2.持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組み
SMBCグループは、2017年度以降も引き続き「環境」「次世代」「コミュニティ」を中長期的に取り組む重点課題と位置づけ、それらに対する様々な取り組みを実施した。
(1)環境に対する取り組み
環境については、引き続き環境ビジネスの推進、環境リスクへの対応、環境負荷軽減への取り組みの3つを環境活動の柱として取り組んだ(注6)。
環境ビジネスの推進
SMBCグループ各社は、それぞれの業態に応じ、環境配慮評価融資/私募債や再生可能エネルギー関連のリースやファイナンス、環境関連債券の引受・販売等の環境ビジネスに取り組んでいる。また、グリーンボンド(注7)の発行等を通じて、環境ビジネスの推進のみならず、環境リスクへの対応、環境負荷軽減にも貢献した(図表14-3)。2018年12 月に三井住友銀行が発行したグリーンボンドは、グリーンボンドの投資家層の多様化に貢献すべく、国内民間銀行として初めて個人投資家向けに外貨建(米ドルおよび豪ドル)で発行したもので、超低金利環境下における投資ニーズにも合致して大きな反響を得た。

2021年4月には、三井住友銀行が日本で初めて「グリーン預金」の取扱いを開始した。グリーン預金とは、お客さまの預金を環境分野、とりわけ再生可能エネルギー等の「グリーン適格プロジェクト」(注8)に対する融資に充当する米ドル建定期預金。運用状況については第三者機関より定期的に評価を取得し公表することで、グリーンであることの透明性を確保している。
また、社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)に早くから取り組んできたSMBC日興証券(注9)では、ESG、SDGs関連ファンドを取り扱うとともに、グリーンボンドやソーシャルボンド等のSDGs債の取扱いを通じて、環境・社会配慮型企業の活動を金融面から支援している。2018年9月には専門部署として「SDGsファイナンス室」を設置し、様々な企業や団体に対してグリーンボンド等の発行支援を行っている。これらの取り組みが評価され、SMBC日興証券は2020年2月、環境省主催の第1回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の金融サービス部門において銀賞を受賞した。
三井住友ファイナンス&リースは、再生可能エネルギー発電事業に対する設備リースやプロジェクトファイナンスにとどまらず、2019年度より、同分野で培ってきた多くの知見をもとに、100%子会社SMFLみらいパートナーズを通じて稼働済み太陽光発電事業を取得したり、太陽光発電事業に共同出資するなどして、再生可能エネルギー発電事業の運営にも乗り出している。
環境リスクへの対応
当社は2017年12月、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言(注10)に対する賛同を表明し、2019年5月に気候変動が当社の財務に及ぼす影響を公表するなど、気候関連の情報開示の充実を図った。
また、近年、環境問題や人権侵害等の社会問題に起因する反対運動が大規模な資源開発やインフラ・プロジェクトに重大な影響を与える事例が増えるとともに、金融機関に対する環境社会配慮の要請が一層高まった。そこで三井住友銀行は、環境・社会面で大きな負の影響をもたらす可能性があるセクターについて融資方針の見直しを行った。具体的には、環境影響や人権等の社会的影響に鑑み、2018年6月にクレジットポリシーを改定して、石炭火力発電所、パーム油農園開発および森林伐採に関する融資方針を厳格化した。2020年4月には、当社がより幅広いセクターに対するより厳格な融資方針を公表し(注11)、三井住友銀行をはじめとする主なグループ会社において、その適用を開始した。
環境負荷軽減への取り組み
環境負荷軽減としては、引き続き省エネルギー・省資源、廃棄物のリサイクル促進に努めた。三井住友銀行では、2019年度に東館で使用する電力の一部を再生可能エネルギーに切り替えた。ペーパーレス化についても、お客さまへのサービス向上と環境負荷軽減を目的に、最先端のデジタル技術を活用したペーパーレス店舗の実現に取り組んだ。具体的には、2017年4月に「GINZA SIX」内にリニューアルオープンした銀座支店を皮切りとして、全支店で「店頭取引ナビゲーション」「電子サイン」「電子印鑑」を活用した店頭サービスのデジタル化を実現した(注12)。また、本店ビル内にオフィス製紙機「ペーパーラボ」を導入し、本部の不要文書の一部を新たな紙として再生することとした。さらに、「SMBC環境プログラムC・C・C富良野自然塾」(注13)への協賛も2006年より継続的に実施している。
三井住友カードも2020年10月、WEB明細の推進(注14)に伴う収益の一部を活用して「三井住友カードの森」(注15)を通じた環境保全活動を開始した。これは、一般社団法人more treesと連携して、定期的に植林や間伐を実施して健全な森林を育てる活動で、三井住友カードの社員も森林の整備・保全活動に参加している。
また、三井住友ファイナンス&リースでは、2019年4月、各種のリサイクル事業を行うアビヅとSMFLみらいパートナーズの合弁で、「株式会社SMART」を設立した。同社は、プラントの解体工事や設備の撤去、不要となった機械や設備の再販、再資源化までをワンストップで提供し、循環型社会の実現への貢献を通じ、環境負荷低減に努めている。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに