5.人材育成とグループ人材交流の促進

近年は、金融業務の高度化や働き方に対する価値観の多様化を背景に、これまでの会社主導の画一的な集合研修による受け身の人材育成ではなく、各職場でのOJT(On-the -Job-Training)や上司・部下のコミュニケーションを通じた、従業員一人ひとりの意欲やスキルの現状に応じた職場主導の人材育成の重要性が高まっている。そこで当社は、従業員の自律的な研鑽をサポートする人材育成への転換を進めた。

たとえば、三井住友銀行は2020年4月、人材育成における取り組み指針として、経営理念、Five Valuesに基づき、「人材育成ビジョン」を策定した。人材育成ビジョンでは、人事部主導の育成体系から、自律的な課題設定に基づく学びを支える「現場主導の自律的成長モデル」にシフトし、年次や役職等にかかわらず、自らの目標に積極的に挑戦する従業員を支援していく方針を明確化した。

図表13-5 飽くなき成長意欲を持つプロフェッショナルな人材が、自律的に課題を設定し、心置きなく挑戦できる環境を整える
(図表13-5)人材育成ビジョン

自律的成長をサポートするための取り組みとしては、2019年4月に、SMBCグループ共通の人材育成プラットフォームとして、インターネット上に総合学習ポータルサイト「SMBC Group eCampus」を開設した。eラーニングやビデオライブラリの視聴など、キャリアアップのための各種ツールに加えて、自身の業務や習得したいスキルに合わせて選択できる募集型の研修も数多く実施されている。これにより、いつでもどこでも、個人のニーズやペースに合わせた多様な学べる機会を提供できるようになった。2020年に新型コロナウイルス感染症が拡大して集合研修の開催が困難になると、eCampusやWeb会議システムを用いた研修を強化した。その結果として、研修受講者は従来よりも大幅に増加している。

また、三井住友銀行は、若手のOJT(On-the-Job-Training)に関し、2020年4月、入行1~3年目の総合職・総合職(リテールコース)の従業員を対象とする「SMBC Be a Challenger Award」と称する個人表彰制度を新設した。これは、単位制などを通じた自己研鑽の状況、およびそれをどのように活かして主体的行動につなげたか、どのようなチャレンジをしたか、お客さまや所属部店にどのような貢献をしたかを表彰する制度で、これを通じて若手従業員の自己研鑽とその実務への活用を促している。

そのほか、当社は2017年11月、グループ横断で人材育成を担う組織として「SMFG人事部研修所」を設置した。グループを俯瞰する視野の涵養や一体感醸成を目的として、グループ横断的なビジネスフォーラムや合同研修、夜間セミナーや募集研修を開催している。さらに経営幹部候補育成を目的とした、大学院との共同プログラムにも取り組んでいる。

図表13-6 各層に応じたSMBCグループ合同研修プログラム
(図表13-6)SMBCグループ合同研修