(6)デジタル人材の育成

IT投資が増大し、情報システムへの要請が高まるなか、当社にとって、IT人材の育成は常に重要な課題であった。特に、情報システム関連部署およびユーザー部である業務部門のIT企画力強化、システム案件を企画からリリースまで管理するプロジェクト管理力の強化などに注力した。

具体的には、日本総合研究所の従業員が、当社IT企画部をはじめ三井住友銀行や三井住友カードに常駐したほか、SMBCグループ各社のIT企画要員を日本総合研究所や日本総研情報サービスへ出向・トレーニー派遣させるなど人材交流を実施した。また、各社システム部署と業務部門間の人材交流も積極的に行い、業務部門のIT企画力底上げを図るとともに、システム部署の業務知識向上に努めた。

一方、デジタル活用によるビジネスモデルの変革が課題となるなか、システム開発部署のみならず、SMBCグループで働く全ての社員に高いデジタルリテラシーが求められるようになった。そこで、当社と三井住友銀行、および日本総合研究所は、2016年4月にグループ全体のデジタルリテラシー向上に向けた研修組織として「SMFG ITユニバーシティ」(2019年4月より「デジタルユニバーシティ」)を共同で発足させた。

(画像)デジタルユニバーシティのパンフレットの表紙
デジタルユニバーシティのパンフレット

デジタルユニバーシティは、当初、グループ各社の本部従業員向けに、IT案件の企画・開発力強化に資する基礎/応用研修・高度専門研修や、外部セミナーの紹介等のプログラム提供から始め、その後対象を拡大。SMBCグループで提供する金融サービスのデジタル化はもちろん、取引先のDX支援や、取引先との共創を通じた新たなビジネスモデルの確立に向けて、全従業員向けにデジタルリテラシー向上に資する多様な研修プログラムを、集合研修・オンライン研修・eラーニング講座(eCampus)等を通じて提供している。

研修内容も、単にビッグデータ、AI、ブロックチェーン、セキュリティなどの知識を身に付けるだけでなく、SMBCグループにおける業務推進のポイントや社内データ利活用による企画・提案演習など、担当業務やスキルレベルに応じた育成プログラムを数多く用意しており、実務に根差したSMBCグループオリジナルの育成機会を提供している。

デジタルユニバーシティの講座・コンテンツ数は2021年3月時点で120講座、2020年度の年間延べ受講者数は約2万5,000人となり、SMBCグループ全体のデジタルリテラシー向上、IT企画力の底上げに大きく貢献している。

図表12-10 デジタルユニバーシティの年間延べ受講者数、講座・コンテンツ数は年々増加。2020年度はコロナウイルス感染症の影響もあり、さらに増加した
(図表12-10)デジタルユニバーシティの年間受講者数推移