(2)4つの経営目標

当社が2014年4月にスタートさせた中期経営計画(2014~2016年度)は、計画期間中になすべき経営目標として、次の4点を掲げた。

内外主要事業におけるお客さま起点でのビジネスモデル改革

多様化・高度化するお客さまのニーズへの対応力を高めるために、顧客セグメンテーションの見直しとそれに対応した戦略・ビジネスモデルの策定、グループ全体最適の観点での資源再配分を、既存の組織体制にとらわれることなくスピーディーに実行し、内外共により強固なフランチャイズを構築するとした。具体的なビジネスモデル改革として、以下の7つを掲げた。

  • 大企業のお客さまに対する独自のG-CIB(Global Corporate and Investment Banking)モデルの構築
  • お客さまとの接点の拡大による中堅・中小企業ビジネスの一層の強化
  • 新たな顧客セグメントのもとでの個人のお客さま向けビジネスモデルの構築
  • コンシューマーファイナンス、クレジットカードにおけるグループシナジーの最大化
  • お客さまのニーズへの対応力向上、資産効率の改善による海外ビジネスの進化
  • 投資家ビジネスの確立
  • グループ一体となったIT・ネット、決済ビジネスの推進

これらの重要テーマに関し、部門横断的な取り組みを推進するため、三井住友銀行は2014年度、部門を越えて関係部・関連各社が参加する「クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)(注15)」を設置した。具体的には、後述する「アジア戦略CFT」のほか、「日本成長戦略CFT」「リテール戦略CFT」「投資家ビジネスCFT」「IT・ネットビジネス戦略CFT」を設置した。

アジア・セントリックの実現に向けたプラットフォームの構築と成長の捕捉

10年後を展望したビジョン「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」の実現に向け、アジアビジネス戦略をグループ全体の最重要戦略と位置づけ、人材・システムインフラ等の経営資源を優先的に投入し、着実にアジアにおけるビジネスプラットフォームを構築していくとした。三井住友銀行では2014年度に「アジア戦略CFT」を立ち上げ、アジアにおいてフルラインの商業銀行業務に取り組み、第2、第3のSMBCグループを展開する「マルチフランチャイズ戦略」の加速などを通じ、多面的な成長を実現し、アジアにおける当社グループの存在感を高めていく、とした。

健全性・収益性を維持しつつ、トップライン収益の持続的成長を実現

これまで築いてきた十分な「健全性」と高い「収益性」にこだわりつつ、ビジネスモデル改革や成長分野への資源投入を通じて、今後はより「成長」すなわち、トップライン収益に重点を置いた運営を進めていくこととした。

そのうえで、2016年度の財務目標として、①「健全性」については、十分な資本水準確保の観点から「普通株式等Tier1比率(バーゼルⅢ完全実施基準(注16))で10%程度」、②「収益性」については、コスト・リターンの観点から「連結経費率50%台半ば」、リスク・リターンの観点から「リスクアセット対比の連結当期純利益率(RORA)1%程度」、資本効率の観点から「連結ROE10%程度」、③「成長性」については、「連結粗利益成長率+15%程度(2013年度比成長率)」という5項目を掲げた。グループ経営の強化を踏まえ、全て当社連結ベースの目標として設定した。また、普通株式等Tier1比率10%程度という目標は、規制環境を踏まえつつ、成長投資を実施し、株主還元を行い、かつ一定の経営のダウンサイドシナリオが生じたとしても、健全経営確保の観点から維持したい水準として設定した。

次世代の成長を支える経営インフラの高度化

当社グループのビジネスが、グローバルに広がるなか、ビジネスの成長を支える経営基盤の強化を進めることとした。具体的には、コーポレートガバナンスの充実やリスク管理のさらなる高度化、マネー・ローンダリング対策をはじめとするコンプライアンス態勢の一層の整備を進めることとした。また、人材の多様性そのものを競争力の源泉にしていく取り組みとして、三井住友銀行では、2014年5月に頭取を委員長とする「ダイバーシティ推進委員会」を新設し、全行的な取り組みを強化した(注17)。さらに女性の活躍推進に向けて、女性管理職比率(2013年度末時点で10.5%)を2020年度末に20%とする目標を設定し公表した。