3.銀証連携は高度化へ

(1)SMBC日興証券とSMBCフレンド証券の合併

SMBCフレンド証券は、2004年12月に三井住友銀行との証券仲介業務支援を開始し、2006年9月には当社の100%子会社となった。こうしたなかで、同社は銀証協働ビジネスモデルにおけるリテール証券業務の核として位置づけられた。2009年10月に日興コーディアル証券(2011年4月、SMBC日興証券と改称)が三井住友銀行の100%子会社となったが、SMBC日興証券とSMBCフレンド証券は顧客基盤と営業手法が異なるとしてSMBCグループ内で併存してきた経緯がある。

証券事業の強化にグループを挙げて取り組んできたことが、SMBC日興証券とSMBCフレンド証券の合併に関する基本合意という形で結実したのが2016年5月である。当時は、中国をはじめとする新興国経済の減速、コモディティ価格の急落等から世界経済の先行き不透明感を背景に世界の金融市場は不安定化していた。一方で、ホールセール分野では資本市場を通じた資金調達手法の多様化やM&Aによる事業再編が活発化、リテール分野では「貯蓄から投資へ」の流れが本格化しつつあり、グループ内における証券事業の重要性が格段に増してきていた。そうした状況下、SMBC日興証券とSMBCフレンド証券の合併が当社、三井住友銀行、SMBC日興証券、SMBCフレンド証券の4社間で基本合意に至った。

合併の狙いは3つ。1つ目が商品・リサーチの多様化、全体最適な営業員体制構築によるお客さま満足度の向上およびトップライン・シナジーの実現である。SMBC日興証券ではSMBCグループ入り後、資産導入実績が伸び悩み、銀証リテール一体化戦略の開始で導入実績は改善するも、ライバルである大和証券を凌駕するには至らず。また、総合証券としての体制整備のために、ホールセールなどへ優先的に人員を投入したことから、リテール営業の人員が絶対的に不足していた。また、SMBCフレンド証券では大手証券対比で商品ラインアップが見劣りし、支店レベルでの創意工夫と伝統的な強みである株式営業力に依存せざるを得ない状況となっていた。

2つ目が重複機能、システムおよび販売チャネル等の経営インフラの統廃合によるコスト・シナジーの実現である。拠点やシステムの統合、間接部門の人員削減によるコスト効率化を狙いとしていた。

3つ目が競争力強化、業界内地位向上による両社役職員のモチベーション向上である。SMBCフレンド証券では若手を中心とした従業員の将来への不安等による離職の増加が懸念されていた。

合併による経営基盤強化および統合効果の実現により、中期的に年間200億円程度(営業利益ベース)のシナジー効果が期待された。

基本合意の対外発表後、統合準備委員会を設置し、その下に委員会事務局および各テーマ別に分科会を設置のうえ、統合準備を本格化した。2016年9月30日に合併契約を締結し、2018年1月1日をもって合併することとした(存続会社はSMBC日興証券、合併会社の商号は「SMBC日興証券株式会社」)。合併に先立ち、10月1日には三井住友銀行が保有するSMBC日興証券の全株式を当社へ現物配当し、SMBC日興証券はSMBCフレンド証券と同様、当社の直接出資子会社となった。さらに、店舗や組織等の統合計画、綿密な人員計画を策定のうえ、人事交流・研修を加速し、SMBCフレンド証券営業員に対し、SMBC日興証券の営業スタイルやコンプライアンスルールの教育・浸透を図った。システムや事務、コンプライアンスルール、人事制度等は、統合コストを最小化する等の観点から、SMBC日興証券に片寄せすることになった。

2018年1月1日の合併初日、最大の焦点であったシステム統合は、特段の障害が発生することなく正常に稼働し、SMBC日興証券とSMBCフレンド証券は滞りなく合併に至った。

(写真)2018年1月4日、SMBC日興証券とSMBCフレンド証券の合併記念式典を開催。式典で握手するSMBC日興証券の清水喜彦社長、三井住友フィナンシャルグループの國部毅社長、SMBC日興証券の團野耕一顧問(SMBCフレンド証券前社長)
合併記念式典の様子 (2018年1月4日)