5.個人/リテールビジネスを支えるインフラ

(1)業務効率化・生産性向上への取り組み

トップライン収益が伸び悩むなか、ITを活用した業務・事務の改善・効率化や、リスクに見合った形での業務フロー・販売ルールの見直しなどによる生産性の向上は、構造改革委員会(注35)においても重要施策の一つとなっていた。

その中で効果の大きかった施策の一つが、2015年6月に実施した営業用タブレット端末の導入である(注36)。セキュリティの観点から、当初は運用や税務に関する情報提供コンテンツ中心とし、お客さま対応力強化や事前準備の負担軽減といった目的で使用した。その後、徐々に機能拡大を図り、「ご提案書」の作成・提示や電子約定なども可能となり、事務負担の軽減や生産性向上、ペーパーレスの点でも大きく寄与することとなった。

2015年3月には、SFA(Sales Force Automation、通称:営業支援システム)を導入した。これは、営業店における計数計画・実績管理、お客さまの属性データ(個人MCIF(注37))、担当者のスケジュール管理、営業日誌など、イントラネット上のシステムや表計算ソフト(Excel等)により別々に管理していた営業支援ツールを一本化したものである。各データを自動連携させ、エリアや支店など部店単位で集計する機能を搭載したことで、重複入力や集計作業、本部宛て報告等の負担が軽減され、お客さまとの面談など営業活動に注力できるようになった。

また店頭における営業用端末「MCステーション」を進化させた新端末「SMBCステーション」を導入し、2015年8月から順次入れ替えを行った。新端末は、従来のデスクトップ型からタブレット型に変更。CCナビ(注38)との連携や、ローカウンター業務(キャッシュカードの喪失・再発行手続、SMBCデビットの申込受付ほか)などの機能を順次追加し、お客さまの利便性向上と同時に、担当者の生産性も改善させた。

(写真)支店のブースで、タッチパネル式のSMBCステーションを使ってお客さまと相談する三井住友銀行の従業員
タッチパネル式のSMBCステーション

このほか、イントラネット内への「コンサルティングサポートページ」の設置(20142月、「運用商品サポートページ」を刷新し機能拡充)、投資信託窓販システムの更改(20156月)(注39)、イントラネットにおけるリテール部門のポータルサイト「個人ポータル」とSFAを統合した「リテールポータル」の新設(20177月)、個人MCIFのリニューアル(20198月)などにより、業務の効率化・生産性の向上を図った。