7.関西アーバン銀行とみなと銀行の再編
関西アーバン銀行(注34)とみなと銀行(注35)は、それぞれ住友銀行、さくら銀行と長年にわたる深い歴史的関係を有し、2001年4月の三井住友銀行誕生後も、当社および三井住友銀行の連結子会社として三井住友銀行出身者が頭取を歴任するなど、密接な関係を維持してきた。しかし、人口減少をはじめとする日本経済の成熟化やマイナス金利政策の導入など、経営環境が次第に厳しさを増すなか、両行のさらなる発展のためには、従来の延長線上にはない戦略が必要となりつつあった。
また、関西アーバン銀行とみなと銀行は、自己資本規制上ともに国内基準行ながら、当社自体はバーゼルⅢの適用を受ける国際統一基準行であるとともに(注36)、「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs:Global Systemically Important Banks)」として厳格な金融規制の適用を連結ベースで受ける立場にあった。そのため、今後、地銀ビジネスをグループ内で成長させていくうえで、国際金融規制が制約となる状況が生じつつあった。
こうしたなかで、りそなホールディングスと当社が、それぞれの戦略について様々な検討を行う過程で、関西における地方銀行のあり方について意見交換を行う機会があり、りそなホールディングス、みなと銀行、関西アーバン銀行、近畿大阪銀行、そして当社の5社間で協議を開始することとなった。5社は2017年3月、みなと銀行、関西アーバン銀行および近畿大阪銀行の3社の経営統合に向け、協議・検討を進めることについて基本合意した。合意に際しては、3社統合が地域経済の発展に貢献するとともに地元の理解も得られるよう丁寧に交渉を進めた。大阪市内で基本合意の記者会見に臨んだ三井住友銀行頭取の國部は、次のように述べた。
両社の将来を考えるにあたり、私が最も重視した点は、関西アーバン銀行、みなと銀行それぞれが、地元に根差した銀行として長年培ってきた独自の強み、お客さまとの大切な関係を十分活かし、両行の企業価値を向上させることができるか、ということです。(中略)この統合を通じ、関西アーバン銀行、みなと銀行が、これまで以上に地域に貢献しつつ、更に発展していけるものと確信しています。

2017年9月、三井住友銀行を含む6社は、3社の経営統合に関する統合契約書を締結した。りそなホールディングスは同年11月、中間持株会社として「関西みらいフィナンシャルグループ」を設立し、12月に近畿大阪銀行をその完全子会社とした。そのうえで、関西アーバン銀行およびみなと銀行に対し株式公開買付け(TOB)を実施し、三井住友銀行は保有する両行の全株式を応募した。
2018年4月1日、関西アーバン銀行とみなと銀行は、りそなホールディングスが51.29%の株式を保有する中間持株会社「関西みらいフィナンシャルグループ」の完全子会社となった。これにより、総資産11.7兆円(2018年3月末時点の連結総資産の単純合算ベース)とわが国有数にして関西最大の地域金融グループが誕生した(注37)。三井住友銀行は、関西みらいフィナンシャルグループの株式の23.51%を保有し、持分法適用会社として支援を継続することとした。関西アーバン銀行およびみなと銀行の非連結化により、当社の連結自己資本比率には0.5%程度の改善効果が生じた。
当社は2020年度半ば、りそなホールディングスより、株式交換およびTOBを通じて関西みらいフィナンシャルグループを完全子会社化したい、との申し出を受けた。当社はこの申し出を受諾し、2020年11月から12月にかけて実施されたりそなホールディングスによる関西みらいフィナンシャルグループに対するTOBに、三井住友銀行が保有する株式の一部を応募するとともに、2021年4月1日を効力発生日として、残りの株式をりそなホールディングスの株式と交換した(同株式は2021年9月末を期限として売却)。これにより、関西みらいフィナンシャルグループは、りそなホールディングスの完全子会社となった。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに