アバターや生成AI技術で人の価値を最大化したい──想いと努力を大事に挑戦し続ける

2023年9月、アバターやAI技術を活用したビジネスの協業検討に関する基本合意締結を行ったSMBCグループとAVITA。SMBCグループの法人企業向けコールセンター業務での実証実験などを経て、2025年4月からは販路拡大に向けた動きが本格的に始まりました。
そのきっかけを作ったのが、三井住友銀行 丸ノ内法人営業部の荒木 将太氏。プロジェクトリーダーとして協業を推進するのは、デジタル戦略部の棚橋 亨太氏。ふたりがAVITAとのタッグで実現したい社会、そしてSMBCグループでかなえたいこととは。新卒入行時からのキャリアを振り返りながら語ります。
SMBCグループのリソースを使って、AVITAの技術力を社会実装する

AVITAは、アバターや生成AIを活用したサービス開発を行うベンチャー企業。ロボット工学の第一人者と言われる大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授の石黒浩氏らが2021年に創業しました。
同社が展開するサービスのひとつが、アバター接客サービス「AVACOM」。アバターを使うことでオンラインでの接客が可能になり、心理的・体力的な負担も軽減されるため、障がいのある人や子育て中の人なども活躍できます。加えて、初期対応をAIが担うことでひとりが複数拠点を担当でき、人手不足の解消や生産性向上にも寄与します。
この「多様な人材がさまざまなスタイルで活躍できる」ことが、協業のキーコンセプトの一つです。
棚橋SMBCグループは、金融の枠を超えて「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DE&I)」などの社会課題解決に力を入れています。その一環として、大きな社会課題のひとつである人手不足にアプローチできるソリューションを探していました。その構想とAVITAのサービスがマッチしたのです。AVITAの技術力を、SMBCグループの顧客網や営業力を使って共に社会実装していく。これが協業の目指す姿です。
AVITAとSMBCグループとの出会いは、AVITA創業前の2021年5月にさかのぼります。当時、大阪で勤務していた荒木が、石黒氏や西口昇吾氏(AVITA株式会社 取締役副社長/COO)と出会ったことがきっかけでした。
荒木そのご縁もあり、AVACOMのα版リリース当初から、お客さまをご紹介するといった関わりを持ってきました。サービスが完全な状態ではないなかでも、ご紹介したお客さまの反応が大変良く、社会に求められているサービスであると確信しました。
協業に向けて、グループ内の関連部署との交渉を開始した荒木。試行錯誤する中で突破口となったのは、三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄氏への直談判でした。
荒木磯和さんは、SMBCグループのデジタル革新を牽引する存在。本部の力を借りながら石黒先生を引き合わせ、AVITAのオフィスでSMBCグループとのシナジーをアピールし、2023年7月に経営層へ直接プレゼンする機会を得ました。棚橋をはじめ多くの人に協力してもらったおかげで、プレゼンでは即GOサイン。プロジェクトが動き始めました。
現在、棚橋はプロジェクトリーダーとして協業を推進。荒木は、社内副業(※)としてプロジェクトに携わっています。
棚橋2023年9月の協業に関する基本合意締結以降、SMBCグループの法人企業向けコールセンターで一部の業務にAVACOMを導入する実証実験を行うなど準備を進めてきました。この4月からは本格的に販路を拡大する動きを進めています。
※SMBCグループでは、就業時間の一部を副業部署の業務に充当する社内副業を通じて、多様な業務スキル・経験の習得を促進しています。(詳細はこちら)
最後は「どれだけ努力できたか」で決まる。スポーツで学んだプロセスの大切さ

棚橋 亨太氏
棚橋は2012年、荒木は2019年に新卒で三井住友銀行に入行。ふたりとも、就職先として銀行が第一志望だったと言います。
棚橋私は「感謝される仕事がしたい」と思っていました。そのためには、相手にとって重要なソリューションを提供できることが大切。お金は多くの人にとって重要なものですから、銀行ならやりがいも大きいだろうと考えたのです。
荒木私は恥ずかしながら学生時代勉強をほとんどしていなかったので、経済や社会、世界情勢を知ることができる業界に進みたいと考え、銀行を選びました。
銀行を志望していたこと以外にも、共通点のあるふたり。それは、学生時代にスポーツに打ち込んでいたこと。棚橋は漫画に影響を受け、大学1年からボクシングを始めました。
棚橋実際に挑戦してみると、日頃の努力が最後の勝敗を分けることにおもしろさを感じました。もちろん、トップレベルの選手たちは才能という素質も重要です。でも、私のように才能に恵まれなくても、努力することで結果が出る、頑張った分だけ世界が広がっていくことがおもしろかったですね。
荒木は、高校生から始めたアメリカンフットボールを大学でも継続。日本一に輝くほどの強豪校で副キャプテンも務めました。
荒木副キャプテンと言っても、私も才能に恵まれていたわけでも、アメフトが上手だったわけでもありません。その代わり、棚橋と同じように努力は人一倍しました。トレーニングやミーティングといった量を背中で見せることは当たり前、その上で後輩との対話、特に傾聴にこだわりました。そのプロセスを見てもらえたことが、副キャプテンを任されることにつながったのだと思います。
どれだけ努力できるかが大事──それは、仕事にも通じると口をそろえます。
荒木私は営業をやっておりますので、その観点から申し上げると、SMBCはプロダクトセールスがうまい人が評価されるわけではなく、目標に向けてきちんと努力するというプロセスを大事にしている人が評価されており、結果的に成果も残しています。だからこそ、私もプロセスを大事にしていますし、もしも結果が良くなかったとしても「仕方ない」と思えるくらいに努力したいと思っています。
棚橋そうですね。仕事によって異なるものの、必要な能力というのはあると思います。でも、最後はどれだけ想いを持って打ち込めたかが重要です。
何事にも興味を持ち、失敗しても逃げない。誰かのためになる仕事は必ず自分に返ってくる

荒木 将太氏
入行後、荒木は大阪府内の支店・法人営業部で上場企業から地場の中小企業まで幅広く支援。ベンチャー企業にも多く関わっていました。その後、東京に異動してからも営業を軸にキャリアを歩んでいます。
なかでも、努力のプロセスが実を結んだ仕事として、3年目に担当したある教育機関との取引が印象に残っていると話します。
荒木新たな取引を行うため、入札に参加することになりました。グループ内の関連部署も多く、調整のためにメールのやりとりに追われる日々。70ページの提案資料も複数の本部と連携して作成しました。とても大変だったのですが、結果的にすべての取引を任せてもらえることになり、努力が報われました。
お客さまはもちろん、グループ内のメンバーとの連携も多いため、日頃からのコミュニケーションを重視している荒木。大事にしているのは、好奇心を持って会話や企画のタネを見つけること、そして現状を疑うことだと言います。
荒木何事にも興味を持ち、「なぜこうなっているのか」を考えることが雑談力や企画力につながるポイントだと思っています。また、お客さまの環境も日々変化していますから、現状を疑い、これまでと異なる角度から提案することも心がけています。
一方の棚橋は、神奈川県内の支店・法人営業部からキャリアをスタート。当初はなかなか話を聞いてもらえなかったものの、「お客さまのために何ができるか」を考えてコミュニケーションを重ねるうちに信頼してもらえるようになったと振り返ります。
その後、ロンドン支店に勤務し、日系企業向けの営業を5年ほど担当。帰国後は、デジタル戦略部に異動しました。
棚橋「誰かのためになる仕事を一生懸命にやる」という姿勢は、どこにいても変わりません。ロンドンでは言葉の壁もありましたが、大切なのは信頼の積み重ねだと実感しました。誰かのためになる仕事は、必ず自分にも返ってくると信じています。
チャンスの受け皿が広いことが魅力。人を幸せにするサービスを世界へ

失敗を恐れずに挑戦する姿勢を保てる理由は、スポーツで培った力はもちろん、SMBCグループの組織風土も大きく関係していると言います。
荒木失敗しても逃げない人が多いんです。失敗すれば怒られますが、怒って終わりではなく、「同じミスをしないためには」「次はどうすればいいのか」を示してくださる上司や先輩ばかりなので、トライアンドエラーを繰り返せる組織風土があります。
棚橋私もそういう人たちに支えられて徐々に成長できたと思います。「これは棚橋がやらないといけない仕事だよ」と言われて、ハッとしたこともあります。最後まで責任を持って主体的に進めるという姿勢を教えてもらいました。
新卒で入行以来、先輩たちのサポートのもと成長してきたふたり。SMBCグループで働く醍醐味を、こう語ります。
荒木お客さまの課題を解決した先に、社会課題の解決があることです。私たちが社会課題に向き合っているように、お客さまも社会課題解決のためのサービスをしています。つまり、お客さまの成長を後押しすることが、社会のためになる。それが一番のやりがいです。
棚橋そうですね。より多くの人の幸せを作っていける仕事ができることが魅力です。私たちだけではできないことも、SMBCグループのネットワークを使ってパートナー企業と力を合わせることで実現できる。AVITAとの協業もそのひとつです。
また、自身の成長だけではなく、会社の変化も感じていると話します。
棚橋荒木が活用している社内副業をはじめ、従業員の挑戦を後押ししてくれる制度が増えています。また、キャリア採用のメンバーも増えていて、自分と異なる考え方を持っていることに刺激を受けていますし、それが新しい挑戦をするうえでも大切だと感じます。
荒木SMBCグループは人材も事業も多様性があります。チャンスの受け皿が広いからこそ、挑戦できることも多いのだと感じます。
多くの人の幸せのため、そしてDE&Iなどの社会課題解決のため、AVITAとの協業をさらに発展していくことが現在のふたりの目標です。
荒木アバタービジネスの根幹は、人の価値を最大化すること。まずは、SMBCグループがもっともアバタービジネスの進んでいる金融機関になること、そして、このビジネスの価値をグローバルに展開していきたいと考えています。
棚橋この分野の技術は日本の強みです。それを世界に広げていくことが、このプロジェクトの最終ゴールです。アバターや生成AIの技術を使って、人が幸せになるサービスをひとつでも多く作っていきたい。それが、社会が目指す次のステージだと考えています。
PROFILE※所属および肩書きは取材当時のものです。
-
株式会社三井住友銀行/株式会社三井住友フィナンシャルグループ
デジタル戦略部 部長代理棚橋 亨太氏
学生時代はボクシング部に所属。2012年に新卒で株式会社三井住友銀行に入行。神奈川県の支店・法人営業部からキャリアをスタート。その後、ロンドンでの勤務を経てデジタル戦略部に異動。AVITA社との協業プロジェクトではプロジェクトリーダーを務める。
-
株式会社三井住友銀行 丸ノ内法人営業部
荒木 将太氏
学生時代はアメリカンフットボール部に所属し、副将としてチームを牽引。2019年に新卒で株式会社三井住友銀行に入行。大阪府にある支店・法人営業部での勤務を経て、2024年4月に丸ノ内法人営業部へ異動。2025年4月からは社内副業制度を利用し、AVITA社との協業プロジェクトにも参画。
あわせて読みたい
おすすめ記事
その他の記事を読む
-
その他の記事もチェックDX-link(ディークロスリンク)Webサイト
-
最新情報はこちらDX-link(ディークロスリンク)X公式アカウント
アンケートご協力のお願い
この記事を読んだ感想で、
最も当てはまるものを1つお選びください。
アンケートにご協力いただき
ありがとうございました。
引き続き、DX-linkをお楽しみください。