX推進も、同様の体制で進めることになりました。
梶谷 有輝氏
SMBCグループ連携で実現した、3社同時導入
今回は、プラリタウンとインクループが連携する形で導入が進んだと伺っています。SMBCグループとして、どのような支援体制が構築されていたのでしょうか。
インクループ 村松プラリタウンはグループ全体のデジタルソリューション紹介を担っており、プラリタウンとfreeeの合弁会社であるインクループは、freeeの導入設計から定着までを伴走支援しています。SaaSの選定から実装・運用までを一体で支援できる体制が今回の特徴です。
導入に際し、反対意見などはなかったのでしょうか。
ニッケG 池田3社同時に導入を進めて大丈夫か?という不安は正直ありましたし、やり方が変わることへの抵抗感があったのは確かです。現場からネガティブな意見もありましたが、3社同時に実施したことで、「他社もやっているから」という共通意識が生まれ、結果的に良かったと思います。
ニッケG 安島グループ企業とは言え、各社で勤務時間や勤務体系が異なるため、別サービスも検討しましたが、グループ内での異動も多いですし、将来的なことを考えると実績があるfreeeが最適ではないかという結論になりました。
安島 正浩氏
導入時のカスタマイズやサポートはどのように進められましたか?
インクループ 村松まず、各社の勤務パターンなどをヒアリングさせていただき現状を整理し、その後freeeを用いた運用案をお客さまの実情に合わせながら設計しました。各社さまざまな方からご意見をいただく中で「効率化に向けて、変革にトライし続けよう」という強いご意思を感じたのがとても印象に残っています。
また各社の皆さまと密にコミュニケーションを取らせていただいたことで、重複する課題などを早期に把握し、共有・改善することが出来ました。通常は導入から運用まで半年ほどかかるのですが、本件は設定が1カ月半で完了し、2カ月目からテスト運用に入ることが出来ました。
村松 優輝氏
標準化で実現した、属人化からの脱却と次のDX
freee導入後の変化はいかがですか?
ニッケG 池田導入後はとくにトラブルも起きず、社員全員が打刻もスムーズに行えています。初期こそ集計データが本当に合っているのか突き合わせ、確認をすることもありましたが、何回か繰り返すうちに不要とわかり、今は一切していません。
毎月、勤怠の集計と計算の2工程が発生していましたが、その手間が1つ減り、給与計算までのリードタイムが短縮しました。また、各職場の担当者やリーダーが月に半日程度かけていた勤怠集計作業がなくなったことで、本来の業務に集中できるようにもなりました。
ニッケG 安島管理者の立場から言うと、誰の残業が多いかなどが可視化されたのもメリットです。36協定に引っかかる人を見つけやすくなりましたし、有給取得状況もすぐにチェックできるようになり、人事面でも非常に有効でした。
ニッケG 木下以前は勤怠システムと給与計算システムが別々で、データを手動で移していました。出向者と受入出向者がそれぞれいて勤怠管理が複雑でしたが、freeeで勤怠管理と給与計算を連携することができ、専任者がいなくても回せる業務体制ができました。入退社、育休産休、年間労働時間、社保関係など、役所への提出書類は数多いのですが、それをリマインドアラートや提出支援まで行ってくれます。法令関係は変更が多いので、現場の人間だけでは追いきれない事柄も生じますが、人為的な漏れを防げるのは助かります。
インクループ 村松社保関連は自動計算してくれるので、担当者の方のご負担はかなり削減出来たと思います。入退社の手続きにおいても、提出書類漏れのアラート機能があるので安心です。
ニッケG 梶谷実は今、勤怠管理のメイン業務は2025年入社の新卒が担当しています。freeeは業務フローが組み込まれていて、ステップごとに担当者もわかるので、新入社員でも「次に何をするか」「どこで滞留しているか」といった、進行度が把握できます。目線を上げることを意識させながら教育することを心がけましたが、新卒だからという抵抗感はありませんでした。小難しいことを考えず、直感的にアイコンなどを触っているのは若い人ならではだと感じたほどです。
次は目標管理やサーベイなど、今までできていなかった人事領域のDXに着手できればと考えています。
SMBC 福原次は人事労務のDXということで、我々もご提案を準備しているところです。
ニッケG 安島人口減少社会の中で、人が採用できない問題も出てくるはずで、DXは必要不可欠な課題と捉えています。
インクループ 村松システム化が「仕事を奪うのではないか」と受け止められることはありますが、本来時間をかけなくて良い業務をどんどん自動化、効率化していくことで、より生き生きと仕事をしていただけるようになる、それがシステム化の本当の目的だと考えています。
ニッケG 池田一方で、本業にまつわる業務でも、色相管理や品質管理など、アナログな部分は多くあり、DXしたいと考えています。ただ、デジタル化で効率が良くなる一方で、職人技で出す色が受けたりもします。デジタルとアナログが共存できる状態を目指していきたいですね。
PROFILE※所属および肩書きは取材当時のものです。
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大成毛織株式会社 代表取締役社長
株式会社ニッケ起ダイイング 代表取締役社長
尾州ウール株式会社 代表取締役社長池田 大作氏
1997年日本毛織株式会社に入社。一宮工場(愛知県一宮市)、印南工場(兵庫県加古川市)、中国のグループ会社であらゆる染色部門の生産、管理、試験研究に携わり、2015年以降、一宮事業所でニッケ起ダイイング(糸染)の生産、品質管理業務を皮切りに、2025年12月に現職へ異動し、撚糸、糸染、織布のニッケグループ子会社の代表取締役と一宮事業所の所長を兼務し、各社の経営に携わっている。
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日本毛織株式会社 衣料繊維事業本部 製造統括部 主席
安島 正浩氏
1995年日本毛織に入社し印南工場で織布部門に従事。
2000年情報システム部門に異動し主に衣料繊維関係のシステム保守・開発に従事。
2014年から衣料繊維の製造部門を歴任し2024年大成毛織社長に就任。
2025年12月より現職。 -
日本毛織株式会社 衣料繊維事業本部 管理部 管理課
梶谷 有輝氏
2016年に日本毛織入社。印南工場にて原価計算・収支管理を3年間担当し、製造現場における原価構造の把握や収益改善に従事。その後、衣料繊維事業本部管理課へ異動し、事業部全体の業績管理、グループ各社への経営支援、DX推進を担当。あわせて、ニッケテキスタイルの人事労務業務にも携わり、管理会計と人事の両面から事業運営を支援している。
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日本毛織株式会社
衣料繊維事業本部 管理部 管理課(株式会社ニッケテキスタイル管理代行)木下 孝夫氏
1996年、ナカヒロに入社し、経理業務および審査業務に従事。
2013年には、ニッケテキスタイルの前身である南海毛糸紡績へ出向し、管理業務全般を担当。合併2回、社名変更3回の組織改編を経験する。
2020年、日本毛織・衣料繊維事業本部管理部へ出向。現在もニッケテキスタイルの管理業務を継続して担当するとともに、業務のDX化にも取り組んでいる。 -
株式会社インクループ アシスタントマネージャー
村松 優輝氏
2019年三井住友銀行入行。
法人営業を経験後、2023年よりプラリタウンを兼任。
同社にてSaaS導入支援コンサルティング立ち上げを担当、2024年にインクループ創業メンバーとして参画。 -
株式会社三井住友銀行 備後町法人営業部 部長代理
福原 夢氏
2017年三井住友銀行入行。個人・法人営業を経て2025年4月より現職。
年商数百億円~1,000億円超規模の中堅・大企業を担当し、SMBCグループの総合力を生かしたソリューション提案を通じて、顧客の企業価値向上を支援している。
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