民間ノウハウを最大限に活用し、新しい環境事業をつくりたい。自治体と議論を重ねて、考え抜く。 株式会社日本総合研究所 総合研究部門 社会・産業デザイン事業部 田中 千絵

「新たな顧客価値の共創」を基本理念に、システムインテグレーション・コンサルティング・シンクタンクの3つの機能を持つ日本総合研究所。コンサルティングを担う部門に所属する田中は現在、自治体がPFI等で廃棄物処理施設を整備・運営する際のアドバイザリー業務に携わっている。「廃棄物処理の過程で出たエネルギーの活用など、民間ノウハウを活用する手法だからこそできる取り組みも加えた、新しい施設の実現を目指しています。難題を乗り越え施設が無事稼働した時は本当にうれしいです」。社会問題の解決につながる仕事であることを誇りに、田中は全国各地を飛び回る。

インタビュー

自治体の環境政策を、PFIの手法を用いて支援。

私は、民間企業および官公庁にコンサルティング・サービスを提供する総合研究部門に在籍しています。現在は、公共サービスに民間のノウハウ等を活用する「PFI(Private Finance Initiative)」などの手法を用い、自治体が廃棄物処理施設の整備・運営を行う際の支援を行っています。具体的な例としては、まずフィージビリティスタディ(可能性調査)を実施してプロジェクトの事業性を評価し、PFI含め様々な手法の中から何が適しているかを検討します。そして、自治体が事業者を選定する際には、施設に求める性能など仕様の策定から、選定された事業者との契約締結までをサポートします。契約締結後は、施設の設計・施工期間中から稼働後に至るまで、事業の工程管理をはじめ、自治体のPFI等の活用をトータルに支援しています。この分野は当社の強みであり、私も入社以来、多くの廃棄物処理施設でPFI等を活用した事業に関わらせていただきました。その中でも、ある自治体のバイオガス施設を併設した最新鋭の処理施設の整備・運営事業を支援した案件は印象に残っています。

廃棄物処理において、最新鋭の設備導入に奮闘。

その廃棄物処理施設は、ごみ焼却施設とバイオガス化施設を併設し、生ごみ以外のごみを焼却した際に発生する蒸気と、隣接するし尿処理施設で発生する汚泥や生ごみなどから得たバイオガスを組み合わせることで高効率の発電を行う、最新鋭の施設でした。当社はこのプロジェクトに5年以上にわたって携わりましたが、長期プロジェクトゆえに、その途中で関連する法律の改訂などへの対応を余儀なくされることがありました。そのたびに、自治体や事業者などの多くの関係者の方々と協議し、お互いに着地点を探っていきました。5年以上のプロジェクトの中で私が関わったのは最後の3年でしたが、この経験を通して状況の変化にも粘り強く対処していく力が身に付きました。

自治体と事業者のあいだに立ち、難題を解決していく。

先日は、神奈川県平塚市が新設した環境事業センターのプロジェクトに携わりました。このプロジェクトで最も工夫したことのひとつは、ごみの焼却灰を埋め立てずに資源として再活用することでした。平塚市では、日々大量に発生する焼却灰の処理を課題としていました。そこで選択したのは、焼却灰を駐車場の縁石などコンクリート二次製品の原料として資源化し、焼却灰の埋め立てをゼロにする方法でした。一方で、廃棄物の処理は法律で細かくルールが定められており、法律上越えるべきハードルがいくつかありました。そこで、先輩と共に、市や弁護士、事業者と協力しながら、法的な問題点をクリアしていきました。また、焼却灰の処理方法以外にも、焼却熱を活用する高効率の発電設備を導入し、売電収入で施設の運営費を補う仕組みの導入なども支援しました。平塚市のプロジェクトは、その後、他の自治体でも類似の取り組みが検討されるなど高く評価されました。今後も、新しい提案を行っていくことで、地域の方々の役に立ちたいと思います。

従来のPFI等の手法を超える、新たな方法論で社会に貢献したい。

入社するまでは“コンサルティング”というと、机上で戦略を考えているイメージがありました。当社で働きはじめて分かったのは、コンサルティング業務は現場で多くの関係者とともに問題をひとつひとつ解決していく必要があるため、信頼関係の構築がとても重要な仕事だということです。私自身「人」が大好きなので、新しい案件やそれに関わる方々にお会いする度に、この仕事は本当に自分に合っていると実感しています。今後も、人々が生活していく上で必要不可欠なインフラである廃棄物処理施設というテーマをさらに究めていきたい。従来のPFI等の手法を単に適用していくだけでは、私たちが手がける意味はないと思っています。自治体の財政にも配慮しつつ、ごみの処理だけに留まらない新しい機能を持った廃棄物処理の方法を、自治体のお客さまに提案していく。世の中をより良く変えていく新しい仕組みを創り出してこそ、当社の存在価値がある。そのために、さらに力を尽くしていきたいと考えています。

私を変えたひとこと

「人が変わるのを期待するのではなく、自分が変われる人になりなさい。」

入社2年目、取引先との意思疎通がうまくいかないことを先輩に相談したときに言われた言葉です。
「思い通りにならないことを人のせいにするのは簡単だが、それでは解決にならないから、自分が変われる人になりなさい」と言われ、目が覚めた気がしました。それ以来、困難があっても前向きに、自分から率先して動くように心がけています。

私の仕事を支えるもの

私のパワーアイテム
手帳

仕事の内容や気になった言葉、印象に残ったことを毎日書きとめていて、後から見直すと、忘れかけていた知識や、過去に自分が感じたことを思い出すことができます。過去の手帳も捨てずに全部とっておき、仕事がうまくいかない時にヒントを貰っています。 

私のパワーフード
母の手料理

仕事で悩んでいることなどがあると故郷の仙台に帰り、母の料理を食べながら他愛もない話をしたり、父が仕事で苦労した話を聞いたりすると、またがんばろうと思えます。

私の会社紹介

日本総研はこんな会社

いろんな個性が集まって大きなパワーを生み出している会社です。社内には特定分野の第一人者として活躍する人や、海外の大型プロジェクトを手掛ける人など、多彩な人材が揃っています。自分の強みを生かしつつ、社外の人々とも一丸となってプロジェクトを遂行していくところに当社の仕事の醍醐味があると思います。

日本総研総合研究部門 田中 千絵

NEXT COMPANY 三井住友フィナンシャルグループ

「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長する
グローバル金融グループを目指す三井住友フィナンシャルグループ。
企画部の横山沙織がご紹介します。お楽しみに!

三井住友フィナンシャルグループ企画部 IR室 横山 沙織

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※日経ビジネス 2015年5月29日号掲載(PDF形式:2.42MB)