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「SMBC Wevox」で組織力向上。日本から世界へ新たな価値を。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.2

2023年10月、SMBCグループとアトラエは、企業の組織力や企業価値向上を支援する合弁会社を設立。両社の熱量とリソースを掛け合わせ、組織力向上のデジタルソリューション「SMBC Wevox」の提供を開始しました。

SMBCグループ×アトラエによる合弁会社の全貌を明らかにしていく本連載。vol.2では主に、新会社が提供するサービス内容とその価値、そして将来の構想について紐解きます。「SMBC Wevox」とは何か。SMBCグループ×アトラエで生まれるシナジーとは。合弁会社設立の発起人で新会社の代表取締役社長を務める杉本秀和氏(SMBCグループ出身)と同じく新会社の取締役副社長を務める川本周氏(アトラエ出身)にお話を伺いました。

連載:SMBCグループ×アトラエ

  1. 企業の組織力、企業価値向上を支援。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.1
  2. 「SMBC Wevox」で組織力向上。日本から世界へ新たな価値を。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.2
  3. 新会社立ち上げを支えた「ラストマン」たち。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.3

「SMBC Wevox」で、組織力をリアルタイムに把握

新会社で展開するサービスについて教えてください。

杉本まずは、アトラエ社が提供する「Wevox」の機能をベースに組織力向上のデジタルソリューション「SMBC Wevox」を開発し、SMBCグループのネットワークでお客さまへ提供していきます。さらには、集まったビッグデータをもとに独自のアップデートを進めていきます。

川本「SMBC Wevox」は目に見えない従業員の心理状態や特性、組織のカルチャー等の組織力をタイムリーに可視化し、よりよい意思決定や行動のきっかけを組織の中に生み出します。最小限の負担に留まる定期的なサーベイ機能を通じて、部署・年次・職種など組織の様々なユニットや属性ごとの状態を機動的かつ弾力的に確認することが可能です。サービス内に多数搭載の改善ノウハウや事例並びに、AIの伴走サポートを通じて、現場主体の自律的な組織の改善を促します。2023年8月時点で、2,940の組織の皆さまにご利用をいただいている「Wevox」のプロダクトの強みやノウハウをすべて兼ね備えたのが「SMBC Wevox」になります。

「SMBC Wevox」サービス画面イメージ

SMBC Wevoxの特徴は、導入組織の経営・人事・現場のすべての皆さまが自ら組織づくりの当事者となり、データをもとにした組織活動に取り組めるところです。通常、組織サーベイに取り組む場合はお金だけでなく、時間も労力もかかります。集計に何ヶ月もかかり、そこからさらに打ち手を考えるという企業も多いです。また、経営・人事の皆さまのみが主導することで、現場でのやらされ感が生じたり、軋轢が生じるケースも少なくありません。SMBC Wevoxであれば、1回あたり2〜3分の簡単なアンケートに回答することで、自動的にさまざまな切り口による組織力の集計・分析が完了します。直感的な画面UIで、リアルタイムに自組織の状態を把握できるので、今まさに起こっている問題に対してスピーディーに手を打つことができます。先行してアトラエ社が提供している「Wevox」の導入企業からは「組織状態把握にかかる面倒くささがなくなった」「現場のマネジメントが円滑にできるようになった」「適切な個人フォローを打てることでメンタルヘルスに支障をきたす者や離職者が減った」という声が多いです。

組織力の向上で、日本の新たな価値を創る

なぜ今、「組織力向上」なのでしょうか?

杉本日本をよりよい国にするには、組織力を高めるのが最も有効だと思うからです。

これまでの日本企業は「オペレーション・エクセレンス」※1の考え方が重視されていました。誰がやっても高いパフォーマンスが出せる仕組みづくりが重要で、その仕組みが正しく行われているかを管理することで業績を上げることができたのです。連続的な経済成長が起こっている間は効果的な戦略であり、日本企業が世界に勝つ競争力の源泉にもなる考え方でした。

(※1)企業がその価値創造のための事業活動の効果・効率を高めることで、競争上の優位性にまでなっている状況のこと。



しかし、経済成長が停滞し、新たな価値創造が求められる時代ではそれだけでは不十分です。既存のオペレーションを完璧に実行するのみならず、新しいアイデアを生み出したり、答えのない問いに挑戦したりする「ヒト」や「組織」がいなければ、世界相手に戦えなくなっているのです。そこで、社員一人ひとりが主体性を発揮し、かつ同じゴールを目指す共同体として力を合わせるような組織づくりが重要になります。

我々が思う、これからの日本の戦略は、主体的に挑戦している「ヒト」や「組織」が生み出した新しいプロダクトやサービスを、最適なオペレーションで生産・運用をし、たくさんの人に届けることです。新会社SMBC Wevox自体がまさにこの戦略を自ら実行しています。そして、日本の各社の従業員の方々が働きがいを持って働き、新たな事業が生まれ、企業価値に繋がっていくことで、日本全体が精神的・経済的に豊かになり、「失われた30年」※2を取り戻すことにつながると思っています。
これまで日本を世界有数の経済大国に押し上げてくださった先人たちの想いを引き継ぎ、日本を「モノづくり大国」だけでなく、「組織づくり大国」にしていきます。

(※2)バブル崩壊後の1990年代初頭から現在までの間、経済の低迷や景気の横ばいが続く日本の状況を指す。

新会社の事業領域について、今の日本での立ち位置を教えてください。

川本我々が取り組もうとしているサービスをどの領域と捉えるか次第ですが、追い風であることは間違いないと思います。

2020年から数年に亘る新型コロナウイルス感染症の流行でリモートワークが広まり「人と人との繋がりは強いようで弱い、チームの状態は見えているようで見えていないもの。タイムリーなアプローチが必要な領域だったのだ」と多くの組織が気づいたと感じています。組織や職場の状態をタイムリーに可視化してマネジメントする重要性や、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高める重要性についての認知が圧倒的に高まったのではないでしょうか。

しかし、依然として機動的な組織づくりの優先度が低い企業が多い現実もございます。また、組織の問題については経営者や人事が考えるべきことだ、という風潮も根強くあると感じています。よりよい組織を創る取り組みは、その組織で働く一人ひとりのためのものです。社員全員が、「どうすれば自分は今の会社でよりよい時間を過ごせるのか」「最高のリターンが得られる組織への投資とは何だろうか」と考えるという姿勢が生まれないことが一番の課題だと感じています。

人的資本開示が義務化されたことも追い風ですが、年に1回だけ全社アンケートを実施して終わり、というカタチだけで中身のない取り組みが増えたという、別の問題も起こっているように思います。

SMBCグループは業種も規模も多様な組織と接点があります。新サービスはどのようなお客さまがターゲットなのでしょうか?

杉本実は、とくに特化する領域はなく、あえてターゲットを言語化するなら、「自身の組織をよりよくしたいと思っているすべてのお客さま」になります。経営、人事の方のみならず、今この瞬間に自身の組織やチームをよりよくしたいと思っているすべての方々に届けていきたいです。我々が掲げる「日本を世界に誇れる国にする」というビジョンの実現に向け、規模も事業領域も一切関係なく、我々の取り組みに共感をしてくださるすべて組織の皆さまのご支援ができればと思っています。

事業と組織の好循環を生み出し、日本を世界で誇れる国にする

今後の展望について教えてください。

川本これまでの組織管理ツールは、人を資源と考え、いかに最効率で利用するかという考え方でつくられていました。対して、我々の提供するツールやサービスは、いかにして人の可能性を最大化するか、という考え方で設計されています。まだまだ世の中に成功事例の少ない分野ではありますが、サービスの提供を通して、人の可能性を最大化するいろいろなモデルを世の中に示していきたいです。

杉本SMBCグループとしては、これまで続けてきた事業面へのサポートと、これから始めるよりよい組織を作るサポートとを両軸で進めていきます。事業を良くしつつ携わる人たちの働きがいも高め、その結果、企業価値が高まるという循環を、日本で生み出していきたいです。

最終的には、日本経済の発展に貢献し、ビジョンである「日本を世界で誇れる国にする」を実現していきます。

Vol.1でも紹介した2022年の『グローバル就業環境調査』では、日本で「仕事への熱意や職場への愛着(エンゲージメント)を示す社員」の割合はわずか5%で、これは調査対象国の中で最下位の数字であるとお伝えしました。しかし逆に言えば、たった5%でも今の時価総額を生み出しているとも言えます。これが20%になって、従業員のパフォーマンスが上がれば、さらに時価総額は上がり、日本経済は発展するはずです。日本中の組織力を高め、日本人の感性を開放し「失われた30年」を反転させるのが、我々の目標です。

連載:SMBCグループ×アトラエ

  1. 企業の組織力、企業価値向上を支援。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.1
  2. 「SMBC Wevox」で組織力向上。日本から世界へ新たな価値を。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.2
  3. 新会社立ち上げを支えた「ラストマン」たち。SMBCグループ×アトラエ 新会社誕生秘話 vol.3
PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • SMBC Wevox株式会社 代表取締役社長

    杉本 秀和氏

    神戸大学を卒業後、2010年に三井住友銀行へ入行。中堅企業への法人営業、小売流通業界の業界担当、本店営業部での大手企業向け営業を経て、2021年からファーストリテイリング社長室へ出向。2023年2月に同行デジタル戦略部に帰任し、SMBC Wevoxプロジェクトを立ち上げ、設立までリード。同年10月SMBC Wevox株式会社代表取締役社長に就任。
    また、2019年に社内の若手・中堅有志団体「SMBB~Beyond Banker~」を立ち上げ、経営陣とのオフサイトミーティングや社内SNS導入などを企画推進。これまで企画した有志イベントには、社内外の計1000人以上のビジネスパーソンが参加。

  • SMBC Wevox株式会社 取締役副社長

    川本 周氏

    大阪大学を卒業後、当時未上場の株式会社アトラエに新卒入社。IT業界に強い求人メディア「Green」のコンサルティング営業を担当後、組織力向上プラットフォーム「Wevox」へ異動。年間1,000名を超える経営者や人事担当者とお会いしながら、日系大手企業様を中心にエンゲージメントを軸にした全社的な組織改善を支援。現在ではWevoxの営業責任者を務める。その他、社内のバリュー刷新や全社コミュニケーション設計などのプロジェクトも担当。
    2023年10月SMBC Wevox株式会社取締役副社長に就任。

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