3. 大企業ビジネスにおけるビジネスモデルの進化
(1)大企業ビジネスへの組織対応
日系および非日系大企業取引において、お客さまのビジネスや組織形態がグローバル化するに伴い、お客さまの財務・経営ニーズに合致するソリューション提供力の重要度が増した。同時に、2011~2013年度の中期経営計画の下で海外アセットは急増し、2014年度よりスタートした次の中期経営計画では、非アセットビジネスにも力点が置かれた。当社は、お客さまのニーズに複合的に応えるアプローチを「クライアントフォーカス戦略」と称し、各地域における組織編成も含め、注力した。
2010年代以降、日本企業の海外進出が加速するのに伴って、日本本社もしくは地域統括会社主導によるグローバル財務戦略の強化や海外も含めた事業再編が一段と進展した。また、海外における設備投資や企業買収など、日系企業の大型投資もますます増加する傾向にあった。三井住友銀行は、2015年4月より内外一体運営の試行を始め、結果として内外一体運営が企業のお客さまに対する提案活動の活発化につながったことから、2016年度からは対象先を拡大し、既存の「グローバルRM(GRM)制度(注17)」と統合した「新GRM制度」として、ホールセール部門のグローバルコーポレートバンキング(GCB)本部が主体となって、内外一体運営を進めることとした。
非日系企業取引においては、2015年4月には、米州本部に非日系案件の新規業務開発等を行う「米州ファイナンス戦略部」を設置したほか、総合的な金融機関取引を管理・推進すべく、「米州金融法人営業部」を設置した。2016年4月には、グローバルに活動する金融機関・機関投資家のお客さまへの対応力を強化する目的で「グローバル金融法人部」を設置し、同部がこれらのお客さまとのビジネスを地域横断的に推進する体制とした。
また、欧米多国籍企業(MNC:Multi-National Corporation)とのアジア関連取引の強化を図るため、2015年4月、多くの欧米MNCがアジア統括会社を置くシンガポールに「欧米MNCチーム(アジア)」を設置したうえ、業務加速のため、欧州・米州営業第二部からRM(Relationship Manager)を派遣職員として配属した。2017年4月には、アジア地域の多国籍企業のニーズへの対応力を一層強化する目的で、アジア・大洋州地域(APAC)に地域横断型のマトリクス組織「MNCアジア営業部」を設置し、同部を中心にグローバルな連携体制を構築し、多国籍企業のお客さまのアジアにおけるビジネス拡大を積極的に支援していくこととした。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに