(4)コンダクトリスク管理の強化

企業が社会と共生し、持続的に発展していくためには、コンプライアンスの確保を含め、適切なリスク管理が不可欠である。とりわけ、金融機関においては、その公共的使命と社会的責任の重さから、一般事業会社以上に、コンプライアンス・リスク管理を重視する必要がある。「コンプライアンス」の意味合いは、時代の変遷とともに常に変化しており、法令や内部規程を遵守しているだけでは必ずしも十分とは言えない。社会規範はもとより、当社に対する期待や要請にしっかりと応えることができなければ、当社の信用や評判を著しく悪化させる恐れがある。たとえば、必ずしも法規制違反とは言えない利益相反の発生や不適切なサービスの提供といった事象が挙げられる。

そこで、SMBCグループは、コンダクトリスクを「法令や社会規範に反する行為等により、顧客保護、市場の健全性、公正な競争、公共の利益及びSMBCグループのステークホルダーに悪影響を及ぼすリスク」と定義し、2017年度より明示的なコンダクトリスクの管理を開始した。2020年4月には、基本規程として「コンダクトリスク管理規則」を制定し、コンダクトリスク管理に関する基本的考え方を明確化するとともに、管理体制や管理の体系・手法・ルール等を定めた。具体的には、リスク統括部とコンプライアンス部の統括の下、事業部門(一線)は所管業務に関わるリスク・オーナーとして業務に内在するコンダクトリスクの特定・評価、低減・制御、モニタリングを主体的・自律的に行う一方、リスク管理部署(二線)が事業部門のコンダクトリスク管理の施策を支援・牽制、モニタリングする体制としている。