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【日本最大級のDX総合展『DX EXPO』出展】金融を突き抜け、デジタル先進企業としての認知拡大を目指す

2024年6月11日から3日間にわたって東京ビッグサイトで開催された日本最大級のDX総合展「DX 総合EXPO 2024 夏」。SMBCグループはこの展示会に、グループ内のDX関連サービスを合わせ、9事業合同でブースを出展しました。さらに同イベントにて開催されたセミナーには、三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄氏が登壇し、「SMBCグループがデジタルで作り出す新規事業」をテーマにスピーチをおこないました。

今回は、磯和氏のスピーチ内容を紹介するとともに、ブースを指揮した三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部 上席推進役 宮城 悟氏へのインタビュー内容をお届けします。宮城氏には、出展の狙いやこれからの新規事業のあり方について、話を聞きました。

「Beyond & Connect」の精神で、新規事業をハイペースで立ち上げる

SMBCグループは金融機関のなかでも率先してITやデジタルの技術を経営に取り入れてきました。お客さまのニーズに応えるデジタルサービスを生み出し続けた結果、金融サービスだけでなく、非金融領域でもたくさんのサービスを生み出しています。その背景にある、新規事業を生み出すための考え方や仕組みについて、磯和氏から説明がありました。

磯和社内で大事にしている考え方の一つに「Beyond & Connect」があります。

Beyondは、既存の壁や枠組みを越えてほしいという意思が込められており、それぞれのメンバーには、社内に留まらず国境すらも越えた自由な発想をもってほしいと考えています。
Connectは、さまざまな企業やサービスとあらゆる形で繋がることを表しています。SMBCグループがこれまで立ち上げた多くの新規事業は、スタートアップをはじめとした多様な企業と提携してスタートしていることが多く、合弁会社を設立したケースも多いです。

たとえば、2023年にリリースしたモバイル総合金融サービス「Olive」はまさに「Beyond & Connect」を体現したサービスでした。ありがたいことに約1年間で200万口座を達成し、クレジット、デビット、ポイント払い、追加したカードでの支払い、さらには保険・証券まで、まとめて管理できるサービスです。
また、お客さまのUXを最優先に考え、グループの枠を超えて様々なサービスと連携しております。

三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO
磯和 啓雄氏

新規事業を生み出すための、4つの取り組み

磯和我々は、イノベーションを推進するための仕組みづくりにも力を入れています。ただでさえ金融業界は、保守的な考え方に偏り、経路依存してしまいがちです。そのような状況を打破するには、新しい挑戦が生まれ続ける仕組みをつくる必要があります。

今回は大きく4つの取り組みをご紹介します。1つ目はイノベーションハブの設置です。国内では、渋谷に「hoops link tokyo」という拠点を設け、同拠点をモデルにしたバーチャル空間「virtual hoops link」も開設しています。また、アメリカに「シリコンバレー・デジタルイノベーションラボ」、シンガポールに「アジアイノベーションセンター」と、海外拠点をいくつか作り、現地企業との情報連携や提携推進に力を入れています。

2つ目は、インナーコミュニケーション活性化のための社内SNS「みどりの広場(通称:ミドりば)」の導入です。ミドりばは、あえてルールを設けず、誰でもどのような内容でも投稿できるようになっています。お気に入りの居酒屋のことばかり投稿する人もいれば、業務で困ったことを積極的に投稿する人もおり、本SNSがきっかけとなって、新サービスが誕生した事例もあります。

たとえば、とある支店の窓口業務を務めるメンバーが、毎年一定の時期になると多くのマンション管理組合の方が、記帳のために銀行を訪れるのだという話を投稿しました。すると他の支店からも同じ現象が起こっていると、多くの投稿が寄せられたのです。そこで、お困りの方が多いのであればと、マンション管理組合専用のサービス開発がおこなわれました。

3つ目は、Webメディア「DX-link」の運営です。DX-linkでは、DXにおけるSMBCグループのビジョン、DX推進のためのソリューション、共創パートナー企業との取り組みなどを発信しています。コーポレート向けのDX関連情報発信メディアとしては上位のPV数を獲得しており、Webメディアを通じた情報発信によって、社内外にSMBCグループの取り組みを広める活動をしています。

4つ目は、グループの新会社の社長にストックオプションを与えることです。新社長のほとんどは30代ですが、うまく上場まで会社を導ければ、短期間で大きな資産を築くことも可能です。社内での出世とは違うキャリアを用意しておくことが、社内メンバーのモチベーションアップにつながると考えています。

金融だけではない、「SMBC=DX」の想起を獲得する

講演終了後、今回のブース出展を指揮した宮城 悟氏に出展の狙いやこれからの新規事業のあり方について、話を聞きました。

これまで、DX EXPOのような大規模な展示会に出展したことはありますか?

宮城今回ほどの規模での出展は初めてです。コロナが流行する前までは、最新ITの展示会CEATEC(シーテック)にITイノベーション推進部(現:デジタル戦略部)として出展をしたことがあります。ただし、当時は今回披露しているようなプロダクトやサービスのほとんどがまだ存在していませんでした。

コロナが落ち着いてからは、脱炭素領域に特化した展示会に、CO2排出量可視化サービス「Sustana」を出展したことがありますが、あくまでも一つのプロダクトとしての出展でした。

三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部 上席推進役
宮城 悟氏

今回はなぜ、SMBCグループとしての出展を決めたのでしょうか?

宮城我々SMBCグループがDX関連のサービスを幅広く展開していることを、より多くの皆さまに知っていただきたかったからです。

これまでは、SMBCグループの法人営業部を中心に、すでに接点のあるお客さまへ個別にサービスを提案していました。しかし、今後さらにお客さまの層を広げるには、我々が接点をもたないお客さまが集まる場所に赴くことが必要です。DX EXPOへ出展することで、DXに関心のある方々に対して、SMBCグループとしての存在感を示せればと考えました。

また、イベントへの出展は、実際に取引が始まる可能性のある方々と直接会話ができ、生の声を聞ける貴重な機会でもあります。この場で契約が決まらなくても、サービス展開のヒントとなるアイデアが生まれたり、後日ご相談をいただいたりして、サービスの導入が決まるケースも多いです。

今回、9つの事業合同でブースを出展しており、展示会で存在感を示しています。ここまで大規模に出展をしようと決めた意図をお教えください。

宮城目立つことで認知を広げようという意図が大きいです。ブースは会場に入ってすぐの場所にあるため、来場された2万人ほどの方々には、SMBCグループがDXに関する取り組みをおこなっていることを認識してもらえたのではと考えています。

また、存在感を出すために、我々のコーポレートカラーである緑色をベースに、「SMBCは、金融を突き抜ける」というキャッチコピーを全面に押し出し、印象に残るブース設計を意識しました。

来場者の反応はいかがでしょうか?SMBCグループが出展していることへの、驚きの声などはありましたか?

宮城具体的な商談や提携はこれからですが、一番の狙いである認知獲得の面では、大きな手応えを感じています。通りがかる方々が物珍しそうに我々のブースを見てくださっており、「こんなことをやっているなんて知りませんでした」というお声を多くいただいています。

特に我々の場合は、単体のプロダクトを展示しているわけではなく、複数のプロダクトを総合的に紹介しています。幅広い関心をもっているDX EXPOの来場者の方々の、何かしらの興味・関心を得て、立ち止まってくださる方が多い印象です。

総じて、これまでのSMBCグループは「銀行」というイメージをもたれることが多かったですが、「DX」というキーワードでも我々のことを想起いただくといった、いい意味での違和感をもってもらえていると感じています。

「グローバルソリューションプロバイダー」として社会の発展に貢献

最後に、今後の展望についてお教えください。

宮城今回出展している事業に限らず、我々が展開している多くの事業同士を掛け合わせ、お客さまへのさらなる付加価値を提供していきたいです。

事業同士の掛け合わせのなかには当然、主力事業である金融領域も対象に含まれます。たとえば、従業員エンゲージメントを見える化できるサービス「SMBC Wevox」と金融領域を掛け合わせることで、究極的には従業員のエンゲージメントの総和も企業価値の審査に活用できる世界を実現できると考えています。

新しく生み出す事業は、とくに金融領域との接続にこだわっているわけではありません。最終的に我々が目指すのは、ビジョンとして掲げている「グローバルソリューションプロバイダー」であり、お客さまの課題に対する解決策をあらゆる領域から提案することです。その結果、これまで以上に日本や世界の経済を支え、社会全体の発展に貢献できればと考えています。

個人的には、今回のようなイベントへの大規模出展を海外のビジネスカンファレンスでも実行していきたいです。すでにSMBCグループはアジア最大級のカンファレンスである「Singapore Fintech Festival」に8年連続で出展をしており、同地域での知名度が高まっています。加えて、現地企業が手掛ける革新的なサービスを日本へ輸入する取り組みも進んでいます。

今はまだ知名度の低い地域で、積極的にリアルイベントに参加をすることで、我々の存在感を世界中に広げられるはずです。「グローバルソリューションプロバイダー」の名に恥じない企業であるために、日本経済の成長へ貢献することはもちろん、世界に対しても存在感を示し続けてまいります。

PROFILE
※所属および肩書きは取材当時のものです。
  • 三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO

    磯和 啓雄氏

    1990年東京大学法学部卒。入行後、法人業務・法務・経営企画・人事などに従事した後、リテールマーケティング部・IT戦略室(当時)を部長として立ち上げ、デビットカードの発行やインターネットバンキングアプリのUX向上などに従事。その後、トランザクション・ビジネス本部長としてBank Pay・ことらなどオンライン決済の商品・営業企画を指揮。2022年デジタルソリューション本部長、2023年より執行役専務 グループCDIOとしてSMBCグループのデジタル推進を牽引。

  • 三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部 上席推進役

    宮城 悟氏

    2006年三井住友銀行入行。中小企業営業、海外営業(中国上海)、大企業営業、グローバル人事戦略等を経て、2022年デジタル戦略部着任。新規事業開発にかかる戦略策定・組織運営や国内外のベンチャー投資業務に従事。ロンドンビジネススクール(MBA)修了。

カーボンニュートラル
(Carbon Neutral)

類義語:

  • 脱炭素

温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。「全体としてゼロに」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことで、現実には温室効果ガスの排出量をゼロに抑えることは難しいため、排出した分については同じ量を吸収または除去する。

DX
(Digital Transformation)

類義語:

  • デジタルトランスフォーメーション

「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の頭文字をとった言葉。「Digital」は「デジタル」、「Transformation」は「変容」という意味で、簡単に言えば「デジタル技術を用いることによる、生活やビジネスの変容」のことを指す。