(2)エリア制による「法個一体型ビジネスモデル」の展開

2014年4月のブロック制の廃止とエリア制の発足は、リテール部門において年商30億円未満の法人顧客(エリア企業)・オーナーのニーズを起点とした承継や資産運用に関する法個一体型ビジネスモデルの確立を目指したものであった。具体的には、従来のスモールビジネスにおいて強みとしてきた貸金・為替・外為取引の拡充に加えて、中小企業経営者のニーズが高い「経済・産業動向等の情報提供」「業務斡旋」「財務アドバイス」「承継コンサルティング」などへの対応力を強化することで、お客さまニーズに従来以上に向き合った新しいビジネス領域を開拓することを基本戦略とした。

しかし、①ブロック制廃止・エリア制への移行と担い手の変更を試行なしに同時に実施したこと、②チャネル戦略やプロモーションと連動した仕組みができていないなかで、コンセプト先行で体制変更を行った結果、エリア制発足当初は、ファシリティの整備や運営面、営業戦力の人員配置等の点で混乱が生じた。そこで、2014年6月のオフサイトミーティングなどで経営会議メンバーによる突っ込んだ議論を行うとともに、リテール戦略クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)を立ち上げ、対応策を講じることとした。その結果、混乱は次第に収束し、エリア企業に対する新たな営業体制が立ち上がることとなった。

その後も、2015年3月には、SFA(注16)(営業支援システム)や営業用タブレットの導入などを通じて、営業活動の効率化を図るとともに、承継、IPO等、大口かつ複雑なニーズを有するエリアの根幹先となるお客さまを中心に「法個重点攻略先」を選定し、営業店・本部一体となったソリューションを推進した。2016年4月からは、限られた戦力の有効活用を図るため、エリアは法個取引が見込める可能性が大きいお客さまに集中的にアプローチするものとし、それ以外のお客さまについては法人プロモーションオフィス(注17)への所管変更を実施して、運営の効率化を進めた。さらに、総合職(リテールコース)の法人スキル強化、与信グループにおける法個一体化の強化等に努めた。