(3)海外CIBビジネスの高度化

2020年度より始まった中期経営計画において、当社は海外CIB(Corporate and Investment Banking)ビジネスの高度化を重点戦略の一つに掲げた。グローバルにビジネスを展開する日系および非日系大企業の資金調達ならびに事業戦略に対して、銀証を始めとするグループの業務連携による総合的なソリューションを提供することによって、バランスシート拡大に過度に依存しないビジネスモデルへの転換を引き続き目指すとともに、クレジット・経費・流動性管理を通じて、「資産」「資本(ROE)」「経費」の3つの効率性を追求した。具体的な施策として、①セクターナレッジの集積によるソリューション提供能力の強化、②強みを有するプロダクト力のさらなる強化・商品ラインアップの向上、③海外証券業務強化を推進した。

図表7-3 企業のお客様の多様な資金ニーズと投資家の運用ニーズを繋げ、ビジネスを高度化している。
(図表7-3)CIBビジネスの高度化

国際事業部門は、海外CIBビジネス高度化の方針の下、海外証券業務において、米国投資適格社債の引受金額シェアを引き上げてグローバル・トップ10に入ることを目標として掲げた。米国を中心に、セールスおよびトレーディングのグローバルチーム化を図るとともに、投資家ニーズに応えるために、プロダクトの多様化によるトレーディング力の一段の強化を図った。アジア新興国や中東における資金ニーズに対して銀証一体で債券発行に取り組み、併せて為替デリバティブやドル預金を受けるといったマーケット性取引も含めたグローバルベースでのクロスセルの増強にも取り組んだ。

新たな中期経営計画初年度となる2020年度には、新型コロナウイルス感染症拡大に対して、企業が手元流動性の確保に努めたほか、米国連邦準備制度理事会(FRB:Federal Reserve Board of Governors)による流動性供給策の実施などを受けた企業の起債増加もあり、海外を中心に債券引受業務収益は前年度対比大幅増益となった。また、2021年度からはグローバルベースのセクター運営を強化し、グループが特に知見を有するセグメントから重点的にお客さまにアプローチし、買収ファイナンスに伴う債券引受業務等を推進した。

20217月、当社、三井住友銀行およびSMBC日興証券の3社は、Jefferies Group LLCとその親会社Jefferies Financial Group Inc.(以下、「ジェフリーズ」と総称)との間で、CIBビジネスでの協業を見据え、戦略的資本・業務提携契約を締結した。ジェフリーズは米国大手の独立系投資銀行で、インベストメントバンキングからキャピタルマーケッツ、リサーチ、アセットマネジメントならびにウェルスマネジメントまで総合的なサービスを提供し、2020 年のグローバル M&A、米国および欧州の株式引受、米国レバレッジドローン引受等を含む様々な分野でリーグテーブル上位10位内となっている。SMBCグループは、当局認可取得を前提に、Jefferies Financial Group Inc.の上場普通株式の最大4.9%を株式市場から取得する予定である(注12)