5.大口富裕層ビジネスにおけるグループ一体運営体制の構築

(1)大口富裕層向け資産運用ビジネスへの取り組み

大口富裕層向けビジネスは、SMBCグループにとって重点分野の一つである。三井住友銀行では、2007年に、個人部門と法人部門・企業金融部門にまたがる組織としてプライベート・アドバイザリー本部を設置。法人オーナーに対して、個人取引と法人取引それぞれを担当する部署が密接に連携しながら、シームレスなサービスを提供してきた。2014年の4月には、プライベート・アドバイザリー部内にプライベートバンキング企画室を設置し、同室が、大口富裕層向け取引についてグループ一体での企画・推進を行っていくとともに、三井住友銀行、SMBC信託銀行、SMBC日興証券それぞれが相互に連携しながら対応を強化してきた。

大口富裕層向け資産運用ビジネスにおける代表的な取組事例が、英国大手金融機関のバークレイズ・バンク(Barclays Bank)と三井住友銀行、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)の3社で実施した協働事業、通称「バークレイズJV」である。2010年4月、バークレイズJVを推進するための組織として、日興コーディアル証券内にSMBCバークレイズ・ウェルス部を設置。大口富裕層を中心に三井住友銀行のお客さまを同部に紹介する形で、大口富裕層向けビジネスを着実に拡大させていった。

バークレイズJVについては、バークレイズ・バンクがアジアの富裕層ビジネスから撤退したことを機に、2017年1月に業務協働のスキーム見直しについて発表した。具体的には、2017年4月から、三井住友銀行とSMBC日興証券が協働で事業を行い、バークレイズ・バンクが商品・サービスを提供する形に変更した。これに伴い、SMBCバークレイズ・ウェルス部はSMBCウェルスマネジメント部へと衣替えした。

また、SMBC信託銀行においても、ソシエテジェネラル信託銀行やシティバンク銀行リテールバンク事業から引き継いだお客さまとの取引拡充に努めていた。グループ連携の取り組みとしては、三井住友銀行とのお客さまの相互紹介(2014年6月)やSMBC信託銀行における有価証券担保ローンの取扱開始(2015年1月)(注27)、三井住友銀行における信託ソリューションの代理店業務開始(注28)などを進めたほか、SMBC日興証券とSMBC信託銀行の間でも相互にお客さまを紹介し、お客さまニーズに応えている。