5.新たなビジネスや注力する事業領域への取り組み

中期経営計画(2020~2022年度)における7つの重点戦略の一つが国内法人ビジネスの生産性向上とソリューション強化である。戦略のポイントは2つある。一つは貸金収益反転による収益拡大の加速である。2019年度に10年ぶりに反転した貸金収益の増益を維持するとともに、非金利収益増強を目指す。もう一つがグループベースでのトータルソリューション提供であった。

そのためにも、SMBCグループは、注力事業領域におけるソリューションラインアップの拡充とともに、新たな収益ポテンシャルの高いビジネスへの経営資源シフトを図っていくこととした。主な取り組みは以下の通り。

(1)サステナブルビジネス

2018年4月、三井住友銀行は評価・支援内容をESG(注42)からSDGs(注43)まで拡大した新商品「ESG/SDGs評価型資金調達」をリリースした。「ESG/SDGs評価型資金調達」は通常の融資実行に加え、日本総合研究所に委託して制定した独自のESG/SDGs評価基準に基づき、評価機関によるお客さまのESGおよびSDGsの取り組み状況についての評価を実施することで、取り組みの現状分析やさらなる取り組みに向けたアドバイスを行っている。また、一定の評価結果がなされた企業については、お客さまの希望があれば三井住友銀行のホームページでのニュースリリースやロゴマークの掲載を行うなど、対外的なPR/IRにも活用が可能。対象企業はCSRレポート等で、ESGに関する情報開示を行っている企業(主に上場企業を想定)としている。ESG/SDGsという考え方の社会への浸透とともに、本商品は順調に拡大した。

また、2020年4月には「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を公表。宣言を遂行するための10年間の計画として「SMBC Group GREEN×GLOBE 2030」を策定した。その中で環境・社会課題解決に向けて、「2020年度から2029年度のグリーンファイナンス(注44)実行額10兆円」を掲げた。2021年5月には、対象を再定義したうえで目標を上方修正、新たな目標を「2020年度から2029年度のグリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンス(注45)実行額30兆円(うちグリーンファイナンス20兆円)」とした。

サステナブルビジネスにはSMBC日興証券も積極的に取り組んでおり、ESGファイナンス関連で証券業界の中でトップランナーの一角を担う(注46)。特にSDGs債について難易度の高い認証を取得した案件や、国内初・業界初の案件など、専門性が強く求められる分野で成果を挙げ、市場の拡大と多様化に貢献。SDGs債市場の拡大のためには個々の債券の対応に関わる質的な向上と、発行額や発行件数といった量的な向上の両面が不可欠である。質的な向上の面で、SMBC日興証券は国内証券会社では唯一、国際的認証であるCBI認証(注47)を取得した国内発行体の案件全てに参画・支援している。量的な面では、2019年度の事業債についてストラクチャリング・エージェントの件数やグリーンボンドの引受シェアにおいて国内No.1の実績を残した。

こうした取り組みが評価され、2019年度の環境省ESGファイナンス・アワード(注48)では金融サービス部門において環境大臣賞(銀賞)を受賞した。