3.強みを持つプロダクトを通じたビジネスモデルの進化
(1)投資家ビジネスの強化
当社は、プロジェクトファイナンス、トレードファイナンス、航空機関連ビジネス、欧米LBOファイナンスビジネスなどのプロダクト分野において、グローバルに強みを持つ。バランスシート拡大に過度に依存しないビジネスモデルを追求するなかで、当社は、これらのプロダクトの組成(オリジネート)に関わる手数料収益を拡大する方針を継続すると同時に、2017年度より始まった中期経営計画においては、オリジネーション&ディストリビューション(O&D)ビジネスの強化による新たな収益源の創出ならびに資産・資本の効率化を注力施策とした。具体的には、海外のプロジェクトファイナンスや航空機、船舶向けローンなど強みを持つプロダクトを原債権として、機関投資家の運用ニーズに合致する金融商品を提供する(ディストリビュート)ビジネスを強化する方針であった。O&Dビジネスは、オリジネートとディストリビュートを両輪として推進するビジネスモデルであり、そのプロダクトにおいて当社がトップ・グループに位置し、広い投資家層を有することで、このビジネスモデルは機能しやすくなる。その点では、投資家へのディストリビューションに特に、強化の余地があった。

当社がO&Dへの取組強化を推進するなかで、①低金利を背景とした投資家からのストラクチャード商品への需要の高まり、②電子トレードの浸透を背景とした高流動性商品(国債等)の利ざや減少による既存の投資家ビジネスモデルへの成長懸念、③発行体/借入人の資金調達ソースの多様化を背景に、Structured Credit Solutions(注13)強化の重要性が高まった。そこで当社では、投資家ニーズに応える証券化商品等の商品供給・販売体制の構築を進め、その一環として、2021年4月、米国ニューヨークにStructured Credit Solutionsのグローバルヘッドを設置し、証券化商品のオリジネーションと投資家への販売においてグローバルに連携する体制を整えた。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに