

「SMBCグループ サステナビリティ宣言」の内容および社内への浸透について (2019年9月5日)
2019年度ダイアログ①
「SMBCグループ サステナビリティ宣言」の内容および社内への浸透について (2019年9月5日)

世界は様々な社会課題に直面し、特に世界規模での環境問題が深刻化しています。これまで以上に社会の健全な発展に貢献していくSMBCグループの姿勢を明確化するために、持続可能な社会の実現を目指すうえでの基本姿勢となる「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を策定しました。
当社グループは、本宣言の策定にかかるステップとして、まずは、その内容が「社会から求められる内容となっているか」、「策定後どのように社内浸透を図るべきか」について、有識者の皆さまからご意見をいただくため2019年9月、ダイアログを実施しました。
※出席者の社名、肩書き等は開催当時のものです。
ダイアログにご参加いただいた有識者
一般社団法人 NELIS
代表理事
大学院大学至善館特任教授
ピーター D.ピーダーセン氏
花王株式会社
ESG部門
ESG戦略部長
畑中 晴雄氏
SMBCグループ参加会社
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)
他SMBCグループ各社
- ファシリテーター:
- 株式会社日本総合研究所(日本総研)
創発戦略センター 理事 足達 英一郎
SMBCグループでは、持続可能な社会の実現に向けて、社会や地球環境に関する長期的な目標の必要性を感じている。持続可能な社会の実現に向けた基本姿勢となる「SMBCグループ サステナビリティ宣言」の内容、社内への浸透についてのアドバイスをお願いしたい。
- SMFG 末廣
-
これまで、当社グループはマテリアリティの策定などでダイアログを開催し、有識者のご意見を頂戴してきた。2018年にも、ESG/SDGsをどのように捉えるかというテーマでダイアログを実施している。
(ステーク・ホルダーダイアログ)
- 中期的な事業に関する目標では中期経営計画があるものの、社会や地球環境を見据えた長期的な目標は存在していない状況。来年度は次期中期経営計画のタイミングでもあることから、持続可能な社会の実現を目指すうえでの基本姿勢となる「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を策定しようと検討を進めている。
- 策定にあたって、その内容や社内への浸透についてのアドバイスをお願いしたい。
- 日本総研 足達
- 当社グループでは、数ヵ月に一度、グループ各社のサステナビリティの企画担当者を集めて協議会を開催し、関連トピックスを協議している。サステナビリティの企画担当者にとってはこのテーマは自分事であるが、その他大勢の従業員にとっては非常に遠いものという認識は少なくない。グループ各社の担当者は、その距離感をどう近づけるか、いかに自分事にしてもらうかの悩みを抱えている。この点も踏まえてアドバイスをお願いしたい。
Q. 有識者のお二人に、「SMBCグループ サステナビリティ宣言」について率直な意見を伺いたい。
- 畑中氏
- 「SMBCグループ サステナビリティ宣言」の背景として述べられている住友や三井の奥深い歴史に、率直に驚きを感じた。
- そのうえで、様々な課題を認識しつつ「3つのマテリアリティ(環境・コミュニティ・次世代)」という構成になっている点は、十分に読み取ることができる。作成するうえで、SMBCグループの「らしさ」は何かということは悩まれたのではないかと思う。「らしさ」という部分は最初から総意を得ることは難しいが、議論を進めるうえで、総意が生まれてくるのではないかと思う。
- 当社の例をいうと、例えば、「環境宣言」は、環境というある意味テーマがクリアなものであったが、「サステナビリティ」に変更後、わかりにくくなった感じがあった。
- まさに400年の歴史に代表される背景はあるので、そこから続く「これからどういう社会を目指すのか」を定めたうえで、宣言があり、具体的なアクションが求められてくるのではないか。
- サステナビリティに関する行動指針は、多くの取組がある印象を受けた。宣言文のなかに含めるのではなく、行動指針は外出しすることも一手。
- ピーダーセン氏
- 背景もあり、よく踏み込んでいる。環境を重視する姿勢が感じられ、力強い印象。ただし、これだけでは具体的な行動計画がないため、物足りない内容になるのではないかと思う。
- もう一歩コマを進めて、この宣言とともに、組織面も含めサステナビリティのフレームワークをどのように変えていくのかということをセットで出してほしい。
- キーワードは「サステナブルファイナンス」だと私は思っている。
- 具体的なアクションの事例でいうと、海外企業は、自分たちの取組をしっかりと挙げている。SMBCグループのIR資料をみると、サステナビリティの該当部分には、目先の社会課題が並んでいるようにしか見えなかった。ぜひ、これからは本腰を入れて、情報を仕入れ、打ち出しの部分についての記載を充実させてほしい。これからは国内だけでなく、世界を見なければいけないと思う。
Q. サステナビリティ宣言について、社内へ浸透する際のアドバイスをお願いしたい。
- 畑中氏
- SMBCグループは金融グループといっても、グループ会社で業態や環境が異なると思う。その業態に応じて浸透を図っていく必要があると思う。
- 合併している会社で、お互いの歴史が異なる場合、企業文化が異なることは多々ある。一方、サステナビリティ、ESGの考え方を共有することはより高い次元において自社の社会における位置付けを考えることにつながると思う。そういう観点では共通に考えることができるよい題材と感じる。
- ピーダーセン氏
- サステナビリティの世界は情報や人脈が大切。サステナビリティの人材育成については腰を据えて育成をしていくことが大事である一方、金融機関の人事ローテーションの期間では難しい面もあるのではないかと思う。
- 社内への落とし込みは、国内外どちらも徹底的にやる必要があり、参考事例として、研修やワークショップなど何度も取組んでいる企業もある。
Q. 一言メッセージをお願いしたい。
- ピーダーセン氏
- サステナビリティ宣言の内容を含めて具体的な施策はどのようなことをするのかよく考え、「What」「How」そして「エッジ」を立てたものにしてほしい。また未来から社会課題を引っ張って考える、バックキャスティングの考え方で作ってほしい。
- 「らしさ」にこだわると過去の議論になってしまう恐れがある。今起こっている変化に向き合い、求心力のある取組をしてほしい。
- 畑中氏
- 策定に関しては、世界で何が先進的なのかを意識するのが必要ではないか。「先進性」と「らしさ」を掛合せることで、引っ張っていけるドライバーはなにかを見つけることが重要かと思う。
ご意見を受けて
本日はSMBCグループの「SMBCグループ サステナビリティ宣言」について貴重な意見を頂戴しました。このような宣言を策定することが初めてである当社グループにとって、「SMBCグループらしさ」を意識し、歴史から紐解いた構成とした点について評価いただきました。
一方、目指す将来像を定めたうえで、この取組を具現化する施策や指標の策定、さらには社内への浸透の重要性について認識し、改めて今後議論を深める必要があることも実感致しました。
持続可能な社会の実現に向けて、机上の空論ではなく実効性のある、想いを込めた取組とするために本日頂いたご意見を参考にしながら、進めたいと思います。
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
企画部 サステナビリティ推進室長
末廣 孝信