4.住宅ローンビジネスモデル改革

少子高齢化の進展により住宅需要、ひいては住宅ローン需要は減少の一途をたどっている。また、インターネット専業銀行の参入などにより金利競争も激化しており、住宅ローンビジネスは残高減少・収益率低下という厳しい環境に置かれている。しかしながら、住宅ローンはお客さまとの取引が長期間にわたり、ライフステージごとのお客さまニーズに対応することで取引の複合化を図ることができる商品である。三井住友銀行では、住宅ローンを資産形成層向けビジネスの中核商品と位置づけ、商品性の見直しや利便性向上等によりお客さま拡大に努めるとともに、業務の効率化など採算改善を進めることで、同ビジネスの安定的な推進を図っている。

(1)お客さまニーズへの対応

この10年間において、さらなるお客さまニーズに対応するために取扱いを開始した主な商品は図表5-11の通りである。

図表5-11 多様なお客さまニーズにお応えする、三井住友銀行の住宅ローンの新商品
(図表5-11)多様なお客さまニーズに対応する住宅ローンの新商品

また、結婚に対する意識の多様化を受け、事実婚・同性婚の人が連帯債務者となる案件への対応を開始したり、在留外国人の増加を受けて在留期間など与信基準を緩和するなど(いずれも2020年3月実施)、様々なニーズに応えられるよう見直しを行った。

このほか、住宅ローン取り組み時に専用のカードローンをセットした「ライフイベント応援パック(専用カードローン付住宅ローン)」(2013年2月)や、ライフイベント等による一時的な収入減少や支出増加に応じて返済額を軽減する「ライフイベントサポートプラン」(2020年8月)の取扱開始など、お客さまの利便性向上に努めている。

商品の機能拡充や利便性の向上によりお客さまの拡大を図る一方で、業務効率化によるローコストオペレーションも重要な課題だった。

住宅販売業者・住宅開発業者経由の取引については、三井住友銀行の子会社・SMBCローンアドバイザーの営業拠点であるローンプラザおよび住宅ローン開発センター(以下、ローンプラザ等)を通じて取り扱ってきた。お客さまはローンプラザ等を経由して銀行との取引を開始していたが、ローンプラザ等と支店の連携を強化し、業務を効率的に進めていくために、三井住友銀行は2014年7月にSMBCローンアドバイザーを吸収合併した。

また、2016年4月に本格導入した「スピードアンサー15(フィフティーン)」は、約15分で自動審査・自動回答する住宅関連業者向けサービスで、これにより業者の取り込みを図るとともに、申込データを銀行内の住宅ローン自動審査システム(JJS)と連携させることでデータ入力負担を軽減し、ペーパーレスを実現する仕組みとなっている。