(4)グループ連携の強化と運用の高度化に向けて

当社は2021年4月、グループの重点戦略領域としてアセットマネジメント事業を強化し、グローバルに存在感のあるアセットマネジメント事業の確立を目指し、「アセットマネジメント事業推進会議」を設置した(委員長:当社社長)。同会議は、当社およびグループ運用会社と販売会社の間で、商品戦略の基本方針や販売戦略などをすり合わせ、資産運用ビジネスを最適化していくことを目的とした。同時に当社企画部および三井住友銀行経営企画部の部内室として「アセットマネジメント事業室」を新設し、グループのアセットマネジメント事業に関する戦略企画強化を図ることとした。

三井住友DSアセットマネジメントにおいても、運用の高度化に向けた取り組みを継続的に実施した。たとえば、2019年秋よりNTTドコモと共同で、同社のオルタナティブデータ(注19)を活用した新たな運用モデルの開発と協業に関するプロジェクトを実施した。新たな運用モデルの有効性が確認されたことから、2020年11月、NTTドコモと同社が保有するデータの投資信託の運用への活用等に関する業務提携契約を締結し、2020年12月、実際にNTTドコモの「モバイル空間統計」(注20)を活用した国内初の投資信託「データ戦略分散ファンド(愛称:dインパクト)」を設定した。

また、三井住友DSアセットマネジメントの子会社である日興グローバルラップと協業してAIモデルを使って資産配分を決定する深層学習活用ファンドの開発を行っているほか、データドリブン社会における運用のあり方について2016年より国立情報学研究所(NII)(注21)と、2017年より神戸大学、2018年より慶應義塾大学と共同研究を行っている。

2020年12月には、インフラデット案件への投資を行うインフラデットファンド「SMDAM PF Investment Trust–SMDAM Infrastructure Debt Fund I」を組成し、本格的な運用を開始した。本ファンドは、国内投資家の資産運用ニーズと海外インフラ事業の資金調達ニーズとをつなぐことで、投資家にとって魅力的な投資機会を提供するとともに、世界各国の持続的な発展に不可欠な各種インフラ事業への資金を供給する役割を持つ(注22)。三井住友銀行は三井住友DSアセットマネジメントに対し、海外プロジェクトファイナンスに関する知見・ノウハウを提供する。

さらに三井住友DSアセットマネジメントでは、アジアが持つ圧倒的な可能性に注目し、早くからアジアの運用に取り組んできており、香港を中心に、上海、東京、シンガポールの4拠点に専門スタッフを配置し、グローバルな大手運用会社とそん色のない運用体制を構築した。また、後述する海外のアセットマネジメント会社とも商品・人員を含めた連携を通じて、日本における商品提供力の強化を図っている。

そのほか、三井住友銀行は2020年11月、三菱商事の子会社であるエムシー投資管理機構より、エー・アイ・キャピタルの株式の 19.9%を取得し、出資比率を 60.0%に引き上げ連結子会社とした。エー・アイ・キャピタル は、プライベートエクイティ(PE)ファンド投資に特化した投資運用・助言業者で、同分野において国内有数の業務基盤を有する。今後、PE 分野における三井住友 DS アセットマネジメントを中心としたグループ各社との連携強化や、グループ内のリソースの有効活用等を推進し、資産運用事業におけるオルタナティブ投資分野強化に取り組むとしている。