(コラム)

次世代勘定系システムの構築

2020年11月、三井住友銀行、日本総合研究所、日本総研情報サービスは、お客さまへのサービス価値向上と業務プロセスのデジタル化を一層促進するべく、次世代勘定系システムの構築に着手することを発表した。

三井住友銀行では、1994年に第4次オンライン化により勘定系システムを全面刷新して以降、定期的にレベルアップを実施してきた。しかしながら、決済の多様化やグローバル化の進展、国や異業種企業との相互連携など業務環境の変化に対応し、今後、新たなビジネスモデルの確立、業務プロセスの変革を実施していくには、安定的かつ将来の変化に柔軟に対応可能な勘定系システムの構築が不可欠である。そこで、次世代勘定系システムの構築を、約2万人月・約500億円の「ヒトとカネ」を投資して、2021年度から順次実施することとした。

次世代勘定系システムでは、①先進技術を活用したオープン系プラットフォームの構築と勘定系API(注16)の整備、②サービスレベルの大幅な向上と業務プロセスの抜本的改革、③さらなる安定性と性能の向上、の3点の実現を目指している。

①については、オープン系プラットフォーム上に、勘定元帳の全量をリアルタイムにコピーしたデータベースを構築することで、新機能・新商品を迅速かつ低コストで開発可能とするほか、データベースの分析による情報産業化の加速、勘定系API整備による国・自治体や異業種企業等との協業を実現するものである。

②については、オンラインサービスの無停止化やグローバル決済の取扱時間の拡大・時限延長の実現、SMBCグループ一体での包括的な顧客管理の実現など、お客さまの利便性向上と行内業務プロセスの抜本的な改革に資するものである。

③については、勘定系システム本体を日本電気の次世代メインフレームで構築することで、安全性や効率性をさらに強化。キャッシュレス時代でも安心・安全に利用できる十分な処理能力を確保しつつ、省電力など環境にも配慮した構成となっている。

三井住友銀行では、こうした取り組みにより、お客さまへの新たなサービス価値の提供と中長期における持続的かつ効率的なシステム開発・運用の実現を目指している。

図表12-6 三井住友銀行が2021年度から開発に着手した次世代勘定系システムのイメージ図
(図表12-6)次世代勘定系システムのイメージ