(2)プロミスの完全子会社化

改正貸金業法は、当社の持分法適用会社であったプロミスに対しても極めて大きな影響を及ぼした。プロミスは、マーケット縮小下でも耐えうる経営体質構築のため、2010年1月に抜本的な事業構造改革プランを策定し、迅速に断行した。その内容は、①営業体制の再構築(有人店舗の全廃により非対面を基本とした営業体制へ移行)(注21)、②人員削減(希望退職により連結ベースで約4割削減)、③事業再編(不採算事業からの撤退等)などであった。また事業再編の一環として、グループ経営の効率化を図るために、子会社の三洋信販を2010年10月に、同じく子会社のアットローン(注22)を2011年4月に完全子会社化したうえで吸収合併した。

このような状況下、当社は外部専門家を交えてプロミスと検討を行った結果、過払い金問題に対応するため、増資を通じて財務体質の強化を図る(注23)とともに、プロミスを完全子会社化することを決定した。これは、コンシューマーファイナンスビジネスがリテールビジネスにとって重要なコンテンツの一つであることに加え、個人向け無担保ローン市場に底打ち・反転の兆しが見えていたこと、お客さまの層の違いなどから銀行と消費者金融会社が補完関係にあったこと、消費者金融審査などにおけるプロミスのノウハウが優れていたことなどを勘案した結果である。2011年12月、プロミスは当社を割当先とする第三者割当増資を約1,200億円実施。2012年4月に、当社は株式交換によりプロミスを完全子会社化した(注24)

さらに同年7月には、当社グループ入りしたことを明確にし、グループとの一体感による「信頼性」や「安心感」の醸成効果を高めるために、社名を「SMBCコンシューマーファイナンス株式会社」に改め、新VI(ビジュアル・アイデンティティ)を導入した。なお、サービスブランドについては、多くのお客さまに慣れ親しまれてきた「プロミス」を引き続き使用することとした。

(画像)SMBCコンシューマーファイナンスへの社名変更を案内する新聞広告
社名変更を案内する新聞広告

コンシューマーファイナンス事業に関しては、モビットの取扱いという課題も残されていた。モビットは、2000年5月に三和銀行、プロミス、アプラスの出資により設立されたが、その後の金融再編などにより、SMBCコンシューマーファイナンス50%、三菱東京UFJ銀行50%とメガバンクグループ2社が共同出資する形となっていた。両社間でモビットの事業方針について検討を行った結果、ローン事業と保証事業を分割し、ローン事業、法人格および「モビット」ブランドをSMBCコンシューマーファイナンスが承継し、保証事業を三菱東京UFJ銀行が引き継ぐこととなった。これに基づき、2014月3月に、保証事業を会社分割により三菱東京UFJ銀行系のコンシューマーファイナンス会社であるアコムの子会社に承継させたうえで、モビットをSMBCコンシューマーファイナンスの完全子会社とした。モビットは、2017年12月に「株式会社SMBCモビット」に社名を変更した。

SMBCコンシューマーファイナンスは、改正貸金業法の施行以降、厳しい経営環境にさらされたものの、主力業務である金融事業・保証事業・海外事業のテコ入れ(注25)により着実に業績を回復させた。2019年度期初の全体戦略会議において社長の金子良平は、次のような言葉で、今後さらに、お客さまのためにサービスを強化していくことを誓った。

CFとPROMISEは一体である。コーポレートブランドである「コンシューマーファイナンス」の略称・CFは、カスタマーファーストとも読み取れ、これを追求するお客さま本位の姿勢も表している。そして、サービスブランドである「PROMISE」が、その「実践を約束」する。すなわち「CF(Customer first)をPROMISE(約束)する」ということである。