あとがき

2021年4月1日に三井住友銀行が発足20周年を迎えるにあたり、『SMBCグループ二十年史』の編纂が企画され、2019年12月、社史編纂室が総務部に設置された。2013年3月に『三井住友銀行十年史』が発刊されており、さほど時をおかずに社史を改めて編纂することになった背景には、グループ・グローバル経営が大きく進展し業務分野が多様化、専門化したことに加え、20年後の編纂では記憶とともに多くの資料が散逸ないしは埋没してしまいかねないことがあった。

社史編纂に際しては、経営トップから、経営戦略や各種施策の背景等、時代の大きな流れを踏まえて記述すべきこと、経営者の想いが滲み出る社史とすること、反省すべき点も率直に記載すべきことなど、多くの助言を受けた。

また、今回、環境に配慮したペーパーレス化の推進、さらにはネット社会の浸透という時代の潮流に鑑み、正史としての社史を書籍や電子ブックとしてではなく、スマートフォンでも閲覧可能なWebサイトとして制作し、広く一般に公開することとした。そして、やや変則的ではあるが、『SMBCグループ二十年史』を『三井住友銀行十年史』の続編としてグループ史の視点から編纂することとした。本社史サイトには、書籍で刊行された『三井住友銀行十年史』をPDFファイルで掲載しているので、併せてご参照いただきたい。

『三井住友銀行十年史』は、1990年代後半以降の未曽有の金融危機のなかで、三井住友銀行(2001年4月発足)、三井住友フィナンシャルグループ(2002年12月設立)が如何にして誕生し、幾多の難局をどのように乗り越えたのかを、金融史としてまとめたものである。それに続く『SMBCグループ二十年史』は、2011年度以降のグループ各社の取り組みや沿革に触れつつ、SMBCグループがどのようにグループ・グローバル経営を拡大・深化させていったのか、その成長過程を記録したものである。その中には、様々な分野におけるデジタルプラットフォームの創出や新事業・非金融領域への進出など、先進的かつチャレンジングな取り組みが多数含まれている。次なる10年、20年におけるSMBCグループのさらなる成長に向けた変革の萌芽を感じ取っていただければ幸いである。

編纂にあたっては、國部三井住友フィナンシャルグループ会長、宮田三井住友銀行会長に査読いただいたうえ、多くの助言を頂戴した。しかし、社史がいまだ完成せぬうちに、宮田会長ご逝去の報に接することになろうとは、我々一同全く思いも寄らぬことであった。病を押してご指導いただいていたのかと思うと、改めて身の引き締まる思いがするとともに、感謝の念が我々の胸を打つ。宮田会長の在りし日のお姿を偲びつつ、ご冥福を心よりお祈り申し上げる。また、グループ各社の歴代トップ・役員には快くインタビューを受けていただき、貴重な話を伺うことができた。さらに、グループ各社や関係各部には多岐にわたる資料の提供や度重なる査読をお願いするなど、多くの方々に多大なるご協力をいただいた。この場を借りて心よりお礼申し上げる。また、本社史サイトの制作にあたっては、凸版印刷株式会社様および株式会社オロ様にお骨折りをいただいた。あわせてお礼申し上げる。

我々は当初、Webならではの利点を活用した革新的なデジタル社史とする意気込みで編纂作業に臨んだ。しかし、想定していなかったWeb特有の制約や、新型コロナウイルス感染症の流行拡大などによる物理的・時間的な影響もあり、どこまで所期の目的を達し得たか、今となっては読者の判断に委ねざるを得ない。願わくは、本社史サイトがSMBCグループのデジタル企業アーカイブとして時を越えて発展・成熟していくことを期待したい。

(2022年1月)

三井住友フィナンシャルグループ 総務部
社史編纂室

  • 室長森口 善正
  • 杉本 健
  • 山下 えつ子
  • 野村 真司