(4)資本・資産効率を重視した事業の再編

中期経営計画(2017~2019年度)期間中の実績を振り返ると、2017年4月に導入した事業部門制・CxO制の下、グループ各社間の協働やグループ横断的な取り組みが一段と活発化し、役職員のグループ意識も高まるなど、グループ経営が一段と進化した。

グループ戦略の観点では、競争優位性とビジネスの成長性に基づく事業ポートフォリオの4つの分類に沿って、事業再編を通じたグループ体制の最適化と資本・資産効率の向上が進められた。

具体的にはまず、「Transform」の象限にあった関西地銀ビジネスや「Enhance」の象限にあったリース事業については、資本効率・資産効率を追求するため、非連結化を通じてリスクアセットを削減した。一方で、成長性はあるものの、グループの競争優位性が高くない「Build」の象限に位置するアセットマネジメントビジネスに関しては、三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問との合併に加え、英国TT Internationalの買収や米国Ares Management Corporationへの出資等、本格的な海外展開のために経営資源を投入した。また、競争優位性も成長性もある「Grow」の象限にある証券ビジネスやカードビジネスにおいては、SMBC日興証券とSMBCフレンド証券の合併や三井住友カードの完全子会社化等を実施した。

図表2-8 Enhance、Grow、Build、 Transformの各象限におけるグループ再編事例
(図表2-8)グループ再編による資本・資産効率の向上

この間の当社の業績をみると、2017年度については、連結粗利益が期初計画を上回るとともに、クレジットコストが大きく減少したことから、連結当期純利益が期初の計画を1,000億円強上回るという良好なスタートを切った。その後は、海外金利の低下局面をとらえた債券売却益の増加などがあったものの、内外における貸出利ざやの縮小に加えて、三井住友ファイナンス&リースの持分法適用会社化の影響や、新型コロナウイルス感染症の影響による役務収益の減少、与信関係費用や株式の減損の増加が生じたことから、連結当期純利益は2019年度にかけて緩やかな減少傾向をたどった。それでも2019年度の連結当期純利益は7,039億円と期初目標の7,000億円を達成し、中期経営計画の3年間をしっかりと締めくくることができた。

最終的に、中期経営計画において掲げた3つの財務目標のうち、ROEおよび普通株式等Tier1比率については目標を達成した。とりわけ、2020年3月末の普通株式等Tier1比率(バーゼルⅢ最終化ベース・除くその他有価証券評価差額金)は9.8%と、グループ再編による事業・アセットポートフォリオの見直し(注12)の効果もあり、10%程度という目標を概ね達成することができた。しかしながら、経費率目標については、グループ会社の再編や2020年入り後の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、2019年度の連結業務粗利益が落ち込んだため、未達となった。

図表2-9 中期経営計画財務目標と2019年度実績
(図表2-9)中期経営計画財務目標と2019年度実績