2.海外におけるアセットマネジメント事業の強化へ

2019年4月、アセットマネジメント事業の国内基盤強化の総仕上げでもある三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問の合併が実現した。ほぼ同時期にSMBCグループとして、海外へのアセットマネジメント事業強化に一歩踏み出すための最終協議が進んでいた。

その協議とは英国独立系資産運用会社TT インターナショナル(TTI)の当社による買収であった。当社とTTIは2019年8月、当社による全事業取得で合意、2020年2月末には買収を完了した。TTI買収は、①三井住友DSアセットマネジメントをはじめとするSMBCグループの海外における運用力・プロダクトの強化や、②TTIのお客さまである欧米アジア各地域の年金投資家等へのアクセス獲得・強化にとどまらず、③インオーガニック戦略による海外アセットマネジメント業務拡大の橋頭堡としてTTIが機能することを展望したものであった。

当社はTTIの全事業取得完了直後の2020年3月末、米国資産運用会社アレス・マネジメント(Ares)の株式取得および業務提携について合意した。Aresはクレジット、プライベートエクイティ、不動産などのオルタナティブ資産に強みを持つ資産運用会社である。当社はこの出資を通じて、①Aresが組成する運用商品の国内投資家向け販売、②Aresが米国において展開するダイレクト・レンディング業務、③三井住友銀行の米国およびアジア地域のレバレッジドファイナンス業務において、多面的な業務協働を推進することを意図していた。

また、当社は2020年7月、英国資産運用会社アファーマティブ・インベストメント・マネジメント・パートナー(AIM)との間で資本業務提携に関する契約を締結した。AIM社は市場規模の拡大が著しい債券のインパクト投資(注23)に特化した資産運用会社で、ポートフォリオ運用のみならず、インパクト投資に関する認証ならびに報告書作成についても幅広い知見を有しており、発行体とのエンゲージメント活動に加え、投資家向けの環境、社会および財務的インパクトに関するレポーティング活動を積極的に推進している。資本業務提携を通じて、AIM社による①SMBCグループのESG/SDGs関連業務推進に向けたサポートおよび広範なアドバイスの提供、②SMBCグループ取引企業に対するESG/SDGs調達に関するアドバイスの提供(SMBC日興証券による対発行体向け情報提供)、③三井住友DSアセットマネジメントを通じた国内投資家向けESG/SDGsファンド商品の供給を行うこととした。

さらに、三井住友銀行は2021年5月、アジア・大洋州を中心に不動産アセットマネジメント事業を展開するARAアセットマネジメントに出資した。これは、低金利環境下における株式・債券からのオルタナティブ資産への資金シフトや、今後さらなる拡大が期待されるアジアの不動産・インフラ市場の成長を取り込むことを目的としたものであった。