(3)事務プロセスを変える

「事務プロセスを変える」とは、行内事務手続の簡素化・デジタル化等により、シンプルで効率的な事務運営を実現することである。具体的には、後方事務の集約や事務処理の内部プロセスの合理化、商品・サービスの削減などを実施した。

中でも後方事務の集約は、大規模かつ抜本的な改革であった。以前から、一部の事務をセンター等に集約していたものの、大半の事務は営業店において手続きを行っていた。このうち、受付・点検等を除く後方事務の大半をバックオフィスに集約することにより店舗のスペースを削減し、事務処理を効率化しようとする施策が後方事務の集約である。

図表5-7 後方事務集約後の基本的な事務処理の流れについて説明した図
(図表5-7)後方事務集約後の基本的な事務処理の流れ

まず2016年10月に、銀行の営業店から少頻度・高難度事務を請け負っていたSMBCセンターサービス(現SMBCオペレーションサービス)のHUBセンターを銀行組織に変え、後方事務を処理する事務サービス部とした。

実際の事務集約にあたっては1拠点ずつ移行日を決め、2017年4月から3年間かけて、地方店を除く全営業店の後方事務を集約した。各店の集約実施前には、本部のサポートチームが営業店を訪問して勉強会や移行シミュレーションを実施するとともに、移行可能な事務量を推定し、事務量に応じた人員を事務サービス部に異動させた。また円滑に集約が進むように、「後方事務集約体制 運営要領」や「事務サービス部集約事務一覧」を策定。集約が一定程度進捗した2018年5月には「標準事務手順マニュアル」を策定し、営業店と事務サービス部の役割分担等を明確化した。

後方事務を営業店から事務サービス部に移しただけでは大きな事務効率化にはつながらない。そこで、当初27拠点あった事務サービス部を、東陽町の大規模拠点設置等により10拠点に集約し、併せて事務手続の見直しを行った。また事務サービス部の組織は、営業店との連携を重視して当初は拠点別組織としていたが、2018年10月からは預金・為替など機能別組織に再編し効率化を進めた。

店頭事務の効率化を進める一方で、法人のお客さまとの取引についてもデジタル化を推進した。2015年5月に取扱いを開始した「Web借越サービス」(注14)を皮切りに、2016年2月には証書貸付の金銭消費貸借契約証書や保証人の保証書等の契約を電子化した「電子契約サービス」を銀行界で初めて導入。併せて、行内事務処理用の「融資事務管理システム」をリリースし、電子契約によりペーパーレスで契約された債権書類などを、システム上で点検・管理できるようにした。2018年2月には紙ベースで徴求した債権書類等についてもイメージ処理によりシステム上で点検・管理するよう一本化した。

電子契約サービスは、事務処理のスピードアップ、不備の削減、ペーパーレスなど融資事務の手続きおよび管理の効率化に貢献するとともに、お客さまの利便性向上にも資するものであった。

このほか、後方事務集約に伴う施策、事務処理の内部プロセスの合理化、商品・サービスの削減策として、図表5-8のような簡素化・効率化を実施した。

図表5-8 事務の簡素化・効率化等施策の事例を示した一覧表
(図表5-8)事務の簡素化・効率化等施策の例