取り組み
2025.07.31更新

抜群の信頼性と全国展開が武器。ゆうちょ銀行×SMBCデジタルマーケティング、異色の金融タッグが拓く広告共創モデル

日本全国に店舗・ATMを有するゆうちょ銀行。その圧倒的に広いネットワークに整備されたのが、ATM上部に設けられたデジタルサイネージ「ゆうちょデジタル掲示板」です。

この新たな広告ビジネスにおける協業は、元々ゆうちょ銀行のATM上部を活用したデジタルサイネージを開発していたゆうちょ銀行と、同じく銀行メディアを活用した広告事業と法人営業力を強みとするSMBCデジタルマーケティングとの取り組みによって誕生しました。同業種がタッグを組んだ新しい広告手法の全国展開や、金融・広告業界の注目を集めた協業における今後の展望について、両社の担当者にお話を伺いました。

全国ネットワークと営業力、互いの強みを活かす共創戦略

同じ金融業を営む2社が、広告ビジネスにおいて協業に至った背景について教えてください。

ゆうちょ 藤井ゆうちょ銀行は郵便貯金をルーツとした銀行業を手がけ、日本の人口に匹敵する約1億2,000万の口座、郵便局を含めた全国約2万4,000の店舗網、約3万1,000台のATMを持つ国内最大級のネットワークを有しています。近年は「ゆうちょデジタル掲示板」や通帳アプリ等を起点に、さまざまな企業と連携しながら、お客様に最適かつ一体的なサービスを提供する、「共創プラットフォーム」の構築を進めています。

その取り組みの中で、都市部に強みを持つ三井住友銀行さまと全国津々浦々に展開しているゆうちょ銀行が組むシナジー効果を期待し、SMBCデジタルマーケティングさまと広告ビジネス領域において提携させていただくことになりました。

株式会社ゆうちょ銀行 本社 営業部門 デジタル戦略部 共創プラットフォーム企画室 室長
藤井 秀樹氏

共創プラットフォームを構築する上で、課題感はお持ちでしたか?

ゆうちょ 藤井ゆうちょ銀行はいわゆる企業融資を行っていないことから、広告主の開拓に課題感を感じておりました。そうした課題を解消可能なSMBCグループの法人営業力は非常に期待していた部分です。

SMBCデジタル 服部おっしゃるように、我々の強みは法人顧客とのリレーションや接点が強い点です。三井住友銀行の法人営業メンバーと経営や事業の課題を共有しながら、広告・マーケティング支援、その他にもマーケティングPDCAやブランディング領域などを支援しております。普段から信頼関係を醸成している担当者と連携して非金融面を支援できることで、他社にはない一気通貫の課題解決が可能です。

株式会社SMBCデジタルマーケティング ソリューション事業部 マーケティングディレクター
服部 嶺氏

金融とマーケティング、両面から顧客に価値を提供されているのですね。

SMBCデジタル 大月はい。現在は、銀行の持つデータを活用したオウンドメディア広告のご案内だけではなく、マーケティングの戦略から実装まで幅広いソリューションを提供する広告代理店へと事業領域を拡大しております。

株式会社SMBCデジタルマーケティング 広告・マーケティング事業部 マーケティングディレクター
大月 祐季氏

SMBCデジタル 服部三井住友銀行はもちろん個人顧客も多く、モバイル総合金融サービス「Olive」だけで500万口座を有します。そのアプリ上にも広告出稿できるため、法人顧客に加え、個人のお客さまとのつながりも提供できるのが強みのひとつです。

全都道府県に配信可能なサイネージは「ゆうちょデジタル掲示板」だけ

デジタルサイネージを活用した広告とは、どのようなサービスなのでしょうか。

ゆうちょ 寺井ATM上部に設置されたサイネージ広告で、地域のイベントに合わせて広告を切り替えて掲載できることから「ゆうちょデジタル掲示板」と呼んでいます。全国で展開可能な唯一のサイネージ媒体として、ゆうちょ銀行の直営店約900台、店外ATM約1,400台に加え、今年度からは郵便局内にも約2,400台を設置する計画です。これにより、全国で計5,000台近くのサイネージを有することになります。ATMの順番をお待ちいただいているお客さまに対し、繰り返しメッセージを発信することで不特定多数の方へアプローチできること、また、チラシや看板にはない動きのある広告掲載が可能で、ターゲット地域に合わせた配信にも対応できるのが特長です。

株式会社ゆうちょ銀行 本社 営業部門 デジタル戦略部 共創プラットフォーム企画室 主任
寺井 里緒氏

ゆうちょデジタル掲示板に対する、広告主さまからの反応はいかがですか?

ゆうちょ 藤井地域を絞った配信ができると喜ばれています。配信後、ターゲット地域からのお問い合わせが増えたというお声もいただいております。

ゆうちょ 寺井具体的な広告例として、観光地のブランドムービーや、自治体によるマイナンバーの手続き周知といった地域密着型の広告は特徴的かもしれません。ユニークなところでは、自衛隊の地方協力本部による採用活動の広告等もご出稿いただきました。

SMBCデジタル 大月サイネージは常に放映されている媒体なので、デジタルメディアながら視聴ターゲットを絞らず、幅広い層に興味関心を促進できます。特に、ゆうちょデジタル掲示板は地方エリアを含む全国のATMで展開されているため、生活動線上での自然な情報リーチに効果的です。全国的にリーチしたい企業さま他、地方エリアでのご出稿ニーズ等、これまでSMBCグループが保有するメディアではニーズが合致しなかった広告主さまにも喜んでいただいております。

SMBCデジタル 服部「特定の地域に出稿したい」というエリア特化型、「全国的に展開させたい」というマス型、両面に対応できるのがゆうちょデジタル掲示板の特長ですね。さまざまなニーズにお応えでき、利用するほどに価値が広がっていくメディアだと感じています。

サイネージ×両行が持つアプリ出稿による相乗効果も

ゆうちょ 藤井ゆうちょ銀行が提供している「ゆうちょ通帳アプリ」は、ユーザー数が昨年度に1,300万人を超えました。そのアプリ内でも広告展開できるので、三井住友銀行さまのアプリ広告×ゆうちょデジタル掲示板×ゆうちょ通帳アプリ広告の3種を掛け合わせることによる相乗効果を非常に期待しています。

SMBCデジタル 服部サイネージ×アプリだけでなく、三井住友銀行には紙のDM(ダイレクトメール)による広告展開もありますから、広告主さまにおすすめできる手法の幅が広がるという優位性は大きいです。今はデジタル広告の種類が多すぎるがために、かえって効果に疑問を持たれる企業も少なくありませんが、我々のメディアは「銀行ネットワークだからこその信頼感」という強みがあります。サイネージ設置場所がATMということもあり、お金に対する不安感をお持ちのお客さまにも親和性が高いと考えています。

SMBCデジタル 大月実際、ゆうちょデジタル掲示板を活用したセキュリティ系サービスの出稿事例もあります。「信頼感」が大切になる商材においては、銀行メディアの持つ信用性・信頼性を有効活用いただけるのではないかと思っています。

ゆうちょ 藤井両行が持つ媒体特性を活かし効果検証を行いながら、より幅広いお客さまにアプローチできるよう、引き続き協業を進めていきたいです。

信頼を軸に、企業の成長と地域を支える広告基盤へ

今後の展開や可能性について教えてください。

ゆうちょ 藤井まずはサイネージの設置台数を増やすことに注力する予定です。また、ゆうちょ通帳アプリでの広告配信に関しては、SMBCデジタルマーケティングさまの知見もお借りしながらもっとも効果的な配信頻度や手法等、検証を続けていきたいです。

SMBCデジタル 服部例えば、お子さまの入学・進学などで春先の口座開設が増えるのはゆうちょネットワークの特徴です。その時期のお客さまの行動特性に応じたアプリ広告施策等、セグメントと商材、サービスを分けるのは大事な文脈だと思います。

SMBCデジタル 大月三井住友銀行の広告事業がスタートして4年が経とうとしていますが、まだ我々のことをご存じない企業さまも多くいらっしゃいます。まずは日々の営業活動で弊社の存在を知っていただきつつ、事例を創出することで、「銀行メディア」の価値を最大化する勝ちパターンをゆうちょ銀行さま、そして広告主さまとともに探っていきたいです。

SMBCデジタル 服部マーケティング支援の幅を拡げていくことにも、積極的に取り組んでいます。個人的には、SMBCグループだけではなく、ゆうちょ銀行さまをはじめ業界全体が連携したネットワークを活かした広義な支援ができればと思います。突き詰めれば、銀行ネットワークとしての接点を広げることで、生活者の価値を高めるサービスも提供できるはずだと考えています。ユーザーの同意を得て法的課題をクリアするという前提はありますが、AIカメラでユーザー属性に合わせた広告が流れる取り組みもできるかもしれませんし、利用者データをどう使うかといったデータ活用の幅は重要なポイントになると思います。

ゆうちょ 寺井地域創生、地域貢献に資する広告に取り組みたいという思いも強いです。Bリーグ(バスケットボールリーグ)のチームが出稿してくださるケースや、地元チームを応援したい企業さまがチームに関連する広告を出稿してくださるケースもすでにありますが、同様に“地域のためにがんばっている企業”に寄り添える広告媒体となり、地方を盛り上げていければと思います。

SMBCデジタル 大月SMBCグループでは「ソリューションプロバイダー」という言葉を掲げていますが、金融からマーケティング支援まで、企業課題を一気通貫で解決できるのがSMBCグループの強みです。初期投資等ファイナンスのご相談の延長線上で、マーケティングやDXについてもサポートできるという具合に、規模を問わずあらゆる企業さまの成長に貢献していきたいです。

※記事内「SMBCデジタル」は「SMBCデジタルマーケティング」の略称


PROFILE※所属および肩書きは取材当時のものです。

  • 株式会社ゆうちょ銀行 本社 営業部門 デジタル戦略部 共創プラットフォーム企画室 室長

    藤井 秀樹氏

    前職を経て2007年8月に日本郵政公社入社、2007年10月の郵政民営化のタイミングで、ゆうちょ銀行へ。送金・決済サービス領域の新商品、新サービスの立上げ等に従事。2024年4月から現職。

  • 株式会社ゆうちょ銀行 本社 営業部門 デジタル戦略部 共創プラットフォーム企画室 主任

    寺井 里緒氏

    2017年ゆうちょ銀行入行。個人・法人営業を経て、JPデジタル出向中は日本郵政グループのDX人材育成の研修企画等に従事。出向復帰後、2024年より「ゆうちょデジタル掲示板」の広告事業企画に取り組む。

  • 株式会社SMBCデジタルマーケティング ソリューション事業部 マーケティングディレクター

    服部 嶺氏

    2009年より戦略プランナー/マーケティングプランナーとして従事。2024年からSMBCデジタルマーケティングにて、新規メディア開発・企業ブランディング支援・OMO支援などのマーケティングコンサルティングを担う。

  • 株式会社SMBCデジタルマーケティング 広告・マーケティング事業部 マーケティングディレクター

    大月 祐季氏

    2020年三井住友銀行入行。富裕層向け個人営業を経て、2023年よりデジタル戦略部付で株式会社SMBCデジタルマーケティングに着任。現職では法人取引先に対するマーケティング支援や、銀行接点を活用した広告事業企画に従事。

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SMBCデジタルマーケティング

類義語:

SMBCグループが提供するデジタルサービス。金融グループだからこそできる新たな広告・マーケティングソリューションの提供により、個人と法人のお客さまに新しい価値を提供します。

プラットフォーム
(Platform)

類義語:

サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる標準環境」を指す。

AI
(artificial intelligence)

類義語:

  • 人工知能

コンピュータが人間の思考・判断を模倣するための技術と知識体系。

DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。

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