(2)3つの基本方針
中長期ビジョンの達成に向けて、中期経営計画(2020~2022年度)は、 ①Transformation:既存ビジネスのモデル改革、②Growth:新たなビジネス領域への挑戦、③Quality:あらゆる面での質の向上、の3つを基本方針として掲げた。

TransformationとGrowthは事業戦略に関する方針であり、まず、Transformationとして、厳しい競争環境を勝ち抜くための既存ビジネスのモデル改革とコスト構造改革に徹底的に取り組むとした。たとえば、経費コントロールでは、国内ビジネスモデル改革、リテール店舗改革、グループベースの業務集約・共通化によって、前中期経営計画(2017~2019年度)の倍に相当する1,000億円のコスト削減を目指すほか、リスクアセット運営では、低採算アセットや政策保有株式の削減を進めていくことを明らかにした。
次に、Growthとして、アセットマネジメントビジネスや決済ビジネスをはじめとするアセットライトな事業を強化するほか、中長期的に市場の拡大が見込めるアジアでのフランチャイズ拡大、デジタル技術やデータの利活用を通じた新たなソリューションビジネスの展開など、中長期的な成長が見込まれる事業領域に対して、経営資源を果断に投入することとした。とりわけ、資本・資産効率の高い事業・ポートフォリオや、中長期的な成長に向けたビジネスプラットフォームについては、インオーガニック戦略も活用し、積極的に強化することとした。また、IT投資においても、デジタル案件やキャッシュレスなど、将来有望と判断した事業に対して機動的に投資できるようにした。
将来の成長に対する積極的な資源投入が可能になった背景には、資本蓄積の途上にあった前中期経営計画とは異なり、新中期経営計画では、普通株式等Tier1比率が収益力の強化やグループ資本構成の見直し等を背景に目標とする10%程度に到達し、資本をはじめとした経営資源の余力を活用できるステージに入ったという事情があった。
そのうえで、業務面における7つの重点戦略を、上述のTransformationとGrowthとの関係で次のように位置づけた。

基本方針の3つ目、「Quality」は経営基盤に関するもので、あらゆる面において質の向上を進めていくとした。とりわけ、サステナビリティ経営の加速や従業員の能力発揮に向けた人材マネジメント、健全なリスクテイク促進に向けたリスクアペタイト・フレームワークの高度化等を進め、グローバル金融グループとして、ステークホルダーの期待に応えていくとした。
-
第1章不確実性が増す外部環境
-
第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
-
第3章「カラを、破ろう。」
-
第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
-
第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
-
第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
-
第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
-
第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
-
第9章アセットマネジメントビジネスの強化
-
第10章デジタル戦略の本格展開
-
第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
-
第12章業務インフラの高度化
-
第13章グループ経営を支える人事戦略
-
第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
-
第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに