第12章
当社グループのCSR活動

当社グループ(注1)は、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を「事業を遂行するなかで、①お客さま、②株主・市場、③社会・環境、④従業員に、より高い価値を提供することを通じて、社会全体の持続的な発展に貢献していくこと」と定義したうえで、「CSR活動をまっとうすることは、まさに経営そのものである」(宮田三井住友フィナンシャルグループ社長)との考えの下、グループ全体でCSR活動を推進してきた。2011年度からは、社会に大きな影響を与える「震災復興」「環境」「少子・高齢化」「グローバル」の4つを優先課題と位置づけ、これらの課題解決に積極的に取り組んだ。

2013年5月に国際的なCSR報告ガイドラインの改訂版「GRIガイドライン第4版(G4)」(注2)が公表され、企業に対して「マテリアルな項目」(企業が経済、環境、社会に与える著しいインパクトを反映する項目、ステークホルダーの評価や意思決定に対して実質的に影響を及ぼす項目)の特定と開示を求めると、当社は2014年3月、「環境」「次世代」「コミュニティ」という3つのテーマを中長期的な重点課題(マテリアリティ)と位置づけた(注3)

1.環境への取り組み

当社グループは、早い段階から環境問題を重要な経営課題の一つと認識し、「グループ環境方針」(2003年12月策定)に基づき、①環境負荷軽減、②環境リスク対応、③環境ビジネス、の3つを環境配慮行動の柱と位置づけ、計画、実践、評価、改善というPDCAサイクルを通じて計画的に環境活動を展開してきた。2011年10月には、三井住友銀行とSMBC日興証券が、「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」(通称:21世紀金融行動原則)の起草委員として参加・署名した(注4)

グループ環境方針

<基本理念>

当社グループは、「持続可能な社会」の実現を重要課題の一つであると認識し、地球環境保全および汚染の防止と企業活動との調和のため継続的な取り組みを行い、社会・経済に貢献します。

<グループ環境方針>

  • 地球環境の維持向上に貢献できる商品・情報・ソリューションの提供を通じてお客さまの環境問題への対応をご支援します。
  • 環境に関するリスクを認識し、当社及び社会全体の環境リスクの低減を図ります。
  • 省資源、省エネルギー、廃棄物の削減などの取り組みを通じ、社会的責任の履行を果たします。
  • 環境関連法令・規則等を遵守します。
  • 環境に関する情報を開示し、社内外との対話を通じて環境保全活動の継続的な改善を図ります。
  • 本方針の社員への徹底と社内教育に努めます。
  • 「環境経営」を積極的、かつ効果的に実践するために、各事業年度に目的・目標を設定し、それらの見直しを行い、取り組みの継続的な改善に努めます。
  • 本方針は、当社ホームページ等で公表し、外部からの要請があれば配付を行います。

環境負荷軽減

当社グループは、環境負荷軽減のため、電力使用量や可燃ゴミの削減、事務のペーパーレス等による業務効率化の推進、全従業員を対象とする環境教育等に取り組んだ。

三井住友銀行は、2011年3月の東日本大震災以降、節電に取り組み、2013年度には、「2020年度における電力使用原単位(電力使用量/延べ床面積)を2009年度比で10.5%減とする」との目標(注5)を設定した。具体的な取り組みとして、店舗の移転や設備の更新に際しては、太陽光集光装置やLED照明を活用した照明電力の削減、太陽光パネルや壁面緑化の使用、空調をはじめとする設備電力の削減等を進めた。

2015年6月に竣工した三井住友銀行東館でも、雨水貯留設備・太陽光発電設備の導入、屋上緑化の実施、人感センサーの導入、リサイクル材の採用に加え、全館LED照明化、外壁性能の向上等の施策を導入しており、竣工時における東京都の平均的な建物と比較し、年間CO2排出量を35%相当削減できる仕様とした。これらの環境対策により、三井住友銀行東館は、建築物を環境性能で評価・格付けするCASBEE(注6)評価の「Sランク」や、世界的な環境性能評価システムであるLEED-CI評価「Platinum」を取得した。また、大阪本店ビルにおいても、2015年5月に完了した大規模改修工事により、歴史的建造物としての魅力を残しつつ、外壁サッシの高性能化やLED照明の採用、太陽光パネルの設置などを通じて環境性能を格段に高めた。

環境リスク対応

三井住友銀行は、2006年1月に「エクエーター原則」(赤道原則)(注7)を採択して以降、大規模なプロジェクトファイナンスを実行する際には、当該プロジェクトの環境・社会への影響を評価・検討してきた。2013年6月に同原則の第3次改定版が発効し、適用範囲の拡大と評価基準の引き上げが行われると、行内手続を改定し、2013年10月より改定版エクエーター原則に基づいて「環境社会リスク」を評価する体制を整えた(注8)

環境ビジネス

当社グループは、環境ビジネスを「本業としてのビジネスを追求しつつ、地球環境の維持や改善に貢献するための取り組み」と位置づけて推進してきた。

たとえば、2005年度より、グループ横断的な「Eco-biz推進協議会」を定期的に開催し、地球環境の維持や改善に貢献できる先進的・効果的な商品・サービスの開発に注力してきた。また、2008年度より提供している「環境配慮評価融資/私募債」に加えて、2013年4月からは、「SMBCサステナビリティ評価融資/私募債」(注9)(2018年4月以降は「ESG/SDGs評価融資/私募債」(注10))の提供も開始した。さらに、太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギー関連プロジェクトにおいては、三井住友銀行による融資やSMBC信託銀行による発電設備や敷地の受託、三井住友ファイナンス&リースによる発電設備のリース等、グループ会社がそれぞれの強みを発揮するとともにグループ連携を強化した。

また、SMBCファイナンスサービスは、1991年より地球環境保護を支援する社会貢献型クレジットカード「地球にやさしいカード」を発行している。これは、カード会員の負担なく、SMBCファイナンスサービスが利用金額の0.5%を公益財団法人緑の地球防衛基金を通じて環境保護団体などに寄付する仕組み。「ごく普通に使うだけで、地球のために寄付できる」をコンセプトにスタートしたクレジットカード業界でも先駆的な取り組みで、2021年にカード発行30周年を迎えた。2021年2月末までの累計寄付金総額は約7億7,400万円に達した。

(画像)「地球にやさしいカード」
発行30周年を迎えたSMBCファイナンスサービスの「地球にやさしいカード」

海外においても、アジアを中心とする新興国における環境インフラ整備や再生可能エネルギー関連のプロジェクトファイナンスにも多数参画した。三井住友銀行は、2015年10月、民間邦銀として初めて5億ドルのグリーンボンド(注11)を発行し、調達した資金を内外の再生可能エネルギー関連のプロジェクトファイナンスに充当した(注12)

(写真)海原を背に並び立つ静岡県河津町の風力発電設備
三井住友銀行が支援したユーラス河津ウインドファーム(写真提供:株式会社ユーラスエナジーホールディングス)